2016年03月18日

的確にプロットを書くことは、意外と難しい

プロット専門に教える所はないだろう。
プロットはあくまで中間生成物に過ぎず、
フィニッシュが勝負だからである。
(漫画や小説と違い、シナリオそのものが中間生成物でもあるが)

初心者はプロットからはじめろ、
なんてことがよく言われるけど、
僕はそんなことはないと思う。
的確で必要十分なプロットは、難度が高い。


そもそも初心者がいきなりシナリオ本体を書くと、
何やっていいか分からなくなるから、
本文より文字数の少ない、物理的に楽な方からやりなさい、
程度にしか、
初心者にプロットを勧める意味はないと思う。

しかし実は、
的確で面白いプロットを書くには、
何本も面白い話を書いた経験が必要で、
それには、面白い話をいくらでも作れる経験が必要だ。

初心者は、プロットからはじめろと言われ、
まずプロットが書けないよ、と悩む必要はない。
まず面白い話を作れなければ意味がない。


はい、短い面白い話を作ってください。
ざっと考えて、もう書いちゃってください。
出来た?(もうここで、1/1000ぐらいに脱落か)

じゃ、シナリオを分解しましょう。
キャラクター、セリフ、プロットに。
プロットを書き下して、何がプロットか、把握してください。
これを何回かやりますね。(さらに1/5ぐらいに脱落か)

で、面白い話を毎回最後まで書くのはしんどいですよね。
書く前から面白くなるか、ちゃんと考えたいし。
だから、まずはプロットから作りませんか。
そうすれば書く前に試行錯誤しやすいですよ。
本質的な部分を透けて見えるしね。(さらに1/3ぐらいに脱落か)

本当はこういう教え方をするべきだと思う。

ただ、何本も面白い話を書けない人が多いから、
それじゃ生徒数が少なくて商売にならず、
しょうがないのでプロットを教えた「ふり」をするのだよ。
シナリオ教室が商売にするのはこういうカラクリだ。

このブログは商売でないから言える。
最初にプロットを、なんて言ってる奴は信用するな。
あるいは、そもそもレベルの高い人しか対象にしていない。



ストーリーづくりに最初に必要なことはなんだろう。
何を最初に教えるべきだろう。
ストーリーが好きになることかなあ。
名作をたくさん見ることかなあ。

名作といっても、教師と生徒で世代が違うから、
同じ作品の共有が難しいんだよね。
俺だって若い頃、
「古くせえ作品ばっか例にあげてんじゃねえよ、
そんなんじゃ現代には通用しねえんだよ」とか思ってたもんね。
僕は現代の作品も見るけど、
若いときほど膨大に見ないから、
当たりの絶対数が減ってきてさみしいね。

お芝居の素人たちに、
お芝居を教えるワークショップみたいなのがあるよね。
シナリオ教室でそういうのをやるとしたら、
僕なら5、6人で車座に座って、
毎回毎回、こないだ見た面白い映画の話をさせるかなあ。
そもそもその映画のチョイス、
それをいかに面白く話せるかは、
絶対的に必要な根本能力で、
しかも時間がかかる能力のような気がする。


ストーリーは好きか?
(映画、漫画、小説、演劇、漫才、落語、怪談、などなど)
名作をたくさん見てるか?
(数だけじゃなく、質も含む)
シナリオ教室の入門の面接では、
まずこれを聞くべきじゃないかなあ。
これすら疑問な人は、そもそも出来ないと思うなあ。

その上で、5本ほど作り話をしてください、と課題を出して、
それなりに出来ないやつは、
そもそも出来ないと思うんだよなあ。
そこまで出来ない奴を、そのレベルに鍛えるような記事は、
今のところ僕は書いてないと思います。


武術でも同じ。
まず喧嘩の強いやつを連れてきて型や技を教えるのが一番いい。
弱いやつを強くするには、体作りからやるしかないもんね。
ヒョロガリがいくら技や型が出来ても意味ないよね。



本題の前の前置きが長すぎた。
次回に続く。
posted by おおおかとしひこ at 10:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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