2016年02月08日

デジタルは人を幸せにしない:ポジティブフィードバックによる炎上

ネットでは、リンクが貼られ、
リンクが貼られれば貼られるほど、
そこへのトラフィックが増え、
さらにリンクが貼られる。
炎上の仕組みである。バズリも同じだ。
(酷い内容か素晴らしい内容かの違いだけだ)

これらは、システム理論的には、ポジティブフィードバックと呼ばれる。
出力が入力に加算される系である。


簡単に想像できるように、これらは発散する。
(ちなみに核分裂の仕組みも同様の式で示せる。
一個分裂して出来た生成物がまた分裂に必要なものだったりする)
(さらにちなみに、出力の負が入力に足されるシステムを、
ネガティブフィードバックシステムといい、
安定的な系はこの形をしている。
これを機械的に再現しようとしたのが自動制御系、
サイバネティックオーガニズム、略称サイボーグである)

これらは幾何級数的に増大する。
最も簡単なポジティブフィードバックは、マイクのハウリングだ。
スピーカーがマイクに入力されて、
出力が無限大に発散する。

炎上はこうして起こる。
幸い、人は時間がたつと忘れる仕組みがあるので、
ネットのポジティブフィードバックは、
時間がたつにつれ新規リンクが減っていく、
つまり炎上が鎮火することになる。

この仕組みは、果たして善だろうか?


アマゾンのリンクや検索の仕組みも似たようなアルゴリズムで行われている。
ノードとノードのリンクを、
0と1ではなく、0.1から0.9に段階わけして、
結合度合いを表現する仕組みだ(段階はシステムによる)。
ニューラルネット的な学習アルゴリズムを使えば、
ポジティブフィードバックが起こっている場所ほど、
結合が強くなり、
合理的にリンクの強いところが残る仕組みである。

この仕組みは善か?

僕はPOSがコンビニに導入されたあたりから、
これに危機感を覚えてきた。
売れるものだけを仕入れ、
売れないものは仕入れない、
一見売り上げを最大化するアルゴリズムとして、
妥当だと思える。

だが、進化を思い出して欲しい。
進化はそうだったか?

最適なものだけが生き残るシステムだったか?
実は否なのである。
生物たちは、一種に収斂することなく、
逆に多様化することで生き延びる確率を増やした。
多点探索というアルゴリズムだ。
最適化を探る最新の種、
へんてこな環境に適応する種、
さまざまな種が勝手に進化することで、
生物たちは多様化した。

それは、一種に収斂してしまうと、
その種が滅びたら生命は終わりだからだ。
環境は変動する。
環境に適応出来ない種が滅びても、他の種があれば、
生物自体は生き残るのである。


ポジティブフィードバックは、
一見合理的な進化に見えるが、
ひとつの形にしか収斂しない点で、
僕は脆弱だと思っている。
環境への変化、価値観の変動に、
ついていく柔軟性がないと思う。

最近の会社経営がどういうものかは知らないが、
なんかみんな同じアルゴリズムに収斂しようとしているとしか思えない。
まるでロボットみたいに。

逆にアマゾンやグーグルは、
評価に乱数を入れて、わざと揺りかごを揺らしているような気すらする。
進化でいえば突然変異狙いだ。


ポジティブフィードバックは、
要するに進化の袋小路に激突して終わりである。
後戻りも出来ないし、別の進化も出来なくなる。

株の売り買いって、もう半分以上ロボットがやってるんでしょ?
それらが進化の袋小路にぶち当たり、
環境の変動についていけなくなったとき、
次の暴落が起こるだろう。


株も、会社経営も、ネットも、同じだ。
全部ポジティブフィードバックで進んでいる。
働き蟻の三割が働いてないと知ると、
七割残して三割をリストラするアルゴリズムで生きている。
残り三割こそが、創作をして進化の別系統へ進むのにね。


デジタルは人を幸せにしない。
正確に言うと、この程度のデジタルに使われる人類を、
幸せにせず、いずれ破滅へ追い込む。

この程度より賢くなって、
我々はさっさとアナログの世界を生きるだけの能力を身につけるべきだ。
posted by おおおかとしひこ at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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