2016年03月12日

序盤のエピソードの改変

今日面白いリライトを経験したので、
メモしておく。


序盤の感情移入がイマイチだと感じていた。

説明ばかりで話が滑り始めるのが遅く、
主人公の肉声がなかなか聞こえてこなかった。

そこで、その初期設定シーンの一連のなかで、
彼に喋らせることにした。
最初に喋るその場面が、
彼を印象づけるファーストエピソードになるべきで、
しかも彼への感情移入の端緒になるべきだ、と分析したうえで、
そういうエピソードを考えようと、
うんうん唸っていた。

いくつかバリエーションを出してみたものの、
何が決め手になるのかよく分からない。

面白さや強烈さで決めるか、と、
いまいち納得していないとき、ふと閃いた。

「これが落ちに使われる伏線ならば、面白いぞ」と。


「詰まらない4コマ漫画を面白くする方法」である。
落ちは、1コマ目と関係あるものに、するのだった。
落ちが決まっていたので、
逆算で落ちとファーストエピソードを、
関係あるものにすればよいのだと気づいた。

ということで、
序盤では「なんでやねん」に関するオモシロエピソードを書き、
主人公の状況設定と性格設定をしつつ、
彼の肉声で感情移入の端緒にすることにして、
落ちで「なんでやねん」で落とすことにした次第。



出来上がってみればコロンブスの卵みたいなもんである。
最初からそうするのが当然とすら思う。
むしろ何でそうなってなかったのか、分からないぐらいだ。

落ちはふつう、
落ちを書く段階で、
序盤で前ふりしていたものから使えそうなものを探し、
関連づけて落とすものである。

その逆をやったわけだ。
関連づけを逆算して仕込んだ訳である。

普通こういうあとづけの伏線は上手くいかない。
後ろからの要請でしかなく、
前からの要請(自然な展開のなかで次にそれが出てくる)ではないからだ。
下手したらご都合主義になってしまう。

今回は前からの要請のほうが強かった
(主人公の肉声と感情移入が欲しい)ため、
後ろからの要請(落ちに関連した前ふりであること)が相対的に小さく、
うまく伏線となり得た次第だ。


序盤のエピソードを改変しよう。
落ちと関連して落とす為の、前ふりとして。
ただし、後ろからの要請だとしらじらしくなる。
前からの要請、順当な展開という文脈のなかで、
後ろからの要請も同時に満たすものを、思いつけばいい。
posted by おおおかとしひこ at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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