リライトの中規模構造をいじるとき、
要するにこういうことを変更しようとしているのである。
理由と、行動だ。
変更前を「AゆえにBする」、
変更後を「PゆえにQする」、
と定式化して、以下議論してみよう。
Aだけ変更する場合。
つまり、「PゆえにBする」と書き直す場合。
Aが不自然だったり、弱かったりするのを、
より自然に、強めていくリライトだ。
このとき、Pと本当に思うか?
は、チェックされているだろうか?
Pと思うのは、
ここまで以前の流れからだ。
つまり、それまでがリライトされていないのに、
ここだけリライトして、自然に、強くなるのか?
をチェックする必要がある。
AがいまいちだからPにする、
という安易な決定は、話をおかしくさせる。
急にその人がPと思いつくような、不自然な思考になる可能性がある。
Pという理由が出てくるのは、
それ以前の流れにある。
どの要素が、そこに流れ込んでいるかを確認する。
場合によっては、それを全て書き直した上で、
誰がその立場だとしても、
Pという理由で行動せざるを得ないように、
自然に、強いものに直していく。
これは、複雑な因果の糸を、
全部確認していく地道な作業が必要だ。
その判断に意識的な、表向きの理由があるのは、
字に書いてあるから明らかだから、
それを拾っていけばよい。
問題は、字に書いていない、無意識の部分だ。
たとえば、無意識にその人が誰かを好きで、
それがAに暗に含まれていたとしよう。
しかし、Pが真逆の、
その人を嫌悪しているということが暗に含まれていたとすれば、
そうなるように、それ以前を、真逆に書き換えなければならない。
何度もリライトをすると、
このようなことをどこかで見逃し、
「変に」なってゆく。
つまりは、「何故この人がこうするのか、分からない」に。
分かりやすくするために真逆の例を捏造してみたが、
実際は以下のようなかんじ。
今書いている話で、
悪役の行動理由を、
A「ギャンブルに大分負けたから」から、
P「ギャンブルに大負けし、そもそもそれまでも自転車操業の、
資金難であった」にすべきかどうか、
悩んでいる。
Aだけだと不自然かな、と思い、もう少しリアリティーを付け加えてみたのだ。
しかし、新たなPは分かりにくい。
もっというと、言い訳がましい。
ということで元のAに戻すつもりだ。
しかしそれが自然になるように、
Z「そもそも資金難でぎりぎりやっていたのだが、
ギャンブルで大敗したのがとどめになった」
というものにしようと思いつき、
その関係を洗い直している。
そしてこれは段取り上ミッドポイント直後、
「迫り来る悪いやつら」のパート(save the cat参照)で
明かされるので、
二幕前半部の彼の行動が、
「それを隠していたとしても、不自然な行動をしていないか」
というチェックをしていかざるを得ない。
一幕の登場以後は隠している、という話なので、
一幕でのギャンブル行動の結果を見せない、
ということと、自転車操業というのを、上手く両立するセットアップの必要が出てきている。
つまり、理由という因果の糸が、
表も裏も、
自然に何もかも繋がるようにしなければならない。
さて、行動Bについて。
AゆえにBを、まずはQだけに書き換えることを考えよう。
このとき、Aという理由でQをするのが、
本当にベストの選択肢か?
とチェックするとよい。
Aゆえなら、他にCDEなどがあるだろうに、
それでもQがベストか?だ。
Qにリライトする理由は、
おそらく、話をより強くするためだろう。
そうだとして、その理由と行動は、
自然かどうかを考える必要がある。
おそらくだが、Aだけでは不十分で、
他の理由を足したり、秘めた理由があるからこそ、
Qを選ぶ、としないと不自然だ。
ということで、行動Qにするならば、
理由Aを、理由Pに変更する必要が、
ほとんどの場合において発生する。
こういう理由だからこうなったのだ、
こういう理由だからこれが自然でベストの選択肢だ、
になるように。
だが、Pの所で議論したように、
大抵ここが後付けっぽくなってきて、
シンプルな強い理由にはならなくなる。
そこで、ここに至る全てを、
上手にここに誘導するように、
書き換える必要が出てくるのである。
直しというのは、点ではない。
線であり、下手するとネットワークだ。
そこをひとつ変えるだけで、
明示していたもの、裏にあったものの流れが、
大きく変わってしまうことを考えにいれ、
そのネットワーク全てをチェックするべきだ。
そしてそれは、文脈という、目に見えないものを、
追うことになるのだ。
(機械的にここですよ、と光らせて表示することは出来ない。
物語は、部品の組み合わせではないからだ。
それは、表と裏があるからだ。
「ばか」で好きを意味するような言語体系で、
表面上の意味だけを直しても、
直したことにはならないのである)
あなたのリライトは、
「AゆえにBする」を、「PゆえにQする」に、改めようとしている。
A、B、P、Qは何か?
裏にある前提や文脈は何か?
それらを一覧表にすることで、
自分が何をどう直しているかを把握することが可能だ。
2016年01月23日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック