そもそも最後まで書いたことがないと、
シナリオの要素を、
キャラクター、セリフ、プロットに分解して考えられないよね。
キャラクターの魅力をどうやって作るかに、
法則はない。
ギャップを組み込むとか、秘密を作るとか、
細かいテクニックはあれど、
基本は人の魅力である。
しかも外見ではないものが。
一部は能力や性格に依存するけど、
スーパー能力者や人格者だけが、
魅力あるキャラクターではない。
欠点が魅力になる場合もある。
実際のところ、その人の魅力が輝くのは、
「ストーリーの中にいるとき」である。
戦国武将の魅力は、
鎧兜を着て踊るときよりも、
合戦の時に噴出するだろう。
(漏れ伝えられる話を聞くたび、
今回の大河は、合戦以外の日常の武将の魅力を描いているらしい。
ゲイの三谷らしいやり口だ。つまり腐女子が真のターゲットなのだろう)
登場人物の魅力は、ストーリーの中にいるとき。
つまり、セリフを言ったり行動するときだ。
魅力的なセリフを書けるかどうかは、
あなたの国語力や話し力に比例する。
魅力的な文章はどうやったら書けますか?
と同じ問いなので、鍛えてください、と言うしかない。
しかしここでも原則があって、
ストーリーの中で発せられるセリフだからこそ、
輝く魅力になるのが、お芝居というものである。
さあて、結局ストーリーに帰ってくる。
その骨格がプロットである。
登場人物はセリフと行動からなるから、
その行動のリストが、プロットの本体である。
プロットは、設定、展開、結末に大きく別れる。
その人物の行動は、ある目的があるはずだ。
なぜその人がそういう行動に出たかを描くのが設定部だ。
その人がどういう行動に出て、
それからどうなっていくか(周りがどう動いたり、行動を変えたりする)が、
展開部だ。
色々あって、最終的にどうなったかが、結末部である。
これを、主人公中心に、
主要登場人物と舞台について、
手短に書いたのが、プロットだ。
手短、というのが難しい。
僕の推奨は、二時間シナリオ48000字に対して、
プロット2000字ぐらいかな。
400字だとほんの骨格レベルしか書けないし。
あるいは、20字、400字、2000字と、
三種類プロットを書いても勉強になるかもね。
主要ストーリーが決まっていないと、
つまりはプロットなど、正確に書けない。
しかしストーリーを作るために、プロットで練る。
この鶏と卵の関係が、
的確にプロットを書くのが難しい、最大の理由だ。
つまり、プロットを的確に書くには、
キャラクターが出来て、セリフが出来ていて、
設定、展開、結末が出来ていて、
主人公がしっかり定まっていて、
各脇役についても、設定、展開、結末が決まっているという、
全部が出来ないと書けないのである。
前記事で、短い話ならシナリオを書いちまえ、
と乱暴に言ってるのも、
プロット作りより、シナリオを書いたほうが実戦的だからだ。
むしろ、創作衝動に従って、
最後まで書いた経験が豊富で、
挫折した経験も豊富で、
どういうときに最後まで書けたかの経験が豊富じゃないと、
「事前にプロットを練る」ことの意味は分からないと思う。
自分がこれだけやれるだろう、
という確信のもとに、簡略化されたプロットを書くからである。
デッサンや下書きは、
仕上げを想定しながらやる。
プロットはそれと同じだ。
仕上げを経験してない者が、デッサンをどれだけやっても無駄だ。
名作のプロット抜き書きは、
一定期間の勉強として効果的である。
仕上がりからデッサンを抽出することだからである。
しかし、自分がそのプロットを作ったとして、
その仕上がりを自分で出来ないのなら、
プロットだけあっても意味がない。
勿論、全文写経でもして、
キャラクター、セリフ、プロットに分けて、
分析したおすことは、とても勉強になるが、
2時間分のそれをやるには、一ヶ月ぐらいの集中力が必要になる。
で、そういう本格的な勉強をいきなりやらせると、
脱落しまくるので、
初心者教室では、
ペラ一枚ならかける自信をつけさせるために、
プロットを書きましょう、しか教えることがないのである。
それよりは、短編を題材にして、
キャラクター、セリフ、プロットに分解したほうが勉強になると思うよ。
切れのいい短編シナリオが転がっている訳ではないので、
自習が難しいのが現状だ。
僕のシナリオがベストの教材とは言わないが、
作品置き場に所蔵した分は、自習教材に自由に使ってください。
たとえば脚本添削スペシャル「ねじまき侍」で、
20字、400字、2000字のプロットをそれぞれ書くと、
いかに的確にプロットを書くかが難しいか、
また、
シナリオ本体を書く前に、このプロットが書けるか、
を想像すれば、僕の言ってることが分かるかも知れない。
で、結論で言うと、
プロット段階では何も分からない。
でも、優れたプロットやダメなプロットは、
見ただけでわかる、
なんていう、やっぱりよく分からない感じになるのである。
あくまで出来上がりが勝負だ。
しかし出来上がってから、プロットが弱いね、
取り返しがつかないけど、
ということもよくあるのである。
プロットとはそういうものだと思えるかが、
プロットが上手いかどうかに関係するかもね。
2016年03月19日
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