2015年11月30日

事件による三つのジャンルわけ

ストーリーとは事件と解決だ。その過程だ。
だとすると、
事件によってジャンルわけが出来るのではないかと考えた。

次の三つだ。



1. こわい事件
2. ふしぎな事件
3. 人間関係の事件

とある日常に、ある日事件が起きる。
事件というのは、すぐ解決出来そうにない、
日常にないもののことだ。
(小さな日常の異常からはじまって、
次第に事件の全貌が現れる話もある。
それはあくまで演出と考え、本事件を考える)

事件とは滅多にないもののことだ。
日常ですぐ解決するものは、処理とか仕事とか作業とかいう。
映画とは、事件を扱うものである。
(もう少し小さな、ドラマやショートストーリーでは、
小さないさかいや小さな変化を扱うことが多い。
それは、解決過程をちゃんと描くと尺がかかるためである)

その事件を、
特にこわいものと、ふしぎなものに、
別ジャンルに分ける。
残りのものを、人間関係の事件としてみよう。


1. こわい事件

スリラー、ミステリー、サスペンス、ホラーなど。

こわい、不気味な、不快な事件。
殺意や悪意、殺人や死体などを扱う。
一番広いのがスリラー。
その事件の全貌がわかり、解決し、
日常を取り戻すのが筋である。

以下はサブジャンル。

謎の殺人があり、それを解決するのがミステリー。
犠牲者、犯人、解明者(探偵など)が代表的な登場人物。
犯人は誰か、トリックの解明などが古典的だ。
謎を解くことに、重点が置かれる。
また、「謎解き」がメインで特に殺人事件を扱わないものもミステリーだ。
歴史ミステリー、自殺の謎を追う、正体を暴く話、
などがある。

サスペンスはそのうち殺人限定かな。連続殺人事件の匂いが強い。
スリラーという言葉を使わない場合、ミステリーじゃなきゃサスペンス、
という強引なジャンルわけをされがち。

ホラーは、主人公が「殺される」という恐怖があればホラーかな。
大抵は怪物とのチェイスになるけど、
怪物でなく殺人犯でもホラーになるかもだ。
その怪物を殺せば(または勝手に死ぬ)大抵は解決だ。
スピルバーグは、激突、ジョーズ、ジュラシックパークなどの、
ホラーの名手だと思う。(他のジャンルは結構下手だよね)

これらのポスタービジュアルは大抵暗く、黒が多い。
不気味なことを扱う、というテイストだ。


2. ふしぎな事件

事件が、科学的認識に基づくこの現実世界に対して、
少しあり得ない、あるいは凄くあり得ない、事件が起こるもの。
科学の発展によって解明されたふしぎもある。
昔は多重人格は悪魔憑きだったし、蜃気楼は奇蹟だった。
ふしぎは、現実世界との対比が必要。

ファンタジー、SFをここに入れる。
ファンタジーとSFの違いは、科学的考証があるかないかだ。

ワープは昔SFの小道具だったが、
相対性理論でのワームホールに必要な莫大なエネルギーを見積もると、
ファンタジーかもね。
インターステラーは、ブラックホールの内部からはまるでファンタジーになってしまって、
理系の僕は落胆したものだ。

幽霊、生まれ変わり、妖怪、都市伝説などもファンタジーだろう。
剣や魔法やドラゴンや異世界だけがファンタジーではない。

機械が意識を持つか?は、昔はファンタジーっぽかったが、
今SFの領域に入りつつある。

ふしぎな事件が、日常に起こる。
これを解明し、日常に戻ることがこのタイプのストーリーだ。


このビジュアルは、カラフルなものが多い。
日常から少し遊離しているのを示すからだろう。


3. 人間関係の事件

リアリティーのある事件はすべてこのジャンルだ。
(1もそうなのだが、こわい事件以外をこちらに分類した)
人間ドラマ、恋愛もの、職業もの(医者、刑事や、特殊職業)、スポーツもの、
などである。

勿論、間で、ふしぎなことやこわいことは、起こるかもだが、
事件そのものがリアルベースだと、
大抵それは人間関係の事件になる。



基本は3だ。
映画というのは実写であるから、
現実的な場所で現実的な人間が演じると、
3が妥当だろう。
だがそれだけではジャンルとして狭い。
おはなしとは、もっと想像を逞しくしてよいものだ。

現実を、もっと悪意のこもったものと捉え、
日常の底にあるそれらを暴き、平和な日常への帰還を描けば1で、
日常は、たいして面白くないものと捉え、
その外には別の原理があると考えて、
いっときその世界に触れ、日常へと帰還するのが2だ。


あなたは、どんな話を書こうと思っているのか。

ジャンルは、見た目で分類されがちだ。
ロボットが出てくればSF、
昔の世界なら時代劇やファンタジー、
刑事が出てくれば刑事もの、のように。
(たとえばシックスセンスは、刑事ものじゃなくてスリラーだ)

そうじゃなくて、
ストーリーとは、事件で分類されるのがいいんじゃないかな。

世界観だけファンタジーで、
その世界の人間ドラマを書く話だって、あるかもしれないのに。


あとひとつ。

コメディは、これらを二つに分ける別の軸である。
人生を笑いで考えるか、シリアスで考えるかだ。
つまり、ジャンルは2かける3の、6種類ある。


事件と解決の主軸は、どの考え方なのだろうか。
それを自覚し、他と分けよう。
たとえばファンタジーで出発したら、ファンタジーで帰着すること。
(間に他のジャンルが入り込んで面白くなるのは大歓迎だ)
それがずれると、訳の分からないものになるよ。

(たとえば1ではじまったはずなのだが、
3で終わる「ゾディアック」「ハプニング」などは、
ダメな映画だと僕は考える)
posted by おおおかとしひこ at 12:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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