僕は車田漫画の、学ランにペンでシャッシャッとたて線を細かく入れ、
グラデーションにしている表現法が好きだ。
あまり他に見たことがないから、結果的に独自表現かも知れない。
学ランの今のスタンダード表現を作ったのは、
森田まさのりの、ベタプラス濃い目トーンでのツートーンで
立体的にかくやり方ではないか、と思う。
(その進化形がグラデトーンとかか)
勿論、伝統的に黒一色とかペンの重ねで斜を入れるのが、
ポピュラーだろうけど。
僕は車田漫画のペンによるグラデーション表現の為に、
風魔と夜叉の艶布を選んだことを、
そういえば思い出した。
しかし、単なるサテン地では、
オウム真理教みたいになってしまうのは、
容易に想像できる。
艶布をうまく使うには、
皺(ドレープ)をたっぷり使うのがスタンダードだが、
学ランにドレープも糞もない。
金属系の留め具等のブツなどと組み合わせるのも手だが、
学ランというシンプルな形を崩すわけにもいかない。
(この考え方は、ボタン表現に生かされている)
ということで、
ロンドンのファッションショーを何気なく見ていて、
黒に黒の柄、という黒の艶布の使い方を思い出すのだ。
プロダクションであるゼネラルエンタテイメントの床に、
いいかんじのペルシャ絨毯がひかれていたことも、
記憶の片隅にあったかもしれない。
具体的な柄を画像検索して、
学ランの上に白黒にして透かしてラフにフォトショで乗っけてみた。
その時の資料が出てきたので、公開してみることにする。
今見るとビジュアルバンドかよ、って感じだね。
まあデザインイメージは大袈裟にやるからね。
イメージはこうだったが、
まあ実現の予算は微々たるものだった。
学ランバトルのビジュアルの参考にしたのは、「火山高」であるが、
あそこまで美術は凝れない(学校フルセット作っている)し、
照明も凝れないから、
あのモヤモヤした感じ(フラットだとオウムになる)
を、周囲ではなく、学ランに集約させようと画策したのである。
そういえば黒に黒は、おばちゃんの洋裁っぽい服や、
しゃれたカバンとかにもあるなあ、と思い、
女っぽすぎないように考えなければ、と。
唐草っぽいと女っぽいなあ、とか。
全員違う柄にしたかったのだが、
予算の関係で三つしか柄を選べない。
学年別にするとなんだか制服過ぎるので、
柄の似合い具合で、各キャラに割り振った次第だ。
あの学ランの下には、カッターシャツは着てるのか?
その辺は原作ごと永遠の謎である。
(9話の霧風陽炎戦で、学ランが翻りすぎて、
下着の黒シャツがパンチラしてしまっているのは、
想定外だ。現場ではセクシーだからいいか、
なんてOKを出したのだが、カッターシャツは着てるのか?
と後々気づいて悩むことになる。
第一、車田漫画では、男は冬服なのに女は夏服という、
訳の分からない矛盾がある。夏なのに学ラン衣装、暑すぎ!
これってたしかザジもそうだよね?
車田先生は、カッターシャツを描けないのか?)
ともかくも、
車田漫画のあのグラデーション表現を、
ただの学ラン生地では表現できねえぞ、
という工夫から生まれた、ヘンテコ学ランだったのだ。
(ただの学ランを二十歳ごえに着せて白スニーカーをはかせると、
学園ものAV男優にしか見えなくなる。
同時期のエリートヤンキー三郎、ルーキーズでは割りきっていたようだ。
メイキングで進藤学に普通の学ランを着せたとき、
きもちわるうーと言ってるのは俺だ)
ちなみに、紫長ラン+柄を試しにつくりかけて、
これは風魔と変えたほうがよい、と考え、
紫の玉虫布、というアイデアにたどり着くことになる。
これが菊池カメラマン+照明井上さんの東映コンビによって、
スケバン刑事風味が加わり、
ドラマ風魔は独特のB級へ仕上がっていく。
(当初のイメージをつくるには、
「クローズゼロ」並の予算がいるのだと、あとで知ることになる。
時間単価で10〜20倍の差だね)
2015年12月14日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック