長編を書き終えたら、それを少し寝かせて客観的になるために、
梗概を書くといい。
梗概とは、あらすじのことだ。
800字から1200字、つまり原稿用紙2から3枚以内が、
目安。
これは、ラストまで書くのがルール。
完全ネタバレで。
○○に危機が!どうなる?とか、
実は衝撃の事実が、とか、
友情の物語、とか、
ラストまで書かず、途中で終わってはいけない。
必ずラストまでネタバレで書く。
やってみると分かるが、1200字でも全然足りない。
すぐ2000字ぐらいいっちゃうよ。
これを上手くまとめるには、
具体的場面や台詞は書かず、
設定や行動を中心に書く。
つまり、出来上がった原稿から、プロットに戻していく作業なのである。
これを書いていくと、何故この人はこういう行動を取るのだろう、
という点に疑問があってはならないことが分かる。
だから、○○な目的で、などと足りなければ書いてしまうといい。
また、何故○○目的で△△目的でないのか、
が説明しなくても自明であり、スムーズにストーリーが入ってくるような、
ストーリーかどうかチェック出来る。
つまり、不自然(ご都合)かどうかということをである。
もしそれらが自然な理由であり、論理的に合理的であれば、
スムーズに書けていけるものである。
ラストの結末によって、テーマは暗示されるだろうか?
具体的な台詞や場面が伏線になっているなら、
その係り結びをも感じさせるように書きたいものだ。
なんとなくは分かるけど曖昧なら、
具体的に書いてしまっても構わない。
さあ、俯瞰しよう。
決めた文字数におさめよう。
その為には、具体的な場面は削り、
目的や行動や結果の大筋の連鎖になるだろう。
あまりにもあらすじ過ぎる所は、
具体的ないい場面として残しておこう。
それが、全体のリアル原稿の、正しい写像になっているか、
あなたしかチェック出来ない。
自分が一体何を書いたのか、
おそらくこれを書くことで、はじめて俯瞰出来るかも知れない。
1200字、原稿用紙3枚なら、
1枚目に一幕(基本設定と事件、テーマの前ふり、
第一ターニングポイントとセンタークエスチョン)、
2枚目に二幕(展開部をはしょりながら、大きな起伏を書くことになり、
最大のクライマックスへ繋ぐ)、
3枚目で三幕(クライマックスの結末や、センタークエスチョンがどうなったか、
それらがラストシーンでどう結実し、どのようなテーマを残すのか)
を、
おおむね書くことになると思う。
ていうか大体そうなった。
正確な尺の写像じゃなくて、
重要な骨格の写像でよいと思う。
つまり、ストーリー構造を、デフォルメして書いてある。
さて。
これの効能は、
俺はこんな話を書いたのか、という自覚だ。
同時に、プロットに無理や不自然がないかのチェックも果たす。
目的をわざわざ説明しないと分かりにくいところは、
本編でもよれやすい所なのだな、と自覚が湧いてくる。
あるいは、骨格が抜き出されることによって、
骨格が整えられ、原稿よりも美しい構造になる可能性がある。
リライトするなら、そういう構造になるように書き直す、
というように、使えるのである。
あるいは、実際の原稿より梗概のほうが力強いなら、
そのようにリライトしてゆくことも、考えられる。
原稿を書き終えた直後は、
登場人物の目線の高さでしか、ストーリーをとらえきれていない。
それを、俯瞰の目に移し、
骨格だけを見るレントゲンのような役割を、
梗概は果たすと思う。
書く前の骨格構造はプロット(計画)。
書き終えたあとの骨格構造は梗概。
そう思うといいかも知れない。
当然、プロットの時の曖昧な部分も、
書き終えたあとにはクリアになっていたり、
プロット時には重要だと思っていたものが、
執筆を経て重要ではなくなっていたりする。
それらをもう一度整理し直すのが、
梗概を書くという作業かも知れない。
以前にもオススメしましたが、
今回も、オススメしてみます。
で、前回書いた(数年前の)梗概と比較することで、
今回のリライトがどれだけ成功したかを、
評価することが出来るのである。
2016年01月17日
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