TIPSみたいなものだけど。
物語とは変化だ。
つまり、全てのシーンが同じ調子な訳がない。
音楽を考えれば分かるが、
時々転調するものである。
これはなんでだろう?
理屈はない。
「ずっと同じだと飽きるから」だ。
僕は実はコンサートが苦手だ。
だってずっと同じバンドの、
似たような曲なんだもの。
激しいリズムから、バラードから、実験的なやつから、
コミカルなやつとか、
変化をつけてほしいのに、
一時間似たような曲だと飽きちゃう。
その辺、いまさら音楽好きと話したことないので、
意見を聞いてみたい。
あるいは僕は、何時間もその人の音楽を聞いて飽きないほど、
その人たちを好きじゃないだけかも知れないが。
(だから時々監督ライブ来てください!と呼ばれるのが、
大層苦手だったりする。もしかしたら、音楽を聞くんじゃなくて、
体を動かしに行くといいかも知れないと思ってはいる)
脚本を書くということは、
二時間のライブの曲目を編成するということに近い。
つまり、どこで転調してどういう曲調になるか、
という計画こそが構成である。
たとえば是枝は、この構成が、
「ずっと淡々としている」という下手な監督の一人だ。
どの台詞も、どのテンションも、
ずっとボソボソとローギアのままだ。
こういう時は、意図的に台詞の尻に「!」をつけてる人が一人はいるとよい。
全員が同じテンションなんてあり得ない。
それは事態の停止であり、
事態の動転を描く物語の死である。
ローテーションの人たちが多いなら、
一人ハイテンションの奴を入れれば、
シーンは転調しやすくなるのである。
逆もしかり。
ハイテンションだらけの奴がいたら、
一人クールな奴を入れておくと転調が簡単だ。
これは、騒がしいクラスで一人だけ中二病がいる、
みたいな、よくあるパターンだから分かりやすいだろう。
人は易きに流れるので、
放っておくとローテンションになってくる。
そこで、意図的に!を入れる必要を、感じるとよい。
勿論、同じ人でも、!の気分もあるしローの気分もあるだろう。
そうやって起伏をつけていくとよいのだ。
あなたの今のテンションと、
書かれているシーンのテンションは、本来関係がない。
まあ、同調してしまうものだけど。
あなたがローテンションでずっと書いてると、
作品の中でも陰陰滅滅とローテンションが続くということになる。
それは転調を忘れた、同じ曲ばかりのコンサートになってしまう。
逆にクスリでもやってハイテンションばかりになるものを書く人もいる。
それはエネルギーばかり使うハイカロリーで、
唐揚げを豚骨に入れるようなものだ。
時々クールダウンするシーンをオススメする。
(たとえば「片腕マシンガンガール」や「鉄男」は、
冒頭からのハイテンションに、30分もたたずに飽きてしまい、
ハイテンション続きのその後、ずっと滑ってる気持ちを味わう。
唐揚げにはレモンがいるんだよ)
台詞尻の「!」を眺めれば、
ハイテンションかローテンションか、
視覚的になんとなく分かる。
意図的に疎と密をつくり、変化をつけよう。
てんぐ探偵では、シンイチがよく語尾に「!」がついてるので、
ローテンションの心の闇の宿主と、
対比的になるように計算している。
逆に、対比的にするときに、わざと普通の台詞にも、
「!」を挿入したりする。
2016年03月03日
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