脚本用語のひとつ。
前記事の逆風を書いていて、まだこれを解説してないなと思って、
書くことにする。
バリアとは、
行動に対して、乗り越えられない壁のこと。
つまり、
ある行動をした結果、何かの壁にぶち当たり、
にっちもさっちも行かなくなることだ。
二幕を書いていると、
しょっちゅうバリアが立ちふさがる。
そんなにスルスルいくわけがない。
誰もがスルスルいくのなら、みんなそれをやってるさ。
誰もやらない難しい(無理な)ことだから、
それは特別なストーリーになるはずなのだ。
しかしバリアは厄介だ。
下手したらそこで手詰まりになり、
その先が書けなくなる。
そこでどれだけ唸り、次なる手を思いつけるかが、
バリアを克服する。
大抵は正面から乗り越えるのを諦め、
別ルートを探すことになる。
押してもダメなら引いてみな、それでもダメなら別のドア。
別の手を思いつくことは、容易ではない。
現実でそんなにポンポン思いつければ、
あなたはとっくに億万長者の成功者になっているだろう。
だがここは現実世界ではないことを思い出そう。
ここはあなたの創作した物語世界である。
即ちそれは、ご都合主義にならない限り、
あなたが自由に設定できる、ということである。
バリアにぶつかるとしよう。
一見最初に思いついたやり方で突破しようとし、
ダメだと分かった。
しかし意外な方法があった。
以前あった、○○がヒントだ!
即ち伏線である。
バリアにぶつかってから、
それを突破する設定を後付けで思いついたとしよう。
その設定は、必ずバリアの前に前ふっておくこと。
しかも、バリアがあとで来たときに、
あの伏線使えばいいじゃん、とすぐにばれないようにすること。
伏線の張り方のコツは、
一見目立たない一瞬にするのではなく(記憶に残らない)、
とても印象に残る鮮やかで素晴らしいエピソードを描き、
それを以前出た方式ではない別の方法で、再利用することである。
(伏線の研究は、たとえば「情婦」を例にした記事があります)
これが上手になれば、
バリアがあればあるほど、話が面白くなる。
行き詰まった!→いや、あれがある!なるほど!
の連続になるからである。
むしろこうなるように、一幕や二幕で、伏線を張るのである。
こうなれば、バリアとは、上手なターニングポイントになる。
最初の方向性が駄目になり、
新たな方向性なら上手くいきそう、
と話が転換するからだ。
無茶な話を書こうとするほど、
そんなの無理だろ、というバリアにぶち当たる。
それを鮮やかに乗り越える快感こそが、
痛快なストーリーというものだ。
バリアはむしろ、オイシイのである。
バリアを乗り越える、誰もが気づかなかった意外な方法。
それこそが、あっという展開というものだ。
忘れていた伏線に唸らされるからである。
あなたが自由に設定できる世界、ということを念頭に置こう。
設定は、現実と別世界を作ってムフフと楽しむためにあるのではない。
(それも楽しいけど)
バリアを回避する伏線の為にあるのである。
つまり使っていない伏線や設定など、本編には不要なのだ。
(リライトではそれを徹底排除することになる)
また、初心者のうちは、
伏線がバレバレでも、
伏線を使ってバリアを乗り越える経験を沢山積むべきだ。
そのうち伏線が上手くなってくる。
2015年11月25日
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