2016年01月03日

【追悼】山村たけゆう

帰省して学生気分に戻り、
そういえばアイツどうしてんだ、と思い出し、
検索して驚いた。

映画サークルで後輩だった、山村たけゆう監督、
2002年に自宅付近で事故で亡くなっていたこと。
今更追悼もないけど、彼のことを語る。


大学時代にうろうろしていた京都を離れて、
19年になった。最後に彼に会ったのは、だから20年以上前だと思う。

哲学科で、気の触れた奴だった。
残響塾なる集団(多分一人)を作っていて、
とても難解な哲学用語を振り回したものばかり書いていた。
僕の嫌いな、落ちで落とさない、自主にありがちなタイプだった。
(僕の現在の落ち至上主義は、自主時代の反発があると思う)

もしかしたら本当に気が狂ってて、
映画や言葉でまとめることで、
意識をこちら側に繋ぎ止めようとしていたのではないか、
とすら思える作風だった。

しかし中二病だったのかも知れない。
気違いを演じることで、哲学的言葉を振り回すことで、
注目を浴びたかっただけなのかも知れない。

彼の残響塾HPはまだ残されているから、
ちらりとお邪魔すれば雰囲気は掴める。

どちらかは分からない。
話すときはまともで、饒舌だった。
自宅にナイフをコレクションしているような奴だった。
危ないのとナイーブなのと仮面が混ざっていたと思う。

僕は娯楽映画主義で、哲学的気違い映画なんて興味がなかったので、
制作体制的にはほとんど絡まず、
従って接点はなかったので、日常的に深く話したことはない。

けれど、全然違う流派だろうが、
同じ映画青年として、
気違い映画を作り続ける彼に、
仲間意識があったのは確かだ。

二年サークルをやるとなんとなく引退、
という雰囲気があったけど、
それでも映画を作り続けた監督は、
俺と奴ぐらい。後輩にも少しいたけど消息不明。
プロ監督になったのは、多分俺一人。

大学卒業したあと、活動を続けているのは、
僕の知る限り奴だけだ。
(監督として。
プロデューサーなら元フジの鈴木さんとかがいる、面識ないが。
演劇を続けてるのは、まだ二人いる。僕は同志みたいな心持ちになる)

なんかふらっとどこかで再会して、
お互い丸くなってから映画談義をするのだろうなと、
勝手にイメージしていて、
それが叶わぬ夢に終わったことは結構ショックだ。
享年30前後だから、そろそろ尖る作風が変化していたかと思うと、
惜しい。

渋谷アップリンクで、キチガイポップと称され、
一瞬特集されたらしいことまでは突き止めた。
賛否両論だったらしく、それはまあ分かる。


京都には様々なアンダーグラウンドの表現者がいて、
僕もその群れの中にいた。
今もいるかどうか分からない。
心の拠点だったほんやら洞は、去年火事で消失したことを知った。

デストロイアンドビルドが東京のやり方なら、
受け継いで無茶する、が関西のやり方のような気がする。
心の場所のようなものがなくなっていくのは辛いし、
若者にはそういう場所を提供してやりたいと思う。

独立したら「カンフーシューズ」という会社をつくる、
と入社時から宣言していたのだけど、
誰でも集える「縁側」という会社名にしようかな、
と最近思うようになった。
庭と縁側がちゃんとある、日本家屋の空き家を改造してやりたい。
事務所じゃなくて自宅兼になるのかね。

縁側で朗読とか、演奏とか、小さなパフォーマンスをやる人を呼んで、
軒下を貸して母屋を取られるような、
京都によくいたおっさんになりたいなあ。
昔の仲間が飲みに来たりしてね。
(ちなみに我らが自由が丘には、小樽食堂花火という、
そういう感じの飲み屋があります。
下北沢みたいなイメージといえば分かるかな)

その頃になって、ようやく山村と何でも話せるようになると、
老後の楽しみみたいに思ってたのだが、
神様はそうもさせてくれなかったみたいだ。


賛否両論のキチガイポップ。
それが彼が最後に呼ばれた名だ。
それはまだ「途中」だった筈の、名だ。
尖ったまま夭逝、というのは、それはそれで彼らしい。




(追記)
京都の友人と名乗る方から、コメント欄に存命情報を頂いた。
証言レベルで証拠はないので、
どちらがデマかはこちらから見て判別不能だ。
「山村たけゆう(故)」というのが、彼なりの冗談であって欲しいとは思う。
残響塾は2002年更新が最後のようだ。
ずっと残っているのは誰かが残しているのだろうか?
ここでは「生死不明、確認できず」としておく。
posted by おおおかとしひこ at 12:12| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たけゆうさん亡くなってませんよ。

ネットの情報を鵜呑みになさらない方がいいと思います。

この記事を真に受けている人に遭遇して、訂正するべきだと思いました。
Posted by 通りすがり at 2020年09月05日 03:45
>通りすがりさん

死んでないならそれでいい。
死んだという情報がやつ特有の冗談であって欲しい。追悼上映なんてやつ特有の冗談だと言われれば納得もしやすい。
https://www.shibuyabunka.com/phone/soft.php?id=4312
たとえば「山村たけゆう(筆名)は死に、山村武由(本名)に戻ったのだ」
でも構わぬ。

ただ調べる限り生存情報はなかったので心配している。
京都に残る友人は行方を把握していない。
たとえば以下にも記述ありだが、「らしい」でしかなかった。
http://rrr.zenmai.org/d/?20090116

存命を確認できるものがあったら教えて欲しい。
記事訂正もしやすい。
Googleの仕様変更で情報を掘ることが難しくなった。
念のためbingとyahooで調べても同様。
本名で検索しても出てこない。
Posted by おおおかとしひこ at 2020年09月05日 07:25
私は京都に残る彼の友人です。

現在は東京で写真作家として活動されています。
Posted by 通りすがり at 2020年09月05日 08:13
>通りすがりさん

存命情報ありがとうございます。
東京にいるなら酒でも飲みたいところだ。
本人見てたら連絡乞う。
Posted by おおおかとしひこ at 2020年09月05日 09:18
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