2015年12月15日

何故書くことは苦しいのか2

ただ思う以上のことがスラスラ書ける、
自動書記状態になることが、まれによくあるのは、
書くことを続けている人なら、
誰もが経験していることである。

この無敵状態だけを、書くことだととらえるから、
滅多に書くことが出来なくなるのである。
この無敵状態はいつやって来るのだろう。


無敵状態を観察してみよう。
書くこと書くことベストで、
今までの自分からは思いもよらない発想で、
神のごとき台詞や展開のキレ。

無敵状態は、ランダムに発生するのだろうか。
多分、そうではない。

僕の経験則だけど、
冒頭部、きっかけのポイント、
新展開のインパクトある部分、
クライマックス、ラストシーン、
などは、神が降りて無敵状態になることがある。

つまり、簡単にいえば、
入り口と出口の部分は、無敵状態になりやすい。
途中の重要な結節点においても、
その入り口と出口はそうである。

無敵状態は持続しない。
30分ぶん一気に書けるなどということはない。
精々10分から15分ぶんだ。

無敵状態は、一文字目から始まらない。
今日はやれそうかな、という予感はあるけど、
乗って来るのは、ちょっと書いて筆が暖まったときだ。
つまり、デジタル的にポーンと無敵になり終了のではなく、
段々無敵になって、段々平熱に戻る。
その持続時間はリアルで二時間ぐらいか。
その間に4000字から6000字書ける程度なのだろう。
(僕はピーク時、大体30分で2000字ペースらしい)

ちなみに速筆で知られる西尾維新氏は、
二時間で5000字ペースをキープ。
大体僕の無敵状態を、日常ペースでやってるらしい。
これを一日4セット8時間で、一日2万字書くそうな。
これぐらいが人間の上限と思いたい。
森田芳光は二日で脚本を書いたらしいから、
このペースで二日4万字、と、伝説に合致する。


無敵状態は、集中力が高まった状態だろうか?

僕は、このときは自分の体内に貯めたものが、
形を伴って出てくる状態だと考えている。
つまり、必殺技を使ったみたいに、
これが終わるとしばらく書けなくなる。

西尾維新や森田芳光なんてのは例外で、
話すように字を書ける、おしゃべりさんなのではないか?
明石家さんまも、起きてる時は常にしゃべっているそうだ。
おまけに3時間しか寝ないショートスリーパーだそうな。
予測だけど、ショートスリーパーは、
記憶の整理を、睡眠時間中ではなく、
起きてる時にやるのではないか?
それがおしゃべりの原因ではないか?
と、ロングスリーパーの僕は思うのであるが。


なんにせよ、無敵状態は、滅多に来ない。
そして恐らくだが、
無敵状態が来るポイントは、実は毎回同じだ。

ということは、それ以外の部分は、
無敵状態が来ず、苦手意識があり、
執筆も進まず、苦しく、挫折意識もあるのではないか。

ペースが落ちるのは、無敵状態が来ないのではなく、
調子が悪いのではなく、
苦手な所を書いているからではないだろうか。


相変わらず僕は、第一ターニングポイントの直後、
二幕のはじまりから流れが出来るまでが苦手だ。
今書いてるやつも、そこで遅々として進まない。
そこまでは無敵状態で来れたのにだ。

それは、苦手なパートを書いているからだ、
と自覚してみよう。

あらゆる映画の苦手なパートを、
他の人たちがどう解決しているかを研究しよう。
そこにヒントがある。
苦しいのは、みんな同じだと考えればよい。
(実は僕は二幕の立ち上がりについて大分研究したのだが、
殆どの映画で、やっぱりちょっと中だるみするんだよね…
上手く行っているパターンがとても少なかった…)

逃げずにまずは、正面突破をすればいい。
たとえば僕は、主人公から逃げて、他の人物の視点からはじめる、
ということを良くする(ブレイクシュナイダーのいう、Bストーリーの開始)。
他の世界を設定する感じだ。
何回も使える技ではない。

苦しみは、苦手を克服するチャンスと思うといい。
悩んで正解が出れば、あなた独自の技を習得できる。
回避するならば、とりあえずは先に進める。

何回も壁に当たり、壁をよく見て、自分をよく見ることだ。
その壁を越した他の人を見たり、
壁を越えずに横道から行くことも考えることだ。


(なんとなくだけど、
二幕の立ち上がりで主人公にフォーカスし続けるには、
第一ターニングポイントで起こり、
非日常へ文脈がシフトしたことに対して、
主人公がその状況を把握し、対策を考え、実行をはじめる、
というのにじっくりかけたほうがいい気がしている)
posted by おおおかとしひこ at 13:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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