映画は視覚と聴覚のメディアだ。
そんなことは百も承知だ。
ほんと?
それぞれの役割を、ほんとに分かってる?
一種の縛りプレイをしてみることで、
それは明らかになる。
自分の書いた、完結した短いシナリオ(5分ぐらい)を、
用意しよう。
なければ、僕の短編シナリオを使ってもよいです。
これを、サイレントムービーに変換してみよ。
これを、ラジオドラマに変換してみよ。
つまり、
視覚だけでストーリーを表現してみよ。
聴覚だけでストーリーを表現してみよ。
勿論、100%変換出来るとは限らない。
とすると、何が変換できないのかが分かってくる。
(人のシナリオじゃなくて、自分のシナリオでやってみると、
俺は台詞に頼りすぎだなあとか、絵しか見てねえなあ、
とか、自覚出来るようになる)
視覚で使える武器は、以下の通りだ。
背景、椅子などの置く小道具、ナイフなどの持ち道具。
役者の、立ち位置、衣装とメイク、
役者の、身ぶり手振りやゼスチャー、身体表現、表情、間、目線、
何かをするところをしない、しないところをする、
カメラが動くこと、パンやフォーカスやズーム、スローやコマ落とし。
仕掛けものや消えもの、たとえばビックリ箱や、火や煙、食べ物
照明、ライトが途中で変わる、光線がピカッと光ったり点滅、
バンク、たとえば雷や微速度撮影や動物などの、既に誰かがどこかで撮ったもの、
画面中に文字をうつすこと、
字幕を入れること、
着ぐるみを使うこと、
アニメーションやCGを合成すること、
ミニチュアや人形、特撮ショット。
カラーかモノクロか。パートカラー(モノクロで赤だけ色があるとか)も。
外国か日本か。人種。
ざっとこんなものか。まだあるかも。
真のサイレントムービーは、字幕もBGMも禁止。
緩いサイレントムービーは、わずかな字幕は許す。
BGMを使って、ムードや気持ちを表現するのも許可してみよう。
聴覚で使える武器は、以下の通りだ。
台詞。感嘆詞(文字にならない声)。息。
ナレーション、ボイスオーバー、スピーカーからの声。
遠くの声。
背景の雑音。自然の音。
何かのリアルな音。ぶつかった、出た、変化したなど。
特に、呼び出し音(ブザー、電話、ケータイ)は、
ラジオドラマじゃなるべく使わない(本物と間違うから)ことになってるが、使ってよし。
この世にない効果音。ビームとかひらめいたとか正解!とか。
そこにある楽器から流れる音楽。
BGM。ムードや気持ちを表現する。
日本語か外国語か。
新しい言葉か古い言葉か。
同時か同時じゃないか。
何を組み合わせて、何を表現するのか。
あなたはどんな表現が得意で、どんな表現はやったことがないか。
視覚表現を組み合わせてどこまで出来るか。
聴覚表現を組み合わせてどこまで出来るか。
あるいは、別のやり方はあるか。
視覚でしか表現出来ないことはどんなことか。
聴覚でしか表現出来ないことはどんなことか。
映像は、視覚と聴覚のメディアだ。
ほんとうに分かってる?
別解のありなしがすぐに分かる?
あるいは、直接表現と間接表現を使い分けることもあり得る。
絵で見せず音で表現(交通事故を見る人のアップのリアクションと派手な音だけ)とか、
音で見せず絵で表現(その最良のものは無言の台詞)とか、
使い分けられるようになろう。
2016年01月15日
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