2015年12月19日

【風魔】鈴木拡樹、出世する

とうらぶ出演が決まったようで、昨日のトレンド入りを果たしたそうだ。
パチパチパチ。
ユリイカで2.5次元は特集されるし、
舞台のチケットの売りを左右するキャストらしいし、
すっかり2.5次元の王子様かもしれない。

ということで思い出してみる、
役者、鈴木拡樹のお話。


風魔キャストはこれで本格デビュー組が多い。
村井良大(小次郎)、古川雄大(霧風)、
鈴木拡樹(麗羅)、坂本兄弟(項羽、小龍)。
亜弓(蘭子)、源崎知枝(現トモエ、魔矢)、
丸山敦史(紫炎)あたりかな。

それは、当然ながら、予算がないからである。
指名キャストでやるより、タダみたいな値段で出来る新人のほうが、
予算にやさしいからだ。

既にキャリアがあった、
藤田玲(壬生)、川久保拓司(武蔵)、
進藤学(竜魔)、高山猛久(劉鵬)、田代功児(陽炎)、
川原真琴(姫子)、岡本奈月(夜叉姫)、今泉野々香(絵里奈)
などは、当然新人より高い。

見てわかる通り、
要にキャリア組、
フロントに「フレッシュな」すなわち棒の、
新人組のアンサンブルになっている。
(霧風は立ってるとゆらゆらしがちだから、
ゆらゆら棒などとオンエア当時2ちゃんで言われたものだよ)

300人からのオーディションをやり、
三次選考ぐらいまでやったことは監督メモや、
メイキングに詳しい。

で、鈴木拡樹だ。


僕は最近彼の活躍ぶりを見る限り、
思うのである。
麗羅のたどたどしさ、全部演技だったんじゃね?と。

新人らしいたどたどしさすら、
彼は計算していたとしたら?
彼は麗羅当時、下手だったのではなく、
女子に愛でられやすい、計算だったのでは?


鈴木拡樹は、謎の役者である。
ユリイカのインタビューを読む限り、
中では沢山のことを考えている。
実に真面目な役者だと思う。

僕はメインキャストと話すことが多かったから、
あまり実は彼の印象が残っていない。
小龍メイン回、霧風メイン回、麗羅デビュー回を監督したので、
このデビュー組の産湯を担当したことになる。
恐らく鈴木は、周りを見渡しながら、
デビュー組はこんな感じと空気を合わせて来たのではないか?

実は麗羅のオーディションは、
その時の台詞は僕が現場で書いた。
「小次郎くん」呼びして同期なんだから、という、
舞台版で使われた場面と、
小次郎に抱かれ死ぬ場面だ。
「ありがとう小次郎くん、楽しかった…
小鳥のチッチに餌をやるの、忘れないでね。
あの子の焼きプリン…うまく焼けたかなあ…」
みたいな台詞だったと思う。
(ドラマ版で更に練られていっている。
小鳥のチッチはなかったことになってるね)

この台詞を見て、「役柄はメルヘン」と、
きちんと役を分かっていたのは、
大阪人だからではないかなあ。

僕は小鳥のチッチとか焼きプリンとか、
わざとププッと笑える単語を台詞に入れた。
それを、即座に、笑いではなく、
笑える単語にも関わらず泣きの芝居に出来るか?
という難易度の高いオーディションだったのである。

麗羅は激戦区だった。
女っぽい男の役者は結構いる。
落ちた中にも有名人(今のキャリア組以上の)は沢山いた。
そのなかで、
鈴木だけが、笑わせずに泣かせることが出来たのである。

僕も市野さんも、プロデューサーの橋内さんも大阪人だ。
だからスタッフ同士の会話は大阪弁が飛び交う。
大阪人は普段は標準語で話すように、
自分を矯正している。
しかし大阪弁を聞くと大阪弁に戻る。
普段仮面を被っているからである。

にも関わらず、鈴木の大阪弁は一度も聞いたことがない。
つまり、最初から最後まで、
鈴木は仮面を被っているのである。

ガラスの仮面理論(本人の素性が芝居には出てしまうから、
役者というのは仮面を被っているつもりでも、
実はその仮面は本人を透かすガラスなのである)
的に彼を見ると、
すなわち、役になるための仮面を被りきる役者、
という本性が透けて見えるわけだ。

昨今のやりまん駄々漏れのアイドルグループに比べて、
なんとプロ意識の高い、孤高の役者であることか。


大阪人なら分かるかも知れない。
東京に来て仮面を被りきるということを。

たとえば兵庫出身の女優は関西弁を封印し、
女優を演じきっているので有名だ。
北川景子、戸田恵梨香、相武紗季、
能年玲奈、有村架純、常盤貴子、松下奈緒、上野樹里、水原希子、
などなど。
(大阪なら本上まなみがいたね。中条あやみもそうだって)

彼女たちは、ほんまは何でやねんとか言いたいんやで。
しかし本性を隠しきり、プロの仮面を被りきる。
関西人はサービス精神が高く、芸達者が多い。
そこに僕は、彼女たちの崇高なプロ意識を見て、
感動するのだ。
(関西弁解禁している、藤原紀香、南野陽子あたりと、
なんら変わらないんだよ本当の言葉は)

僕は現場でも、なるべく役名で呼ぶ。
役名で呼ばれることで、
ここは役でいる場所だ、という意識をつけて貰う為だ。

多分鈴木は風魔の四番だから、
オモロイ兄ちゃんが正体だろう。
しかし麗羅と呼ばれる限り、
麗羅の仮面を被りきるのではないかな。

とうらぶの役がどういう役かよく知らないのだが、
奴ならきちんと仕上げてきて、
多くの女子たちに夢を見させることが出来る筈だ。


仮面を被ることは、嘘をつくこと?
違う。
夢を演じきることだ。信じたい夢をともに見ることだ。
我々は夢を信じる。
夢を信じることが素晴らしいと、
それを作ることに喜びや使命感がある者を、プロという。


本人そのものより、本人の信じる理想こそが、
本人そのものであることが多い。

彼の冷静に作り上げた仮面こそ、
本当の彼の情熱なのだ。
posted by おおおかとしひこ at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 実写版「風魔の小次郎」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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