テクニック的なことかも知れないし、
根幹に関わることかも知れない。
詰まらないストーリーのほとんどは、
「こいつら、今なんでこんな必死なんだっけ?」
と、途中で焦点や目的を忘れてしまうことだ。
だから、ちょいちょい、
目的、サブゴール(小目標)、動機などを、
観客に示すことは大切だ。
示すといっても様々なパターンがある。
「俺は○○をするぞ」と、宣言してしまうのが一番下手で、
力強いやり方だ。
目的を知らない人物に、誰かがあらためて説明する、
という手で、観客に目的を説明するやり方がポピュラーだろう。
多用されるのは、「爆発まであと○分」かな。
言葉を使わないやり方なら、
目標物を絵で示す(たとえばデススターと換気口とか)のも、
よくある手だ。
何か小道具を主人公が触る、などは小さな表現だが、
グッと来ればアリである。
(形見と敵討ちとか、彼女の忘れ物と恋心とか)
これに限らず、説明があらためて出来ればなんでもよい。
大体作者は、一回説明したら、
最後まで観客は何もかも覚えててくれる、
と勘違いしているものである。
そんなわけない。
一回説明しただけで何もかも覚えているなら、
テストはみんな100点だし、
男女のケンカなんてひとつも起こらない。
人は何も覚えちゃいない。
いや、正確にいうと、
覚えたいと思ったことだけを覚える。
情報の提示は、
覚えたいと思わせてから提示した方が、
記憶に残しやすい。
にも関わらず、全員が100%覚えているわけでもない。
第一退屈しかかって、
話の行方に興味を持てなくなって、
集中力が落ちているのだから。
ということで、
適切なタイミングで、
サブゴールや目標を、うまく観客に示すことは、
案外重要だ。
たとえば聖闘士星矢の黄金十二宮編では、
なんで主人公たちが十二宮を突破しなきゃいけないか、
リアルタイム連載中僕は忘れていた。
アテナが監禁されたんだっけ。
裏切り者がいたんだっけ。
胸に矢が刺さって、ちょっとずつ進んで心臓に達するんだっけ。
なんだかもう覚えていない。
自分の星座が乙女座なので、シャカ登場までは興奮してたけど。
多分どこかで、闘う目的がちょいちょい示されてたんだろうけど、
読み返さないと思い出せないや。
(サガとカノンがなんだっけ、みたいな曖昧記憶)
シドフィールドは、ピンチというものを提唱している。
第一ターニングポイントとミッドポイントの間にピンチ1、
ミッドポイントと第二ターニングポイントの間にピンチ2。
(危機のピンチではなく、挟む意味のピンチ)
これらの定義はいまいちよくわからないが、
「センタークエスチョンを意識させる」ということを重視するなら、
ここで、
「今追いかけている小目標を再確認し、
センタークエスチョンとの関係性(どういう部分集合か)
を明らかにしておく」
をするパートだと思うといいのではないだろうか。
というのも、今書いている話で、
小目標は分かるのだが、センタークエスチョンとの関係が曖昧だったところ、
センタークエスチョンにこう関係している、
ということを上手く示したら、
なんだか話の推進力が増したからである。
話がピシッと締まったというか、
全体のこの辺なんだという地図が頭のなかで想像できたというか。
人は、ちょいちょい忘れる。
15分前(15枚前)のブロックのことは、
100%は覚えていないと覚悟するべきだ。
ちょいちょい、目的を確認しよう。
どこへ向かっているのか、わかるというものだ。
ナビみたいなもんか。
ナビ情報(仮)、とでも命名してみるか。
ちなみに今週の「ベルセルク」では、
ようやく妖精島で本格戦闘が始まったのだが、
編集がつけたアオリが秀逸だった。
「キャスカの心を取り戻せるのか?!」
と入っていたのだ。ちなみに本編ではずっと触れられていない。
そうだ、こいつらは、妖精島でキャスカをもとに戻すのが目的だったわ、
と思い出させられた。
つまり、熱心にリアルタイムで立ち読みで追いかけてる俺ですら、
その程度の記憶だ。
編集の人GJナビ。
キャスカの心を取り戻すことは、
蝕の日の記憶に触れることであり、
グリフィスというゴッドハンド(センタークエスチョン)に、
触れることだ。
そうだったそうだった。
妖精島は、ピンチになるだろう。
2015年12月29日
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