2016年03月21日

イメージベースの作劇

さて、○○ベースの作劇シリーズ、
さらに表面的な部分へいってみよう。

イメージが突発的に浮かぶことは、よくあるよね。
それをベースに出来ないだろうか?


結論から言うと、難しい。
しかし、いつかそれは役に立つことがある、
という感じである。


物理的に無理だと検証してみる。

イメージは何カットぐらい思いついた?
一度に出るイメージの数は限られる。
仮に10としよう。

これじゃ全然足りないんだよ。
映画というのは、70〜100シーンぐらいあって、
600〜2000カットぐらいある。
10カットしか思いついてないのは、明らかに足らない。

勿論短編ならいけるかもだ。
しかし1カットしか思いつけないのだとしたら、
あなたは1シーン1カットものしか、
書く資格がないということになってしまう。



ところが。

映画はイメージの芸術でもある。
思いついたイメージが、とてもオリジナリティが高く、
イコンとして素晴らしいなら、それは何か革命を起こすかも知れないのだ。

ただ経験的に、イメージからストーリーが生まれることは難しい。
イメージは点であり、線ではないからだ。
むしろ、あるストーリーを思いつき、
どこかの点がそのイメージになるように調整する、
というやり方になるだろう。

そういうやり方では、イメージは複数ないほうがいい。
その複数のイメージを全部使わなければならない、
針の糸を複数通すような離れ業が必要になってしまう。
漫画原作の映画化が、有名場面だけを繋いで、
話としては全く面白くないのは、そういう理由だ。
(「いけちゃんとぼく」の一幕部は、そういう失敗をたくさんした)



また、イメージは、我々作者の強力な原動力になるので、
あるに越したことはない。
こういうイメージを描きたいから、
ストーリーを成立させようとする、原動力に。

もしイメージを先に思いついてしまったら、
○○ベースの作劇シリーズの、
前半戦のいくつかを思いつかなければならない。
コンフリクト、問題、内的問題などだ。
それらを思いつけば、あとはそのやり方で進めばいいだろう。


また、イメージは、必ずしも明確に描く必要はない。
曖昧なまま描いておくとよい。
曖昧なままだと、その時使えずとも、別の話で利用できる場合もあるからだ。

たとえば、てんぐ探偵の幻の第一話は、
父親が妖怪「リスク」に取り憑かれる話だった。
その時の、「食卓で父が会社と連絡を取り続ける異常病に」というイメージは、
そのまま僕の中に残り、
妖怪「ホウレンソウ」の中で利用できることになった次第だ。


イメージからストーリーを作ることは難しい。
キャラクターよりも表面的な部分だからだ。
イメージからキャラクターを思いつくことはあるから、
あとはキャラクターベースの作劇に接続すればいいかもね。

イメージイラストを沢山保存するのはとてもよい。
いつかそういう場面を描く日が来るかも知れない。
ずっと昔に、シンイチに天狗の羽が生えたイラストを描いたことがあって、
それはいつかてんぐ探偵2で書きたい場面のひとつだったりする。
まあその場面の為に、どういうストーリーラインが必要か、
逆算しなければならないのだが。
posted by おおおかとしひこ at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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