2016年01月29日

楽するな、苦労せよ

人生楽勝。なんでもうまいこと行ってラッキー。
そんなものを見て何が面白いんだ。
面白いのは、他人が苦しんだり不幸のどん底に落ちたり、
這い上がってはまた失敗したりする様だ。

ベッキーがうまいこと行ってるより、暴かれる方が見たいのだ。
SMAPが笑顔でいるより、解散のピンチとゴタゴタと、
なんだか不穏な感じを見たいのだ。
絶対安全圏からね。
動物園の鑑も同じ。

人は、平和で幸福なんか見たくない。
人は、不幸を見たい。

あなたは、それを創作しなければならない。


つまりは、殆どの間、
主人公は困っていなければならない。
時々安心して油断したとしても、
以前より大きな不幸が来なくてはならない。

主人公の人生は、
冒険に乗り出したからには、
二幕以降三幕の決着まで、
常に逆境なのだ。
常に困って、常にピンチで、常に不安で、常に追われて、
常に頭をひねらせなければならない。
それが、冒険に乗り出した者の代償である。


さて。

こんなことは分かっている筈なのに、
どうしてか、
「自分の書く話だけが、主人公が楽をして成功する」
を書いてしまう。

おかしいよね?

ご都合主義で幸運が訪れ、
何故か助けが入って、
何故かみんなに好かれて、
何故か命の危険に晒されない。

逆。

新しいニュースや展開は不幸しか来ない。
助けは来ず、助けなければならず、足手まといすらいる。
誰にも好かれず、好きな人には嫌われる。愛は証明しなければならない。
命の危機ばかりで、リスクしかない。
(動かないのが一番リスクがないが、動かないとじわじわ死ぬ)


そうするべきなのに、
何故かあなたの書く話だけが、主人公が楽をして成功する。

おかしいよね?


それは、あなたが楽しようとしてるから。

あなたが楽をしてる様は、全然面白くない。
あなたがどぶにはまる方が、面白い。

観客は残酷だ。
ベッキーやSMAPの不幸を、あなたは喜んで見ていただろ?
あなたは、
架空の物語の中で、
ベッキーやSMAPの代わりを作るのである。


楽をして作れる訳がない。

創作が苦しいのは、そういうことだ。


人はどうすれば、
不幸や苦しみや危機や辛いことを乗り越えて、
成功するのか?
その創作にリアリティーを感じて、
人は見に来るのである。
プロジェクトX並の、成功の創作が見たいのである。

あなたが楽をしてご都合で夢想しているところは、
見に来ない。
posted by おおおかとしひこ at 09:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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