厚みのある人物像を作るコツ。
過去に重大な決断をした、という設定を作るとよい。
どんなことでもいい。
二つの選択肢からひとつを選んだ(つまりもうひとつは捨てた)とかでよい。
例えばイーデザイン損保の専任担当者、真島は、
「キャリアや年齢的には部長となって、専任担当者たちのヘッドになるべきだが、
お客様担当に残った現場主義者」
という設定が実はある。
こういうのがあると、立ち居振舞いや言動の端々に響いて来るものである。
過去にした重大な決断が失敗となって、トラウマになっている場合もあるだろう。
過去にした選択肢のもうひとつを選んでいたほうが良かったと、
後悔しながら生きている人もいるだろう。
あるいは、
過去の決断によって大成功し、自分の自信になっている人もいる。
逆にその唯一無二の成功例にすがり、無意識にそればかり選択する人もいるだろう。
決断は責任であり、
結果に向き合うことであり、
なんらかの心の傷になるものである。
何故そうしたのか、何故他の選択肢ではなかったのか、
それをどう思っていて、
その結果が意識的、無意識的にどう現在に影響しているか。
それを作っておくだけで、
その場で適当にやる人物には出せない厚みや深みがあるだろう。
そして、その決断の設定に、
その人物が向き合わなければならない時が来る。
たとえば「仕事のために部下を見捨てる決断をした男」には、
たいてい、仕事か部下の命かという選択肢を突きつけられる。
それが初めて悩む問題ではなく、
過去の重大な決断と似たような場面だからこそ、
同じように決断するのか、
違う決断をするのか、
その人物は再び決断を迫られる。
それが、ひとつのドラマを生むのである。
サイバラの「女の子ものがたり」で、
弱った黒猫を拾ってきたけど、
死にそうなのが怖くて、
箱に蓋をしてその日は家に帰り、
次の日見に行ったら死んでいた、
という忘れ難いエピソードがある。
大人の重大な決断とは限らない。
少女であっても、重大な決断をしながら生きている。
2016年02月17日
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