とうらぶ出演が決まったようで、昨日のトレンド入りを果たしたそうだ。
パチパチパチ。
ユリイカで2.5次元は特集されるし、
舞台のチケットの売りを左右するキャストらしいし、
すっかり2.5次元の王子様かもしれない。
ということで思い出してみる、
役者、鈴木拡樹のお話。
風魔キャストはこれで本格デビュー組が多い。
村井良大(小次郎)、古川雄大(霧風)、
鈴木拡樹(麗羅)、坂本兄弟(項羽、小龍)。
亜弓(蘭子)、源崎知枝(現トモエ、魔矢)、
丸山敦史(紫炎)あたりかな。
それは、当然ながら、予算がないからである。
指名キャストでやるより、タダみたいな値段で出来る新人のほうが、
予算にやさしいからだ。
既にキャリアがあった、
藤田玲(壬生)、川久保拓司(武蔵)、
進藤学(竜魔)、高山猛久(劉鵬)、田代功児(陽炎)、
川原真琴(姫子)、岡本奈月(夜叉姫)、今泉野々香(絵里奈)
などは、当然新人より高い。
見てわかる通り、
要にキャリア組、
フロントに「フレッシュな」すなわち棒の、
新人組のアンサンブルになっている。
(霧風は立ってるとゆらゆらしがちだから、
ゆらゆら棒などとオンエア当時2ちゃんで言われたものだよ)
300人からのオーディションをやり、
三次選考ぐらいまでやったことは監督メモや、
メイキングに詳しい。
で、鈴木拡樹だ。
僕は最近彼の活躍ぶりを見る限り、
思うのである。
麗羅のたどたどしさ、全部演技だったんじゃね?と。
新人らしいたどたどしさすら、
彼は計算していたとしたら?
彼は麗羅当時、下手だったのではなく、
女子に愛でられやすい、計算だったのでは?
鈴木拡樹は、謎の役者である。
ユリイカのインタビューを読む限り、
中では沢山のことを考えている。
実に真面目な役者だと思う。
僕はメインキャストと話すことが多かったから、
あまり実は彼の印象が残っていない。
小龍メイン回、霧風メイン回、麗羅デビュー回を監督したので、
このデビュー組の産湯を担当したことになる。
恐らく鈴木は、周りを見渡しながら、
デビュー組はこんな感じと空気を合わせて来たのではないか?
実は麗羅のオーディションは、
その時の台詞は僕が現場で書いた。
「小次郎くん」呼びして同期なんだから、という、
舞台版で使われた場面と、
小次郎に抱かれ死ぬ場面だ。
「ありがとう小次郎くん、楽しかった…
小鳥のチッチに餌をやるの、忘れないでね。
あの子の焼きプリン…うまく焼けたかなあ…」
みたいな台詞だったと思う。
(ドラマ版で更に練られていっている。
小鳥のチッチはなかったことになってるね)
この台詞を見て、「役柄はメルヘン」と、
きちんと役を分かっていたのは、
大阪人だからではないかなあ。
僕は小鳥のチッチとか焼きプリンとか、
わざとププッと笑える単語を台詞に入れた。
それを、即座に、笑いではなく、
笑える単語にも関わらず泣きの芝居に出来るか?
という難易度の高いオーディションだったのである。
麗羅は激戦区だった。
女っぽい男の役者は結構いる。
落ちた中にも有名人(今のキャリア組以上の)は沢山いた。
そのなかで、
鈴木だけが、笑わせずに泣かせることが出来たのである。
僕も市野さんも、プロデューサーの橋内さんも大阪人だ。
だからスタッフ同士の会話は大阪弁が飛び交う。
大阪人は普段は標準語で話すように、
自分を矯正している。
しかし大阪弁を聞くと大阪弁に戻る。
普段仮面を被っているからである。
にも関わらず、鈴木の大阪弁は一度も聞いたことがない。
つまり、最初から最後まで、
鈴木は仮面を被っているのである。
ガラスの仮面理論(本人の素性が芝居には出てしまうから、
役者というのは仮面を被っているつもりでも、
実はその仮面は本人を透かすガラスなのである)
的に彼を見ると、
すなわち、役になるための仮面を被りきる役者、
という本性が透けて見えるわけだ。
昨今のやりまん駄々漏れのアイドルグループに比べて、
なんとプロ意識の高い、孤高の役者であることか。
大阪人なら分かるかも知れない。
東京に来て仮面を被りきるということを。
たとえば兵庫出身の女優は関西弁を封印し、
女優を演じきっているので有名だ。
北川景子、戸田恵梨香、相武紗季、
能年玲奈、有村架純、常盤貴子、松下奈緒、上野樹里、水原希子、
などなど。
(大阪なら本上まなみがいたね。中条あやみもそうだって)
彼女たちは、ほんまは何でやねんとか言いたいんやで。
しかし本性を隠しきり、プロの仮面を被りきる。
関西人はサービス精神が高く、芸達者が多い。
そこに僕は、彼女たちの崇高なプロ意識を見て、
感動するのだ。
(関西弁解禁している、藤原紀香、南野陽子あたりと、
なんら変わらないんだよ本当の言葉は)
僕は現場でも、なるべく役名で呼ぶ。
役名で呼ばれることで、
ここは役でいる場所だ、という意識をつけて貰う為だ。
多分鈴木は風魔の四番だから、
オモロイ兄ちゃんが正体だろう。
しかし麗羅と呼ばれる限り、
麗羅の仮面を被りきるのではないかな。
とうらぶの役がどういう役かよく知らないのだが、
奴ならきちんと仕上げてきて、
多くの女子たちに夢を見させることが出来る筈だ。
仮面を被ることは、嘘をつくこと?
違う。
夢を演じきることだ。信じたい夢をともに見ることだ。
我々は夢を信じる。
夢を信じることが素晴らしいと、
それを作ることに喜びや使命感がある者を、プロという。
本人そのものより、本人の信じる理想こそが、
本人そのものであることが多い。
彼の冷静に作り上げた仮面こそ、
本当の彼の情熱なのだ。
2015年12月19日
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