2016年03月25日

感情移入のメカニズムの例

ネットで拾ったコピペを貼る。

ドラクエの知識があることが前提だが。


はぐれメタルの経験値がなんで高いのかって?
そりゃ、勇者達になかなか倒されないから長いこと生きてるわけよ
スライムなんか最初の町出てすぐいるじゃん?
全然長生きできないわけ。
だから経験値も少ないわけ
でもはぐれめタルは逃げたりして長生きしてんの
一生懸命生きて、生活してんの
働いたり、恋愛したり、結婚したり、そりゃ一生懸命結婚したら子供は何匹つくるか悩んだりして
養育費をどうしようとか、小学校卒業したら私立中学校に入れるかとか
ローン組んで一戸建て買うか、それともアパートでこのまま暮らすかとか
安月給で嫁さんに怒られたりとか、それでも嫁さん愛してたりとか
頑張って生きてるわけ。
だから人生経験も豊富
そりゃ経験値も高くなるわところでさ、はぐれメタルがなかなか逃げないときあるじゃん
あれってさ、はぐれメタルの親父が時間稼ぎしてんの
子供と奥さんだけは絶対に守りたいから
家族にはこのまま幸せでいてほしいから
勇者達が自分に夢中になってる間に嫁さんと子供逃がしてんの
自分が死んでも家族が幸せに生きてくれるならって、自分を犠牲にしてさ
そんなことってできるか普通。自分を犠牲にだなんて
だから、はぐれメタルの親父は本当に偉大だなって思うよ俺

(引用ここまで)


ドラクエの知識がなくてもある程度分かるようには書かれている。
我々ははぐれメタルではないから、
はぐれメタルには共感できないはずだ。

しかし、
はぐれメタルにも、俺たちと同じようなドラマがあると知ると、
感情移入が起こる。

「はぐれメタルはモンスターだから、共感できない」?
はぐれメタルは我々と遠いからこそ、
我々と同じようなことを見つけると、
感情移入するのである。



もしあなたの書く話が、
共感できないと言われたら、
はぐれメタルを人間に書き直すのではなく、
上のように、
我々と同じようなドラマがあるのだと、
思わせることを考えるべきだ。


なんだかんだ嫁さんを愛してたり、
自分が犠牲になって家族を逃がそうとするところで、
私たちははぐれメタルに感情移入する。
そういう感じ。



物語は、我々の世界の写像をすることではない。
全然違う世界に、我々と似たところを見いだす過程といってもいい。
むしろ、
我々と似たところを、より際立たせるために、
特殊な世界を利用するのだ。
(親父が犠牲になる様は現実だとなかなかないけど、
ドラクエ世界なら描きやすい)

たとえば時代劇は、そのために書くんだよ。
今より生き死にが起こりやすいからね。



世界を設定したり、ファンタジーの妄想にひたるのは、
設定屋のやることだ。
私たちは、感情移入の為に、
利用すべき特殊世界を選ぶのだ。
posted by おおおかとしひこ at 14:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック