追記してみる。
要するに、一回寝てしまうと、
「焦点の火急さ」が失われるのである。
仕事のことでもいいし、勉強のことでもいい。
「明日にまわして、今日は寝よう」としたとき、
明日にまわしたものは、
さして緊急性がないものであるはずだ。
もし緊急ならば、徹夜してでもやらなければならないはずだ。
(仕事なら締め切りや納品前、勉強なら試験前など)
つまり、テスト前の緊急状態のようなものが、
映画における焦点の正体なのである。
シナリオを執筆していて、
この判断は実は話の勢いを寸断するかどうかの、
瀬戸際になりうるのである。
こういう経験はないだろうか。
じゃあまた明日続きをやろうと、別れる二人。
次の日。と次の日を書き始めるのだが、
続きをやる気があんまりしなくて、
うまく続きを書き始められない、
というようなこと。
何故か。
一回寝てしまい、焦点の火急性が落ちたからである。
そういうときは次の日に行かないことだ。
A「じゃあまた明日続きをやろう」
B「そうだな。じゃ」
C「オーイ待って!納品日が一週間前倒しだ!」
AB「ええ!じゃあ帰れない!」
とこの焦点を持続したまま、
寝させないようにすることである。
すると、無理矢理にでも話を進めなくてはならず、
一回休む弛緩のないまま、
緊張がより増した状態で、
話を続けることが出来るのだ。
なんならそのまま泊まり込みになってしまい、
家へ帰れず、夜中に別の事件が起きて話がややこしくなる、
という展開にでも繋ぐことが出来、
益々緊急状態は複雑になってゆくはずだ。
それもこれも、下手に寝てテンションを下げなかったことによって、
生まれるのである。
勿論、緊張のあとは弛緩をするべきだし、
弛緩のあとは緊張をすべきだ。
しかし、見ている側の緊張弛緩と、
話の都合上の日付変更線は一致しないことの方が多い。
従って、こちらの都合で寝たり寝なかったりを、
作り出して、
見ている側の緊張弛緩を、コントロールすればいいのである。
全ては観客の呼吸をコントロールするためである。
リアリティー?
そんなもん、コントロールすることを最大目的にして、
うまいことリアルな言い訳を探せばいいだけだ。
(それが下手なのがご都合主義なだけである)
寝たら死ぬ。
ワクワクがだ。
寝て起きたら、昨日の計画と全然違うことが起きてた!
というターニングポイントがない限り、
寝させるな。
日を跨がせたり、寝させたりするのは、
大抵未熟な書き手が、自分の作った緊張感に耐えられず、
一休みしたくなるときである。
観客は、あなたの疲労のことなどどうでもいい。
むしろ、映画を見て、緊張しまくって疲労したいのだよ?
あなたが一番タフで、観客をコントロールしなくてどうするのだ。
試しに、24時間寝られない男の話を考えてみるといい。
(単純に締め切りを設定するだけでもいい)
24時間緊張が持続し、終わったら寝られるという設定のものを。
緊張の持続、焦点の持続、ターニングポイントによる焦点の変更で、
さらに緊張を増していくことが、
どれだけ難しく、
寝ることで手を抜いていたかが分かるはずである。
そこでその焦点を切っていいのか?
寝させる前に考えるべし。
(幸い、現代では眠らない都会がある。
たとえば「ビフォアサンライズ」なんて、わずか一日未満の緊張した話だぜ)
映画は、基本、話はどんどんややこしくなる。
寝て起きたら、話が簡単になっていることは、ない。
2016年04月16日
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