ただ思う以上のことがスラスラ書ける、
自動書記状態になることが、まれによくあるのは、
書くことを続けている人なら、
誰もが経験していることである。
この無敵状態だけを、書くことだととらえるから、
滅多に書くことが出来なくなるのである。
この無敵状態はいつやって来るのだろう。
無敵状態を観察してみよう。
書くこと書くことベストで、
今までの自分からは思いもよらない発想で、
神のごとき台詞や展開のキレ。
無敵状態は、ランダムに発生するのだろうか。
多分、そうではない。
僕の経験則だけど、
冒頭部、きっかけのポイント、
新展開のインパクトある部分、
クライマックス、ラストシーン、
などは、神が降りて無敵状態になることがある。
つまり、簡単にいえば、
入り口と出口の部分は、無敵状態になりやすい。
途中の重要な結節点においても、
その入り口と出口はそうである。
無敵状態は持続しない。
30分ぶん一気に書けるなどということはない。
精々10分から15分ぶんだ。
無敵状態は、一文字目から始まらない。
今日はやれそうかな、という予感はあるけど、
乗って来るのは、ちょっと書いて筆が暖まったときだ。
つまり、デジタル的にポーンと無敵になり終了のではなく、
段々無敵になって、段々平熱に戻る。
その持続時間はリアルで二時間ぐらいか。
その間に4000字から6000字書ける程度なのだろう。
(僕はピーク時、大体30分で2000字ペースらしい)
ちなみに速筆で知られる西尾維新氏は、
二時間で5000字ペースをキープ。
大体僕の無敵状態を、日常ペースでやってるらしい。
これを一日4セット8時間で、一日2万字書くそうな。
これぐらいが人間の上限と思いたい。
森田芳光は二日で脚本を書いたらしいから、
このペースで二日4万字、と、伝説に合致する。
無敵状態は、集中力が高まった状態だろうか?
僕は、このときは自分の体内に貯めたものが、
形を伴って出てくる状態だと考えている。
つまり、必殺技を使ったみたいに、
これが終わるとしばらく書けなくなる。
西尾維新や森田芳光なんてのは例外で、
話すように字を書ける、おしゃべりさんなのではないか?
明石家さんまも、起きてる時は常にしゃべっているそうだ。
おまけに3時間しか寝ないショートスリーパーだそうな。
予測だけど、ショートスリーパーは、
記憶の整理を、睡眠時間中ではなく、
起きてる時にやるのではないか?
それがおしゃべりの原因ではないか?
と、ロングスリーパーの僕は思うのであるが。
なんにせよ、無敵状態は、滅多に来ない。
そして恐らくだが、
無敵状態が来るポイントは、実は毎回同じだ。
ということは、それ以外の部分は、
無敵状態が来ず、苦手意識があり、
執筆も進まず、苦しく、挫折意識もあるのではないか。
ペースが落ちるのは、無敵状態が来ないのではなく、
調子が悪いのではなく、
苦手な所を書いているからではないだろうか。
相変わらず僕は、第一ターニングポイントの直後、
二幕のはじまりから流れが出来るまでが苦手だ。
今書いてるやつも、そこで遅々として進まない。
そこまでは無敵状態で来れたのにだ。
それは、苦手なパートを書いているからだ、
と自覚してみよう。
あらゆる映画の苦手なパートを、
他の人たちがどう解決しているかを研究しよう。
そこにヒントがある。
苦しいのは、みんな同じだと考えればよい。
(実は僕は二幕の立ち上がりについて大分研究したのだが、
殆どの映画で、やっぱりちょっと中だるみするんだよね…
上手く行っているパターンがとても少なかった…)
逃げずにまずは、正面突破をすればいい。
たとえば僕は、主人公から逃げて、他の人物の視点からはじめる、
ということを良くする(ブレイクシュナイダーのいう、Bストーリーの開始)。
他の世界を設定する感じだ。
何回も使える技ではない。
苦しみは、苦手を克服するチャンスと思うといい。
悩んで正解が出れば、あなた独自の技を習得できる。
回避するならば、とりあえずは先に進める。
何回も壁に当たり、壁をよく見て、自分をよく見ることだ。
その壁を越した他の人を見たり、
壁を越えずに横道から行くことも考えることだ。
(なんとなくだけど、
二幕の立ち上がりで主人公にフォーカスし続けるには、
第一ターニングポイントで起こり、
非日常へ文脈がシフトしたことに対して、
主人公がその状況を把握し、対策を考え、実行をはじめる、
というのにじっくりかけたほうがいい気がしている)
2015年12月15日
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