僕はキャラ崩壊なんてやったことがない。
ところがこれは字書きたちの、結構な難題らしい。
ということで、原因と対策を考えてみる。
1 そもそもキャラ設定を、
一人称の統一とか、口調で設定した気になっているから。
俺だって俺とか僕とか私とか、気分で変わるよ。
別に一人称がぶれるのはいくらでもいいと思うよ。
それがキャラ設定の大部分になってることが問題。
全キャラ全員「オレ」に統一したとしても、
面白い話を書いてないから小手先で悩むのだ。
口調についても同様だ。
関西弁キャラとか、クールキャラとか、
そんなもんどうでもいい。
口調が全員同一だとしても面白い話を書いてないから問題なのだ。
一人称とか口調のレベルなんて、髪型を整えるレベル、
誤字脱字レベルのミクロンの直しだ。
言語や自意識に関するプロットでない限り、
あなたはそもそも面白い話を書いてない可能性がある。
2. そのキャラクターの目的が明瞭でない
その人は、なんのためにそこにいるのか?
なんのためにそこに来たのか?
一時停止して、キャラクターに問うたり、観客に問うたりしてみるとよい。
不明瞭だと、これからする行動もよく分からない。
よく分からないということは混乱する。
混乱するということは、
その人物は首尾一貫していないということだ。
首尾一貫してなきゃ、ぶれるわな。
首尾一貫というのは、性格や態度や気分ではない。
目的だ。
(もちろん、目的がぶれなくても、
状況によって一進一退するから、まっすぐの線を辿らない。
よれよれの軌跡でも、首尾一貫した目的意識があること。
これが物語である)
そもそも目的がよく分からないキャラがいるのなら、
それは削除対象だ。
格ゲーの背景で応援してるやつと同じで、
背景扱いでよい。
背景の首尾一貫が取れないのなら、
それは実力の問題である。
3 性格と台詞は異なることを理解していない
クールな人物はクールな台詞しか言わないか?
クールな人物が熱くなる瞬間、あるいはもとに戻る瞬間が、物語だ。
他人に見せる態度と身内に見せる態度の差を描くのが物語だ。
その感情的、態度的変化は台詞に出る。
台詞に出さないようにしてる、態度に出ることもある。
これをキャラ崩壊と考えるのは、人間を知らない。
4 そもそもあなたが首尾一貫していない
これが一番よくあることかも知れない。
書き始めたときと、最後の方で、
自分の気分が変わってる場合だ。
執筆は一ヶ月以内に済ませよう。
それ以上かけると、経験上気分が変わってしまう。
筆が遅いのなら、手を早くする訓練を。
口述筆記(ICレコーダーなど)を試したり、
速記を習ったりしよう。
創作で書くのと、文字うちや整形をするのは、分けるのもオススメ。
自分は一時間あたり4000字手書きで書く(2、3時間が限界)が、
まだ遅いと思っている。
西尾維新は一日8時間で2万字。その集中力とスピードが欲しい。
手のスピードは思考速度でもある。
5 書き直す練習をしていない
至高の第一稿を崩すのは、大変嫌だろう。
それは、書き直すのが下手だからである。
一文字動かしてもダメになるのは、
それが完璧な作品か、書き直しが下手かのどちらかだ。
そして大抵後者だ。
プロは、書き直す時間の方が多い。
一本書くとき、書き直しの字数は本文の何倍かだ。
(数字は人による)
書き直しが下手だと、直せば直すほどダメになる。
どうすれば上手くなるか?
これも数をこなすしかない。
書き直しが上手くなって、はじめて書けると自称してよい。
キャラクターに関する書き直しは簡単だ。
その役を演じる役者のつもりで、
その役の部分だけ音に出していけばよい。
どうやって演じればいいか分からないなら、
そこがおかしな部分である。
納得がいくまで書き直せばよい。
書き直しが下手だと、字単位で直して直した気になる。
文節単位、行単位、ターン単位、シーン単位、シークエンス単位、
で書き直せばよい。
(俺なんか一回書いた280枚を、もう一回白紙から何もみずに書き直したぞ)
書き直しで一番厄介なのは、
全部を一気読みする辛さだ。
前回の一気読みの方がよかった、いや今回の方が、
と、頭の中で比較しなければいけないからだ。
これやると頭がしびれるくらい眠くなる。
それもあって、僕は短編を沢山書いて直す経験を積むことを、
推奨している。
(僕の限界は30枚ぐらいかな。
それ以上は肉体的な負担が大きい)
とりあえず考えられるのはこれぐらいだ。
そもそもリライト論にもなってくるけど。
2016年02月03日
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