2016年01月04日

二幕は勢いでは書けない

逆に言えば、
一幕と三幕は、勢いで書けてしまう。


僕は経験上、
30分ぶんまでなら一日で書けることを知っている。
1万2000字てことだ。
たっぷり準備さえしておけば、
集中すればなんとかなる。
勢いで半日ぐらいかければ。

速筆で知られる西尾維新氏は1日2万字ペース(化物)らしいので、
それにはまるで叶わないけど、
勢いでその半分ぐらいはなんとかなる。

つまり、
一幕の30分、三幕の30分は、
その気になれば勢いで一日で書ける。
(通常はもうちょっとかけて書くけど)

しかしそれでどうしようもないのが二幕だ。


二幕は、一気に書くには綿密過ぎるのである。

巧妙な計画が必要である。
複数の焦点やストーリーラインを走らせる必要がある。
一種の迷路をつくり、それが鮮やかに収束していく様をつくる必要がある。
ストーリーを組むのは、一種のパズルのようなものだ。
大抵は一度ではうまくいかず、
あるところをガッツリ削ったり、
工事し直しが発生する。

油断していたらすぐに詰まらなくなる。
勢いはなくなりやすく、危機を上手くコントロールしなければならない。
同じネタを使えないから、バラエティーを作らなければならない。

ある種の交響楽に近いと思われる。

僕は交響楽を作曲したことはないが、
主題提示とラスサビがそれぞれ一幕三幕に相当するとしたら、
中間部の二幕は、
相当な技巧と構成力が必要な部分であることは、予測できる。


二幕はつくるのに一番時間がかかる。
それは細かい建築物や立体テトリスを組む、
みたいなイメージだ。

焦点とターニングポイントとストーリーラインの配置、
情報を与える順番、誰に与えて誰に隠すか、
因果関係、行動の理由が途切れないこと、
絵のバランス(外や内、時間帯や光線)やテンポ(緩急や疎密)、
などなどが、全部上手くいかないと、上手く書けたとは言えない。

逆に第二ターニングポイントまで書ければ、
作者的にはもう書けたようなもんだよ。
(ほっておいても第三幕は良くなるし、最大の緊張が漂っている筈だから。
三幕は緊張は最大だが、書く喜びも最大だ。
ほとんどボーナスステージだ)


二幕をちゃんと書けるようになるには、
経験と技巧が必要だ。
逆に言うと、初心者は二幕でつまづく。
若さという勢いでごまかせない、
本当のストーリーテリングを、学ばなければならない。

もっとも、プロでも完璧な二幕を書くことは難しい。
僕は色んな映画の二幕だけ取り出して研究したことがあるが、
長すぎたり短すぎたりと、瑕疵のない二幕を見つけることは出来なかった。
(あえて言うなら、ビリーワイルダー映画がいい)

二幕の構造を可視化すると、把握がしやすいかも知れない。
ストーリーラインとターニングポイントで骨格を書いてみるといいだろう。
(僕の分かっている範囲で、これについては少しずつ書いていくかも)


勢いで書いて挫折した経験がある人は、
技巧や構成力といったものを、地味につけるしかない。
鍛練の度合いは、ここでわかる。
posted by おおおかとしひこ at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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