2016年01月27日

原作レイプに文句を言えるのは、作者とキャストだけかも知れない

土屋アンナ、勝訴おめでとう。

プロデューサーたちの原作レイプ放題に、
一石を投じてくれて。


いい加減、みんな気づいているだろう。

原作つきの商売が、

「この素晴らしい物語を別のかたちに生まれ変わらせて、
楽しみを尽くしたい。ファンと素晴らしさを分かち合い、
知らない人にも出来るだけ広め、
最高の実写化としたい」

という理由からではなく、

「人気芸能人が出て、お金が回るネタなら何でもいい。
話題原作なら銀行も金を出す。
あとはこっちのやり易いように、
適当に元を変えても文句を言わないスタッフィングをすればいい。
人気芸能人のバーターの若手も、うまいこと生かさなきゃならない。
あそこのCG会社にも仕事を回さなきゃいけないし、
あそこの音楽事務所にも仕事を回さなきゃいけないし、
あそこの宣伝会社を使い、
あそこのオモチャ会社にも仕事を回さなきゃいけない。
その個性が原作を変えることになったとしても、
まあ、脚本家と監督にねじ込んでうんと言わせてやるさ。
俺がここまでビジネスプランの座組をしたんだ。
うんと言わない奴は二度と使わねえ。
うんと言う奴だけで、仕事を回すのさ。
投資した金が増えさえすれば、正義だ。
原作ファン?無視無視」

という理由から、作られていることに。


勿論、両極端なふたつを並べた。
多くの現場では諸々の綱引きがあって、
なんとか正解を探そうとしている、志ある者がいると信じたい。

だが現状は惨憺たるものだ。
実写「ガッチャマン」「デビルマン」
「ガンツ」「あしたのジョー」「進撃の巨人」
を作り、悪びれもしない奴らを、僕は一生許さない。
(他にも沢山ありすぎて、この狭い場所では書ききれない)
それは前者の理由より、後者の理由の方が勝っているからだ。

志ある人ほど、原作を愛する人ほど、
この金を回す場にどんどん呼ばれなくなってゆく。
後者に対してノーと言うからだ。
(危うく風魔の成功のあと、風魔並の予算で、
聖闘士星矢実写化というプロジェクトが持ち上がろうとしていたが、
僕がノーと言ったら立ち消えたという話は、前も書いたと思う。
まあ、僕一人の判断でもないし、
誰がやっても失敗するだろうけどさ)

僕はプロデューサーは、
ビジネスマンであり、ヤマ師であり、ヤクザであるべきだと思う。
鼻が利き、強権があり、仕事を回す豪腕が必要だと思う。
ただし。

物語の面白さについて、鈍感であって欲しくないだけだ。

そして多分、上に挙げた糞を作った人たちは、
とてもとても鈍感だったのだ。


原作レイプについての、
今回の裁判は先例になるかも知れない。

土屋アンナは、有名人だからノーと言ったことが報道された。

僕らはネットの片隅で、長く続く浪人生活を呪いながら、
喝采を送るのみだ。


件のプロデューサーは、興行が出来なかった損失3000万を要求したという。
ならば原作者は、著作権を侵害されたとして、
それ以上の賠償を要求する裁判を起こすべきだ。
素晴らしい物語には、それ以上の価値があるから。
(今回の原作が素晴らしいかどうかは知らない。
どんな原作であっても、著作権は存在する)

ということで、原作レイプにノーと言えるのは、
今のところ原作者と、有名人だけのようだ。

名も無き志ある者のノーは、どこにも届かない。
今回の一石が波紋となり、
原作レイプの抑止力へ成長することを望む。

性的レイプの抑止力は、世間の目と法律しかない。
世間も法律も、原作レイプを抑止するには足りない。
posted by おおおかとしひこ at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、脚本について興味があるので、たまにここにきて拝見しているものです。ここの記事を読んで思い出したのですが。
とあるマンガ家さんのブログで「著作者人格権」と言うのを最近知りました。
知的財産権の著作権は知っていましたが、作者にはこういう権利もあるみたいですね。これ全部理解するのはちょっと難しいです。
そこで思ったのですが、脚本の世界でも著作者人格権はあるのでしょうか?
それとも関係ないのでしょうか。
私はオリジナルならあるのではないかと思ってます。
記事を読んだらそんな事が気になったので書き込んでみました。
Posted by ok at 2016年01月29日 03:09
ok様コメントありがとうございます。

著作人格権を、「無断使用されたり、
勝手に改変されたりするのを防ぐ権利」と考えると、
最終稿に関しては存在します。

ただ、それを他に転用したり改変するのは、
リメイク時ぐらいなので、実質機能してないですね。
映画脚本は、毎作品オーダーメイドだから。
舞台の脚本では、
再演などでそういうことがあるでしょうが、
大きな金が動かないと訴訟するだけ損かも。

初稿から最終稿に至るまでには、
脚本家はひどい目にあいます。
ひどい目にあっても、なおいいものが書けないと、
プロにはなれないのですけど。
(アマルフィは脚本家クレジットがない、
前代未聞の映画だったような)

また、ストーリーが重要にも関わらず、
映画の脚本は二次使用の著作印税は、
1.75%と不当に低いです。日本という国ではね。
売れてる脚本家にならない限り、交渉は無理でしょう。
つまり、面白いものを書くしかないですね。
Posted by 大岡俊彦 at 2016年01月29日 13:15
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