いまだに検索ワードでよくこれがあるので。
過去でも沢山論じているので、
過去記事は検索してください。
ここで書いているモチーフとテーマの違いは、
あくまで僕の、
シナリオ執筆において書き手が意識して分けておくこと、
という意味でだ。
という前置きで、違いを書いてみよう。
モチーフは名詞で示せる。
テーマは動詞で示されたこと。
モチーフは変化しない数カット。
テーマは複数のカットで示す変化。
モチーフは動いても動作レベルで可逆。
テーマは不可逆な変化で、終わったあとに分かること。
モチーフは一語、または修飾した名詞。
テーマはテーゼ。最も短いのは「AはBである」。
モチーフは視覚。(聴覚のこともある)
テーマは体感したのちに知る、まとまった知覚。
「タイムスリップ現象をするカップル」をモチーフに、
「愛は一時ではなく、永遠に続く」というテーマを描いたのが、
「きみが僕を見つけた日」である。
テーマをモチーフだと誤解すると、
「テーマは差別」「彼女のフレッシュさをテーマに」
「メカがテーマ」などと、
何も変化しない話を書きはじめて、挫折する。
差別がなくなる、とか、フレッシュさが失われる、とか、
メカが壊れる、とかの不可逆な変化をつくり、
その変化が、一体どんなテーゼを示しているのか、
というテーマが見つけられれば、
ストーリーになる。
(大抵は、そんなテーマが書きたいんじゃなくて、
その絵が好きなだけだったりする。
それはカメラマンやデザイナーや絵描きの才能であり、
ライターの才能ではない。
ライターは、ブツよりも、人生に興味がないと出来ない)
逆に、テーマだけでモチーフがないと、
イコンのない、地味な話になる。
転校生をいじめたがいなくなって後悔した、
という話で、
人間は醜いというテーマを描こうとしたとしても、
見た目が地味だから印象に残らない。
そこでその転校生を、
風の又三郎みたいな妖精にしたり、
カッパにしてみたり、
幽霊が見える子にしたり(てんぐ探偵第八集「見える友達」に収録した、
結城礼一、あだ名がユーレイの話)して、
絵面で何かをモチーフにしておくと、
その絵で話を記憶する。
それをイコンという。
ただの動詞や連鎖は、記憶に残りにくい。
記憶に残るのは、静止画である。(これは僕の仮説)
モチーフとテーマは、混同しやすい。
そして双方を分離して、また融合しないと作品にならない。
モチーフは視覚的なにか、
テーマは意味的ななにかだ。
ソシュール的に言うと、
モチーフはシニフィアン(指し示す記号そのもの)で、
テーマはシニフィエ(シニフィアンによって意味された内容)だ。
2016年01月21日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック