2016年02月17日

過去の重大な決断

厚みのある人物像を作るコツ。

過去に重大な決断をした、という設定を作るとよい。


どんなことでもいい。
二つの選択肢からひとつを選んだ(つまりもうひとつは捨てた)とかでよい。

例えばイーデザイン損保の専任担当者、真島は、
「キャリアや年齢的には部長となって、専任担当者たちのヘッドになるべきだが、
お客様担当に残った現場主義者」
という設定が実はある。
こういうのがあると、立ち居振舞いや言動の端々に響いて来るものである。


過去にした重大な決断が失敗となって、トラウマになっている場合もあるだろう。
過去にした選択肢のもうひとつを選んでいたほうが良かったと、
後悔しながら生きている人もいるだろう。
あるいは、
過去の決断によって大成功し、自分の自信になっている人もいる。
逆にその唯一無二の成功例にすがり、無意識にそればかり選択する人もいるだろう。

決断は責任であり、
結果に向き合うことであり、
なんらかの心の傷になるものである。

何故そうしたのか、何故他の選択肢ではなかったのか、
それをどう思っていて、
その結果が意識的、無意識的にどう現在に影響しているか。

それを作っておくだけで、
その場で適当にやる人物には出せない厚みや深みがあるだろう。

そして、その決断の設定に、
その人物が向き合わなければならない時が来る。

たとえば「仕事のために部下を見捨てる決断をした男」には、
たいてい、仕事か部下の命かという選択肢を突きつけられる。
それが初めて悩む問題ではなく、
過去の重大な決断と似たような場面だからこそ、
同じように決断するのか、
違う決断をするのか、
その人物は再び決断を迫られる。
それが、ひとつのドラマを生むのである。



サイバラの「女の子ものがたり」で、
弱った黒猫を拾ってきたけど、
死にそうなのが怖くて、
箱に蓋をしてその日は家に帰り、
次の日見に行ったら死んでいた、
という忘れ難いエピソードがある。

大人の重大な決断とは限らない。
少女であっても、重大な決断をしながら生きている。
posted by おおおかとしひこ at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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