2016年02月10日

お話の作り方3:落ち

落ちとは何だろう。
お話は、どう終わればいい終わりなのだろう?

落ちは、必ずしも笑いでなくてもよい。
ストンと腑に落ちればなんでもよい。
終わった、と素直に思える落ちがいい落ちだ。

下手な落ちは、腹が立ったり、
モニョったり、残尿感がある。
いい落ちは切れがあり、ハッとなり、ううむと唸る。
成る程と感心し、人生に幾ばくかの影響を受ける。

あなたのお話のラストは、どうやって作るのか?


まずは、事件の見事な解決を思いつこう。
中二病的には必殺技が決まって決着がつくんだろうね。
必殺技禁止にしたとして、
成る程、見事と決着をつける、
そのやり方を考えつこう。

こればっかりは才能だ。
鮮やかに上手いこと解決出来ないとすると、
あなたにはストーリーの才能がないので、
脚本家部門を目指さないことをおすすめする。
あるいはいいラストに触れてないなら、
名作を沢山見て研究してみよう。

以下、そこそこ見事な解決をできる人のみ、
読まれたい。


さて、主人公が事件をいかに見事に解決したとしても、
それは単なる報告でしかない。
落ちはまだ存在しない。
落ちとは、「これまでの話が、なんの意味があったのか」である。

ただし、「この話は○○という意味があったのです」と最後に言うのは不粋だ。
中世の歌物語などにはそうやって意味を示すのもよくあった。
さらに遡れば神話は、
この山が何故高いかに答える、という意味があったりしたので、
「そういうわけで、この山は一番高いのである」
なんてラストを持っていたりする。

人類はお話そのものを進化させ、
意味を明言せずに、意味を伝えるラストを好んできたのだ
(間接話法)。


話が難しくなった。
簡単に考えよう。


お話とは、疑似体験である。
主人公が体験することを、擬似的に体験するたのしみである。

疑似体験はおいといて、体験そのものを考えよう。

日々の体験は詰まらない。
毎日ルーチンのことをやり、
電車に揺られ、会社で怒られを繰り返すだけだ。
だから面白い体験とは、日常のルーチンにない、
非日常の体験である。

旅はひとつの非日常だから面白いし、
遊園地でぐるんぐるん回るのも非日常だ。
酒や旨い飯も非日常だし、美女との出会いも非日常だ。
勿論架空の世界で、転生したりドラゴンやロボットに乗るのも非日常だ。

これらを体験して、我々は日常に戻ってくる。
(日常に戻るのがハッピーエンド、
途中で死んで戻ってこれないのがバッドエンド。
以下ハッピーエンドベースで考える)

さて、日常に戻ってきたとき、
「あの時のドキドキワクワクした体験」は、
なんの意味があったんだろう、と我々はつい考える。

1. 単なる火遊びという刺激物。
2. なにがしかの成長を促した。
3. 人生観を変え、その後の人生を変えた。

日常への影響度別に、三段階書いてみた。
遊園地のアトラクションや、ツアーレベルの旅、
やり捨ての恋愛では、1レベルの影響しかないだろう。

この体験は、「お話」にはならない。
刺激的な断片にはなるが、お話レベルに到達しない。
(例:ペプシ桃太郎)
何故なら体験に意味がないからである。

2や3が、体験に意味を見いだすことである。
これは人による。
たとえばボランティア体験を通じて、
「意味のない労働であった」と思う人もいるし、
「社会の構造に疑問を感じたので、勉強しよう」と思う人もいるし、
「政治活動に身を投じ、マルクス主義革命を目指す」人もいるだろう。
全ては、体験する主体の事情や思考や感想次第だ。


さて。
意味のあった体験だけが、お話になる。
意味のない話は価値がない。
こういう意味のある体験だから、みんなで共有しよう、
という疑似体験が「お話」だ。

その意味は、明示しない。
(昔の話は明示したものもある。
特に道徳話や説教は、結論を明示して教訓とする)

暗示して、意味を「味わう」のである。


これが落ちだ。


さあ難しいね。
落ちは、
「その非日常的な体験が、主人公の人生に与えた影響や意味」を、
「暗示的に示すこと」だ。
定義は簡単だけど、実際に作るのは難しい。

お話を作るのが難しいのは、
この落ちを、見事に作ることが難しいからなのである。

しかも、落ちはダラダラやっていては不粋だ。
一行でストンと落とすのが粋というものだ。

手前味噌だが、「てんぐ探偵」では、55の落ちを作ることを念頭において書いていた。
短編を沢山つくることは、落ちの練習でもある。
習作を沢山つくることは、とても意味がある。
当たり外れがあることを知ることが出来る。
その為に5分100本はちょうどいい課題だと思う。



事件、解決過程、解決。そして(数行の)落ち。
これを作れれば、お話を作ったことになる。

逆に、これらのどれひとつ欠けてもお話ではない。
(4つあるから起承転結と関係がありそうな気がするが、
僕は関連づけて考えていない)


具体的な話をするため、
次回ではお話のパーツについて。
posted by おおおかとしひこ at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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