2016年04月22日

どれだけ必死な人がいるか

その話の中で、一番必死な人は誰だろう。
一番緊急な人は誰だろう。
一番必死にならざるを得ない事情は、何だろう。

それがその話を決めると、僕は思う。


それは主人公でなくてもいいかも知れない。

バルタン星人の地球侵略のほうが、
地球人の過剰防衛よりも切実で必死だった。
だから我々はあのエピソードを忘れられない。

元宇宙飛行士ジャミラの必死さのほうが、
科特隊の地球防衛の必死さより、必死だった。
だから我々はあのエピソードを忘れられない。

勿論、主人公が一番必死でもいい。
ロッキーは、自分を否定する全てを跳ね返すだけの、
自信を証明するのに必死だった。


何故その人は必死なのか?
その事情はどういうことか?
(何故必死で、何が目的か?)
何故そこまで必死なのか?
(簡単なのは、締め切りをつくること)

その人がまず話を立ち上げて、
他の人が反発したり同調したりすることで、
話は渦を巻いて行く。


連続殺人事件を起こす必死な犯人。
侵略を撃退しないと占領され皆殺しにされる地球人。
人間でないものに変わり、人間の為に闘う男。
死ぬほどの行為をされ、復讐の為に闘う男。
後悔を繰り返さないために、闘う男。
惚れた女のために、闘う男。
世界征服に、必死な組織。


今日もどこかの物語で、
必死な人が必死に何かをしている。


その必死さが、物語である。
それがどうなったか、
その結末になんの意味があったのかが、物語である。

あなたの物語の登場人物の誰が、
一番必死か?

その必死さの必死ぶりが、物語の基調を決めるだろう。

誰もやる気のない、適当にこなしたり、
ナルシズムで動く話は、だるくて詰まらない。
人を引き付けるのは、必死の緊張感である。
posted by おおおかとしひこ at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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