2015年12月22日

自撮りと他撮り

前記事の続き。

某17歳アイドルと仕事をするかも知れないので、
画像検索していて、気づいたこと。

自撮りはカワイイのに他撮りだとカワいくないのは、
何故か?
二人称とカメラ目線の話の、続きの話。



たとえば山本彩というアイドルは、
自撮りがめっちゃカワイイのに、
他撮りが微妙、という差の極端な人として有名だ。
(グラビア撮影は修正前提なので、
比較すべきは自撮りと、報道やテレビ番組内の写真がいいだろう)

自分の撮影だから角度や表情がいい、
ということもあるのだが、
それより大きな差は、
カメラ目線の有無ではないか、
というのが今回の議論だ。


カメラ目線という二人称は、
「あなたとのコミュニケーション」である。
コミュ障やコミュ力などの流行語があるように、
カメラ目線がカワイイ子は、
カメラ(マンとその背後のファン)との、コミュニケーションが上手いのである。

一方、三人称すなわち他撮りは、
別の人とのコミュニケーションを横から見ることである。
コミュニケーションしている相手からは、
自撮り同様カワイク見えている可能性があるが、
それを横から見る三人称では、
それは大したことない顔に過ぎないのだ。

つまり三人称形式の本質とは、
傍目から見たらよくないことは、モロにバレる、
ということである。


一人称の思い込み、
二人称の媚び(あえて媚びとしよう。目線でよく見せること全てをさす)
に比べると、
三人称とは、素材のそのままが、客観的に写るだけなのだ。


ポートレイトに僕は詳しくないのだが、
カメラ目線でないポートレイトというのはあるのだろうか?
極端な恥ずかしがりや以外は、大抵カメラ目線なのではないか?
(自閉症で人嫌いで有名なアインシュタインですら、
カメラ目線だよね。嫌だからベロだしたらしいけど)


三人称では、素材のまんましか写せず、
素材にごまかしが効かない。

だから、行動によって見せるのである。

目線が合わなくても、その人の魅力を描くには、
その人が傍目から見ても、凄いことを、「する」以外にないのである。

三人称でのその人は、
決してあなたに目線を合わせない。
あなたとコミュニケーションをしない、
というのが三人称の原則である。

にも関わらず、三人称で見る物語は、
あなたとコミュニケーションしている以上に、
その人を魅力的に見せるのである。

逆に考えよう。
カメラ目線でない写真が魅力的に見えるのは、
何かをするときである。

たとえば、棒高跳びの瞬間は、カメラ目線でなくとも魅力的だ。
走る写真。仕事をしている人の写真。
読書してる人の写真。
これらはどれも、カメラ目線でなくとも魅力的に見える。



さあ、秘密が少しずつ分かってきたのではないか?

三人称とは、カメラ目線がないこと。
何かをするとき、魅力的に見える。

二人称とは、カメラ目線のこと。
何もしなくていい。
あなたと目をあわせ、
微笑むというコミュニケーションが魅力的だ。

たとえば風俗嬢の写真を考えよう。
カメラ目線であなたとコミュニケーションしている写真ばかりだろう。
三人称による感情移入を考えれば、
その子が熱心にフェラチオしているカメラ目線でないものが、
いい写真を生むはずである。
(あるいは、ただ走っている写真も素敵かも知れない)

ちなみにAVでのカメラ目線の有無は、とても計算されている。
他人とセックスしてる筈なのにカメラ目線にされて、
とても恥ずかしがる、などだ。
あるいは今は他人とセックスさせられてるのだが、
カメラ目線によってあなたとセックスしていることを擬似的に思ってください、
などの目線セックスなどである。
あるいはそうしなければならないのに、
男優に突かれて我を忘れる、などもなかなか良い。
つまり、三人称と二人称の往き来をしているのである。

フィニッシュのあとは、ほぼ100%二人称だね。
気持ちよかったと男優を見て終わるってことはない。
一方映画の中のセックスでは、
女優が俳優を見る目線に感情移入する。
その差をよく考えて、作品に生かすことだ。



ということで、アイドルの諸君。
カメラ目線の自撮りばかりしてないで、
他人に撮られる「何かをしている」写真をのせたまえ。
きっとコミュニケーション以外の方法、
つまり感情移入という無意識で、好きになってくれるよ。

そうすれば、
顔の造形とか、髪型とか、服の細かいこととか、
表情のつくりかたとか、
そんなのどうでもよくて、
何をなしたかということが他人から見て大事なのだ、
ということに気づくはずだ。
(そうするとアイドルじゃなくて役者になるのだろうけど)



あなたは、三人称と二人称を混同していないか?
山本彩を見て、思いだそう。
我々は、他撮りで、魅力をつくって行く仕事である。
posted by おおおかとしひこ at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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