CM業界でいうところの専門用語。
シズルとは、元々肉をジュウジュウ焼く絵のこと。
転じて、旨そうな食べ物や飲み物のカットをシズルカットという。
更に転じて、海岸や草野球ならビールが旨そうとか、
シズルカットに繋がりそうなシチュエーションを、
シズるねえ、なんて言ったりする。
更に転じて、
なんだかいい感じのシチュエーション、
(食べ物や飲み物に繋がらなくても)
をシズるシチュエーションと言ったりする。
たとえば。
一人暮らしをはじめた初日の、まだ段ボールが空いてない部屋。
実家に正月帰るシチュエーション。
恋人を待つクリスマスツリーの前。
華やかなパーティーに気後れし、
一人で壁際にいるとき。
花見や祭りにみんなが集うとき。
夕日の海辺。
雪が静かに振る夜の、暖炉の前。
集団の二次会から、二人で抜ける
なんだか日常からふわりと離れて、
ドラマが起きそうなシチュエーションのことを、
シズるシチュエーション、と言ったりするのである。
これから必要なドラマを考えたら、
シズるシチュエーションにぶちこんでみるのも手だ。
たとえば「エレベーターが突然止まるシチュエーション」にだ。
痴話喧嘩も出来るし、出会いも出来るし、
犯人と刑事でもいい。
たとえば同じドラマを、「銀行強盗」のシチュエーションに放り込んでもいい。
銀行強盗からハイジャックにすれば、
もうそれは一本の映画かもね。
逆に花見のシチュエーションにぶちこんだら、
別の展開が生まれそうだ。
物語には、場の力というものがある。
こういうシチュエーション、なんかいいね、
というのを普段から集めておくと、ストックになる。
女の子を口説くときには、
特別なシチュエーションに持っていくものである。
場の力を借りるというものだ。
女が旅が好きなのは、違うシチュエーションに身を置きたいからだ。
(ついでに自分の家が一番だと再確認するためでもあるが)
女の子を口説くには、別のシチュエーションに行こう、
ということである。
それは、映画も同じだ。
映画は、観客の日常から、別のシチュエーションへ誘うことなのである。
ちょっとしたシズるシチュエーションから、
物凄いシチュエーション
(日経株価急落から火山爆発からブラックホール接近)まで、
様々な、場の力がある。
100個ストックしておこう。
500個でもいい。
いつかネタに困ったとき、そのストックから出せる。
ちなみにストックから出してしまったので、
俺がもう使えなくなったネタは、
会社の花見会に遅れて、走ってきたカワイイ女の後輩、
一人暮らしを始める娘が母親に料理を習う、
寂れた屋上遊園地で遊ぶ女子高生二人、
などである。
こんな感じの、話は特にないけど、
シズるシチュエーションをストックしておくといいよ。
ぼーっと見てると何か思いついたり、
シチュエーションに困ったときのネタ帳になる。
ひとつコツを書いておくと、
部屋でコンビニの焼鳥とビール、
風呂の中で一人落ち込む、
川原でスマホをいじる、
などの、一人の壁に向かったシチュエーションに陥らないこと。
「何かが起こりそうな」ひらいた感じを探すこと。
2015年12月07日
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