とても簡単なのは、
「最初から最後まで、口で演じてみること」。
口で演じると、
ここたるいな、とか、ここ分かりにくいとか、
ここテンポ早すぎてついていけないとか、
そういうのが感覚としてわかる。
最初から最後までやるのがコツだ。
そうでないと、部分と全体の関係がつかめない。
あの時の伏線がここで効いてた!とか、
その伏線は読めすぎるとか、
前半は良かったのに後半はいまいちとか、
作品内での相対的な位置関係や相対評価が出来なくなる。
これは小説でも同じだと僕は考えている。
先日、280枚の長編を書いたけど、
7、8回は一気読みをしたと思う。
流石に口に出して演じるまではしなかったけど、
そこで全体のテンポ感を調整したものである。
テンポは、演じてみるまではなかなか想像できない。
僕は常々脚本とは楽譜である、と主張しているが、
紙の上の直しなんて机上の空論で、
演じてみたものが答えだと僕は考えている。
実際、CMなどの改訂の指示は、
紙の上だけの理屈に過ぎず、
実際に演じてみるとテンポが悪く、
意味は合っているが気持ちよくないものになる。
紙の上でしか思考できない馬鹿が指示するからだ。
映像というのは、
紙の上で永遠に静止した、頭で考える理屈ではなく、
その場の流れで感覚的に見るものである。
頭ではなく感覚で見るのだ。
だから、紙の上の理屈は通用しない。
紙の上では明らかな三段論法すら、
映像で上手く見せることは困難である。
(ミステリーのトリック解明シーンが、
大抵詰まらないのはこれが理由だ)
勿論、あなたは紙の上と実際の流れとを何度も往復し、
楽譜から演奏を想像できるプロになるべきだ。
しかしそれは、楽譜と演奏の間を何度も往復することでしか、
学習は出来ないと思う。
何故あなたの作品のテンポが悪いのか?
テンポのいい作品はどうやってつくるか?
あなたが実際に演じてみて、感覚をつかむのが、
一番遠回りであるようで、
一番近いやり方だ。
2016年02月17日
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