コンフリクトはこの場合、
「ぶつかり合い」と考える。
二人の登場人物を設定する。
それぞれの目的を、400字程度で書く。
それが矛盾しているようにだ。
つまり、この二人が出会えば、
ぶつかり合うことになる。
正義と悪とか、優勝を争うライバルなどは、
基本的なコンフリクトだけど、
もう少しリアリティーがあってもいい。
たとえば、
「文化祭の成功には、クラス全員の団結が不可欠で、
サボるやつがいてはならない。サボるやつを説得しなければ」
と、
「文化祭の成功には、能力のあるやつだけが参加すればいい。
サボるやつはサボらせとけばいい。やれるやつでやったほうが効率もいいし、
情熱の純度が違う」
という二人がいれば、
必ずケンカが起こるはずである。
さらにリアリティーを増せば、
仕事のスタイルや哲学、
同棲カップルの価値観の差異、
民族の宗教的考え方、
人間と人工知能の考え方の差異、
などをネタに、コンフリクトを仕込むことも可能だろう。
さて、とにかくコンフリクトを作ったら、
それをベースに作劇をするのだ。
まず主人公をどちらかに決める。
最終的に勝利するほうである。
世間的に正解とされている方でもいいし、
逆でもいい。
(逆が勝つことで、世間の先入観を覆すという作品は多い。
道徳話がなぜ詰まらないかといえば、当然の価値観が勝つからだ)
さて、どちらが主人公かを決めたら、
まずその主人公の目的や価値観を一発で示すエピソードをつくる。
それに感情移入させるレベルのエピソードにすること。
ただの説明では詰まらない。
その主人公に感情移入するからこそ、心から成功を応援できる。
感情移入のメカニズムについては、過去記事参照。
で、二人が出会う印象的なエピソードを作ること。
ダラダラ会うのではなく、物語的であること。
いわば運命の出会い、会うべくして会うように、
コントロールすること。
あとは、出会った二人が、
徐々に矛盾を感じ、
相手の真意を探らせ、
どうしても説得できないと分かり、
どちらかを排除しなければならないと判明し、
戦う様を書いていく。
戦うのは、物理的バトルでもいいし、
とんでもない戦い方でもいい。
(そのとんでもなさが、その作品のコンセプトになることも多い。
たとえば「ストレイトストーリー」という映画では、
旅の手段が、物凄く遅いトラクターというコンセプトだ)
発想が奇抜なほど、「面白い」と言われるはずだ。
第一ラウンドは、相手の全貌が見える程度だろうか。
何ラウンドやるかによるので、
何ラウンドか決めよう。
さて、何ラウンド目かには、協力者が現れるかも知れない。
全体の長さを見て、長編なら第三者第四者を入れて、
コンフリクトを複雑にしよう。
短編なら、1ラウンドで二人きりで決着かも知れないね。
あとは、最終ラウンドだ。
その前に、二人の主張(目的が示す意味)を、
観客と共有して整理できるシーンを書く。
独り言を言ったり、誰か親しい人に打ち明けるシーンかも知れないね。
さあ最終ラウンド。
そのバトルでの勝利が印象的になる、
劇的なシーンを書こう。
核爆発だろうが花火だろうがなんでもいい。
クライマックスの勝利は、いつもオリジナリティーのある絵でなければならない。
それがその話の顔になるだろう。
そのシーンによって、
主人公の目的は果たされ、
主人公の主張が正しいことが、象徴されることになる。
あとはエンドだ。
敗北者がその後どうなったか、勝利者がどうなったを書けば、
この話の意味(主人公の主張が正しいこと)を示せるだろう。
これは、概ねハリウッド映画の方法論である。
「敵を倒す」ストーリーだ。
敵をアンタゴニスト、主人公をプロタゴニストと言う。
物語は、プロタゴニストがアンタゴニストを論破する、
一種のディベートである。
ディベートだから、アンタゴニストとプロタゴニストを逆にした、
真逆の物語も仮に作ることが可能である。
反論に対して、妥当な反論を用意すればいい。
もしあなたが法学部なら、そういう訓練をしたかも知れないね。
物語における、どちらをプロタゴニストにするかは、
「受ける方」でいいと思う。
「この価値観の勝利が気持ちがいい方」だ。
当然の価値観が勝利してもいいし、
意外な結論になることで現状にノーと言って喝采を浴びてもいい。
「笑ゥせえるすまん」は、ブラックにそれをやる。
たとえば上の文化祭の例では、
前者が勝つなら、前者は熱血キャラで後者は冷めてるキャラで、
みんなで文化祭を成功させ、目立たないやつにも価値がある、
みたいな感動ストーリーになるだろうし、
後者が勝つなら、前者が原理主義の級長で、後者は情熱家で、
好きなやつが魂を燃焼させる、静かで熱い話になるだろう。
どちらが正義でもない。
面白い話と、面白い主張になるほうが、正解。
勿論、相手を倒さなくてもいい。
互いに異なる主張を互いが理解し、
第三の選択肢を思いつく、という流れにしてもよい。
日本人はこちらが好みで、大岡裁きなんて言ったりするよね。
(俺じゃなくて、大岡越前の話)
最近ネットで「やさしい世界」と形容されがちなこれは、
ハリウッド的な敵を倒す話より、大岡裁き的な、
誰もが幸せになる方法の模索が人気であることを示している。
いずれにせよ、ラストが、プロタゴニストの主張に価値があることを、
無言で示す。つまりテーマとはこれである。
物凄く乱暴に構造をみてみた。
要するにこういう構造で、
面白い主張のぶつかり合いと、
面白い場面があり、
感情移入が上手くいけば(自分と同じ人にではなく、
違う人に感情移入するのが面白い感情移入であった)、
面白い物語に、なるだろう。
あとはガワ。
魅力的なキャラクターだったり、
セリフで笑いをとったり、泣かせたり出来れば完璧だね。
2016年03月20日
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