2016年04月11日

味噌汁を作れば、邦画は面白くなるのか?

とある日本映画人の呟きが大炎上中だ。

邦画の現場の悲惨さは、アニメに近づいているかも知れない。
現場に金を落とさず、その上ハネがどれだけ惨いか、
そろそろプロデューサー達も原価開示してはどうかな。


件の呟きをコピペしておく。
僕はこのスタッフの怒りはとても分かる。
分かるからこそ、
上に噛みつきたい。

>だいたい「今の日本映画はつまらない」とか「神目線」言う人間は、例えば予算のない現場で制作のスタッフが
>しょぼい弁当をリカバーするために必死で味噌汁作ってキャストやスタッフを盛り上げようする矜持すら知らな
>い。俺はそんなやつらは一切信じない。勝手にほざいてろ。

現場を盛り上げようと味噌汁を作るのは大歓迎だ。
寒い日の冷たいロケ弁も、それだけで美味しくなる。

しかし、どんなに美味しい味噌汁も、
脚本を面白くすることは出来ない。


映画が根本的に面白くなるかどうかは脚本で決まる。

物凄い面白い脚本が、スタッフワークでダメになるか、
物凄い面白い脚本が、スタッフワークでさらに化けるか、
詰まらない脚本が、スタッフワークで多少ましになるか、
この三つしかない。
詰まらない脚本が、スタッフワークで面白くなることはない。

詰まらない話だけど、すごいいいシャシンばかりな退屈な映画。例:剣岳
詰まらない話だけど、すごいいい音楽の流れる退屈な映画。例:はじまりのうた(邦画じゃないけど)
詰まらない話だけど、すごいいいアクションの退屈な映画。例:仮面ライダー1号
詰まらない話だけど、すごいいい役者ばかり出ている退屈な映画。例:進撃の巨人
詰まらない話だけど、すごいいい編集の退屈な映画。例:渇き。
詰まらない話だけど、原作はすごい面白いのに退屈な映画。例:いろいろ

映画は昔から、スジ、シャシン、シバイの三つが揃うべきだと言われている。


撮影は、やり方はどうあれ、脚本を撮るものだ。
編集は、やり方はどうあれ、撮影したものを繋ぐ。

撮影や編集で化けるのは、
その話、スジがそもそも面白いときに限る。

見も蓋もない、これが真実である。



面白い脚本を、ちゃんと撮影したり編集しようとする現場で、
味噌汁は最高だ。
午後も頑張ろう、夜中撮影もがんばるぜ、って思う。

でも、詰まらない脚本での味噌汁は、
辛いのを誤魔化す以上のものにならない。


味噌汁では、映画は面白くならない。



僕は、脚本料を今の二倍にすればいいと思う。
新規参入を増やせばいいと思う。
ダンピングの結果、悪貨が良貨を駆逐した。
良貨を買わなければ(多少騙されたとしても)、
最終的に映画は面白くならない。

映画の作者は脚本家である。

これは言い過ぎではない。
言い過ぎだとしたら、
映画の話の作者は脚本家である。と言い直す。

で、今、邦画の話が詰まらないと言われているのだから、
やはり映画の作者は脚本家である、
というスタンスに立ち返るべきだ。


脚本家を目指してます!なんて人は沢山いる。
その一部を脚本添削スペシャルで見せている。
このレベルだよ。ましなほうかな。
このレベルが上がんないと、日本の映画のレベルは上がらない。


テレビの脚本料には、
最低脚本料が定められている。
NHKも民法連も、19万に満たない。(30分)
仮に1クール全部自分で書いたとして、
19x13で、247万だ。
2クールで、504万。

2クール書くのに、どれだけ準備がいるだろう?
30x26は、780ページだ。
これを書くのに一年?もっとかかる?
ホントに面白いのなら、一年以上準備込みでかかるぜ?

たかが15ページでどれだけ大変か、書いた奴なら分かるだろ。

仮に一年で2クール書いたとしよう。
それで年収504万だ。
安くね?

これを定年まで毎年やって、ようやく、
日本の平均年収より何十万かまし、
程度だぜ?
定年まで出来るか?毎年?


今、一人が全部書くのは滅多にない。
何人かで書く。それは余ってる脚本家たちを食わせる為だ。
1クールは13話も作らない。(予算が足りないから)

つまり、年収は下がる一方だ。


僕は、脚本家は2クールもやれば年収1000万貰っておかしくないと思う。

面白ければ、それ以上積んでもいいはずだ。
ヒットすれば、もっとバックがあってもいいと思う。
脚本家は、スターになるべきだ。

日本の脚本家組合は、あるにはあるけど弱い。
全米脚本家組合が賃上げのためにストをやったのは、
最終的にどう評価されたのか、
労働環境は改善されたのか、
それとも業界から干されたのか、よく知らない。



面白さに値段をつけることが、
誰しもが難しいことが原因だ。

だとしたら、規定料金をもっと上げるべきだと思う。
そうするともっと安い値段でやるよ、
という協定破りが出てくるから、
そいつはさっさと組合に入れちまえばいい。

ちなみに僕は日本脚本家協会には入っていない。
横の繋がりがないからだ。
独立独歩でやってきた。


もっと脚本家は持ち上げられるべきだ。
実態よりもだ。
その代わり表に出るのはプロデューサーであるべきだ。
作家の神秘性は守られている。編集者に。
そういう関係にして、両輪でやっていくべきだろう。

脚本家に、もっと金を。
当たりゃプロデューサーはもっと儲かるんだから。


そこが改善されなければ、
辛い現場は、味噌汁で誤魔化されるだけである。

戦争中は木の根を食べて忍んだって?
勝てない戦争したやつを断罪しろや。



ということで僕は、
脚本だけはべらぼうに面白くて、
現場のお金はない、味噌汁で頑張ろうという所で闘っている。
夏の暑い風魔の現場で、制作の佐藤くんが、
弁当にそうめんつけてくれたのを、僕は一生忘れない。
旨かった。

べらぼうに面白い脚本は、評価されなければならない。
僕は、脚本料は、全制作費の5%が妥当だと考えている。
全スタッフの中で、一番ギャラを貰うべきだ。
10%では現場を圧迫するのでそこまで言わない。
それぐらい、現場に入る前の出来がその後を決める。
posted by おおおかとしひこ at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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