何年も前に自分がやったことを、僕はうまく言葉に出来ない。
評論家ちゃんとやってくれ。
やってくれないので、自分で分析するしかない。
僕は「形式ではなく魂の一致」だと技術的に言っている。
もう少し突っ込むと、
「実はジャンプ的王道をやったこと」ではないかと考えている。
兄貴や兄弟の絆。
仲間の死の意味を知り、乗り越える。
努力で超兵器を習得する。
姫にちゃんと好きだと言い、でも忍びゆえに結ばれないことを知る。
同期の親友を失い、命を燃やす意味を知る。
敵サイドは自分勝手な集団で、仲間割れをし、そのせいで混乱する。
宿敵をこの手で倒す。
これらはドラマ風魔の根幹ドラマである。
文字で書くと清々しい位ベタだ。
下手したら全然滑る。
だけどそれが熱を持って進んだ、
きっちり面白いドラマであったことは、
見た人なら頷けるだろう。
だが注意してほしい。
これは全て、ドラマオリジナルのストーリーである。
そうだよ、こんなに熱いドラマは、
原作に一行たりともないんだよ。
でも車田っぽいのさ。
どういうこと?
つまり、ドラマオリジナルのストーリーが、
本宮ひろ志や車田が作った、
ジャンプの王道ドラマをきちんと踏襲していたのだよ。
車田っぽいんじゃなくて、
往年のジャンプっぽいんだ。
往年のジャンプっぽさ、男っぽい熱っぽい王道は、
車田が作った。
だからこのドラマは車田っぽいんだ。
つまり俺は、王道ドラマを、普通にきっちり作ったのさ。
原作愛、とファンに言われるけど、
俺は車田正美だけが好きなんじゃない。
あの時代の、ジャンプまるごと愛してるんだ。
そのど真ん中の車田漫画を、きっちりドラマでやるにはどうするべきかを考えて、
ドラマで王道をするしかない、と覚悟したんだ。
そんな王道、今時誰がやる?
出来ない奴がやったら寒いよ?
でも面白かったよね?
最初はチープで演技も棒で、なんて言ってた癖に、
項羽小龍辺りからみんな王道ドラマに巻き込まれたよね?
勿論エキセントリックなギャグの切れの部分
(小次郎蘭子コンビの丁々発止、なでしこ少林サッカー、
シンクロバトルなど)は、
俺の才能を存分に発揮させてもらった。
初期のギャグ部分(伊賀のカバ丸的部分)を、
現代的笑いに更新するためである。
ギャグも新作、ドラマも新作。
今この時代に、ジャンプの新作王道漫画がはじまるとしたら、
どうあるべきかを真剣に考えた上で、
僕はドラマ風魔をつくった。
ギャグは王道かどうか微妙。センスの部分もある。
でもドラマは王道ど真ん中を目指したつもりだ。
何故なら、車田正美なら、王道ど真ん中で来るはずだからだ。
基本設定やバトルは、勿論なるべく変えない。
それは僕の原作愛だ。
しかしそれ以上にジャンプ愛が強いからこそ、
ジャンプ漫画の実写化はどういうドラマなのか、
どうあれば王道ドラマになるのか、
を考えて実現したのが、ドラマ風魔なんじゃないかなあ。
勿論、たまさか、原作風魔がスカスカのドラマツルギーだったからこそ、
ここまで手を入れられたという偶然もあった。
原作が北斗の拳じゃこうはいかんよ。
(まあ北斗もガバガバではあるが)
風魔は学ランと木刀とCGで済むから、
聖衣を作らずに予算に優しいという、プロデューサーの読みも当たった。
しかしどうあれ、
熱い王道感が、一番車田正美っぽい、ジャンプっぽい部分だ。
逆に僕は、腐った人々が集う今のジャンプ漫画を実写化する才能はないと思う。
僕は、(往年の)少年漫画が大好きなんじゃないかと思う。
良く良く考えよう。
原作風魔は、往年ジャンプに比べれば、
随分寂寥感漂う、無常漫画でもある。
そういう感じは殆ど実写化されてないよね?
(「永遠の刹那」がある程度補完してるけど)
ドラマ風魔は、原作風魔の忠実な実写化ではなく、
原作風魔がもっとジャンプの中心で爆発していたら、
という、ひとつの世界線の可能性を描いたのではないか?
それが、あまりにもジャンプ的王道ドラマだったから、
原作風魔と全然違うのに、
風魔っぽいと評価されることになったのではないだろうか?
どうやら俺の才能は、エキセントリックなギャグと、
王道ドラマらしい。
その才能が風魔と噛み合ったのが、
実写化の成功の原因ではないかなあ。
(勿論原作愛もジャンプ愛も猛烈にある前提として)
なんか今日は、風魔関連記事が物凄い跳ねた。
ハガレン実写化ニュース→実写化は成功しない
→実写化成功したのもある→風魔があるよ
みたいなことらしい。
でも何故風魔が成功して他は成功してないのか、
的確に分析してる人があまりいない。
原作愛は必要条件だが十分条件ではない。
才能は十分条件だ。
俺には両方あったのだ、と自分で言うことにするさ。
(才能があっても売れない監督なんて、ごろごろいるからね。
いつか馬鹿売れしてやるから待ってろ…)
次の王道をやれるのは、いつの日かねえ。
2016年03月30日
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