2015年12月28日

上手い人は、そもそも目ができている

絵の話をまずしよう。

右ストレートの絵がちゃんと描ける漫画家と、
そうでない漫画家の違いは何か?


格闘技や武術を習った人なら全員知っていて、
絵の描ける人も知っているが、
絵の下手な人が知らないこと。

パンチは肩を回転して打つこと。
腰を軸に背骨を横回転させ、
左肩を引き右肩を前に出して、右腕をのばすこと。

下手な人は手打ちといって、
左右の肩がどちらも前にでないまま、
右腕だけ伸ばしてしまう。

サンドバッグがあるなら、
どちらが威力が出るかやってみるといい。
勿論人を殴ってもいいぞ。

ちなみにジャブは手打ちだ。
速い代わりに威力を犠牲にしてるのだ。

ここまで上半身の話。
ホントに絵が描ける人は、
下半身もちゃんとかく。

左足前、右足後ろの時、
左骨盤を引き、右骨盤を前に出すように、
骨盤を水平に回転させる。
その力で背骨回転→右肩前→右腕出る→右拳と、
威力が乗る。
で、骨盤を回転させるには、膝を閉めて内股になる必要がある。
右足で地面を蹴って、その勢いで膝を閉め、腰を回転させるのだね。

つまり、ジャブは肩から先で打つのだが、
右ストレートは、右足、両膝、右腰、背骨、右肩、右手で、
打つのである。

この力の流れや捻りや体重移動が、
分からないと、
右ストレートの絵は描けない。

ところで、この回転運動は、ゴルフスイングやバットスイングと似ている。
体育運動の基本でもあるのだ。


さて。

絵が描ける人は、手が器用でなければならないのだが、
それ以上に、目が器用なのだ。
目が器用というのは、
「それらがどのようになっているか」を、
観察している、ということなのだ。

同じものを見ていても、見ている世界が違うのである。

絵描きでなく、音楽の世界でも同じだろう。
同じ曲を聞いても、バンド経験者と素人では、
見ている所が違うものだ。



あなたが映画を見るとき、
普通に見るのはとても大事だ(普通の人の目線)が、
脚本家として見ることが出来ているだろうか。

三幕構造を気にしながら見たり、
メインプロットとサブプロットを気にしながら見たり、
焦点とターニングポイントを気にしながら見たり、
構成に気を配りながら見たり、
主人公や他の登場人物の造形や目的について注目して見たり、
テーマの定着とメインプロットの関係を気にしながら見たり、
しているだろうか。

あるいは、台詞のテンポや言い方の工夫や、
伏線や説明の上手さなどを、気にしながら見たりしているだろうか。
ついでに、俳優たちの芝居と脚本の関係についても、
気にしながら見ているか。

つまりは、
頭の中に脚本の構造が出来ながら、
見ているかどうかということだ。

目というよりは、頭が出来ている、というべきかもしれないが。


そもそも目ができているから、
見るものから学べるのである。

目ができている為には?
自分で試行錯誤した経験が必要だ。
自分で苦労したから、他人の工夫に唸ることが出来るのである。
posted by おおおかとしひこ at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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