2016年02月05日

売れるものを作れと人は言う

じゃあ、売れるものって何?
今売れているものに似てるもの?
似てないものは、売れないの?

売れるものを、と言う人ほど、
これが売れるのだからこれを作れ!
と強弁しない。
(もしするのならその人に従い、売れなかったら、
二度とその人と組まないことだ)

じゃあ、売れるものってなんだ?


原始的なものは必ず売れる。
エロ、グロ、アクション、正義。
バカ、ギャグ、家族、ラブ、子供や動物。
泣ける、笑える。

マーケットで売れ筋は、二番煎じで売れる。
女子高生とか?
売れる芸能人が出ているとか?


それ以外に、売れるものって?


僕は、必需品が確実に売れる、と考える。
商売の基本だ。

ナショナルが何故成功したかを考えよう。
戦後のもののないときに、
近代化生活を進めるのに必要な必需品を作ったからだ。
しかも電池で動くものを作り、
その必需品である電池も売ったからだ。

必需品は売れる。


僕は、物語とは、
心の必需品、人生の必需品であるべきだと思う。

人が成長したり、生きていく、死んでいく上で、
必要なものだと思う。

その、必需品を作ればいいのではないかな。

物語にはロボットには必要ないかも知れない。
ロボットなりの心の必需品は他にあるかも知れない。

人の心や人生には、物語が必需品である。


僕らが心の中の大切な棚にしまってある、
映画や漫画や小説や演劇に、
僕らが一度も出会わなかった人生を想像してみよう。
きっと、全然楽しくなかっただろう。
心も人生も、深みを知らなかっただろう。

誰の心にもある物語は、おそらくベストセラーになる。
一部の人の心を強烈に救うのは、カルトになる。
まんべんなく心の必需品になるものは、いつまでも売れる。


「売れる」を意識して、媚を売ったものは、売れない。
相手は人間だからだ。

相手は人間だ、ということを、忘れないようにしよう。
僕らの、人々の、心の必需品、人生の必需品があれば、
それを買うものである。

それが、売れるということだと、僕は思う。



どうやったら売れるのか?という細かい商売は、
プロデューサーや編集に任せろ。
一時の慰みものを作ったって、一瞬しか沸かない。

我々書く者は、
人生の必需品を書けばよい。
先人よりも、優れた必需品を、作ればよい。
posted by おおおかとしひこ at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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