鍋をつくるとしよう。
ラーメンのスープでもいい。
まず水をはり、基礎となる材料を投入だ。
鍋なら昆布。豚骨ラーメンなら豚骨か。
まず水と、
最初の異質なものを火を炊いて混ぜ合わせる。
馴染ませる、といった方がいいかも知れない。
100%均質なものになるまで混ぜなくていい。
水に昆布が馴染んだ頃、
水に豚骨が馴染んだ頃。
次のまた異質なものを投入していく。
その投下タイミングは、
まず最初の二つの異質なものが馴染んだと思ったとき、
である。
完全に混ざりあうのを待っていては手遅れだ。
まだ馴染んでないときに次の異質なものを混ぜては、
未消化になってしまう。
次に投入する異質なものは、
最初の二つにはない、異質なものである。
鍋なら根菜あたり、
豚骨ラーメンならモミジとか鶏ガラとかかな。
三つのものが馴染んできたら、
さらに異質なものを投入する。
これまでにない要素をもったものをである。
こうして、スープは、
次々に、
これまでと異質なものが投入されて、
徐々に喧嘩したり馴染む過程を経て、
馴染んだ頃、
早くも遅くもないタイミングで、
次の異質なものが投入される。
初期の頃は、
そのスープの基礎になる対立的要素が宇宙を形成するだろう。
中期の頃は、
ほぼ出来上がった基礎の上に、
更に尖った要素を足していくものが追加される。
仕上がりの頃は、
最後のほんのちょっとしたものが乗せられる程度だろう。
勿論、鍋や豚骨ラーメンの話をしていない。
ストーリーをたとえて言っている。
物語の進展とは、
これまで馴染んできた世界に、
これまでと違う異質な要素が投入されることだ。
新しい、
登場人物、焦点、
場所や環境の変動、
事情の変化、
対立や競合(コンフリクト)
などが投入される。
それ自体がターニングポイントになることもあるし、
それに対するリアクション、行動や意思決定が、
ターニングポイントになることもある。
その異質具合と、投入タイミングこそが、展開だ。
これまでと異質過ぎたら、これまでのスープが台無しになるし、
似たような具材の投入は、これまでのスープを変えない。
タイミングが遅ければ煮詰まるし、
早ければ他が馴染んでもないのに混乱する。
これまでを、
どれだけ異質にするか、
それらがどんなタイミングか、
(わざと早い遅い、ベストタイミングは)
それらはどんな順番か。
俯瞰した目で、それらを考えよう。
その時どんなスープの状態になっているか、
どんな状態が理想タイミングかも考えよう。
俯瞰したその目を、プロット(計画)というのだ。
料理ではなんていうんだろ。
レシピ?つくりかた?
投入タイミングや順番のコツまでレシピ本には書いてないよね。
自分で工夫せよ、ということか。
鍋を自分で作ればわかるが、
適切な材料を適切なタイミングで投入していくと、
最後に完璧な宇宙が出来上がる。
物語も、そうありたいものである。
下手な人の鍋は、全部切って全部投入して蓋をしてしまう。
そうではなくて、
今のスープの具合を見ながら、
ベストタイミングで投入していくのである。
異質なものを、混ぜて行く。
鍋も物語も同じである。
ということで、暇な人は鍋を作ろう。
季節到来だし。
鍋も物語も、魔法という点では同じだ。
2015年11月28日
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