2016年02月19日

悪役を演じるときに気をつけること

という興味深い検索ワードを見つけたので、
書いてみる。

どうすれば悪役を上手く演じられるか?

見ている人の知性や年齢に合わせた、
悪を見せることではないだろうか?


たとえば子供向けの戦隊ものでは、
大声で乱暴そうな、にらむ目が怖い、
漫画チックな悪役がいいだろう。

水戸黄門の悪代官や下手人も、
一発でこいつはワルだ、と見せたほうがいい。

中学生高校生あたりになると、
「偽悪」ということが分かるようになってくる。
中二病とは、子供として見てきた善が嘘っぽいことに気づき、
偽善という言葉を知り、
その先に、悪と善の、
ビジュアルと中身の交換があり得ることを理解する。
あるいはニヒリズムという言葉も分かるだろう。


大人が見るものはもっと悪い。
一見いい人に偽装していたり、
誰にも悪いと思われずに悪を働く。
あるいは、無知や無能ゆえに、
悪に結果的になっていることすらある。

大人は現実で悪を経験していて、
しかも正義が実現しないことも経験しているから、
リアリティーのある悪でないと説得力がないだろう。
政治家が賄賂を受け取るより、
経理が小金をちょろまかしているほうが、
身近な悪になると思う。
結果的に悪いことをするが、
良心より組織の論理が優先していることなんて日常茶飯事だ。

悪いやつほど、悪い顔なんて絶対に見せないものである。



見る人間の悪像を考えること。
これは何も役者だけでなく、
脚本家が考えることでもある。

この話は、どういう悪とどういう善の間の相克なのか。
それを理解すれば、演じるのに間違いはないはずだ。

その悪は憎むべきか。愛するべきか。
ガンダムのシャアは、尊敬すべき、憧れの、悪役だ。
その物語上のたち位置を考えれば自ずと答えは出る。


その上で、
コメディならより戯画的に、
ブラックコメディならより風刺的に、
ファンタジーなら漫画っぽく、
リアリティーならそこら辺にいそうな感じに、
などなど、ジャンルの求める温度感に、
チューニングしていけばよいだろう。


目線?しゃべり方?
そんなものは、沢山あるお芝居や、現実を観察すれば、
真似するだけならすぐ出来るでしょ。
(出来ないなら向いてない)
posted by おおおかとしひこ at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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