2016年02月17日

テンポの図り方

とても簡単なのは、
「最初から最後まで、口で演じてみること」。


口で演じると、
ここたるいな、とか、ここ分かりにくいとか、
ここテンポ早すぎてついていけないとか、
そういうのが感覚としてわかる。

最初から最後までやるのがコツだ。
そうでないと、部分と全体の関係がつかめない。
あの時の伏線がここで効いてた!とか、
その伏線は読めすぎるとか、
前半は良かったのに後半はいまいちとか、
作品内での相対的な位置関係や相対評価が出来なくなる。


これは小説でも同じだと僕は考えている。
先日、280枚の長編を書いたけど、
7、8回は一気読みをしたと思う。
流石に口に出して演じるまではしなかったけど、
そこで全体のテンポ感を調整したものである。


テンポは、演じてみるまではなかなか想像できない。
僕は常々脚本とは楽譜である、と主張しているが、
紙の上の直しなんて机上の空論で、
演じてみたものが答えだと僕は考えている。

実際、CMなどの改訂の指示は、
紙の上だけの理屈に過ぎず、
実際に演じてみるとテンポが悪く、
意味は合っているが気持ちよくないものになる。
紙の上でしか思考できない馬鹿が指示するからだ。

映像というのは、
紙の上で永遠に静止した、頭で考える理屈ではなく、
その場の流れで感覚的に見るものである。
頭ではなく感覚で見るのだ。
だから、紙の上の理屈は通用しない。
紙の上では明らかな三段論法すら、
映像で上手く見せることは困難である。
(ミステリーのトリック解明シーンが、
大抵詰まらないのはこれが理由だ)


勿論、あなたは紙の上と実際の流れとを何度も往復し、
楽譜から演奏を想像できるプロになるべきだ。
しかしそれは、楽譜と演奏の間を何度も往復することでしか、
学習は出来ないと思う。


何故あなたの作品のテンポが悪いのか?
テンポのいい作品はどうやってつくるか?
あなたが実際に演じてみて、感覚をつかむのが、
一番遠回りであるようで、
一番近いやり方だ。
posted by おおおかとしひこ at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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