2016年04月30日

不安を口にしよう

現実世界ではいざ知らず、
物語のなかでは、
不安を口にするとよい。


そうすると、具体的な危険が見えてくるからである。


危険は人を行動させる、立派な理由だ。
獲物を追う理由と、
危険から逃れる理由、
どちらかあるいは両方あると、
人は行動する。

正確に言うと、見ている人が分かりやすい。

つまり、危険を明示するのに一番簡単なのは、
その人が不安を口にすることで、
可視化してしまうのである。

「失敗したら二度と口を利いてくれない」
「このままじゃ来月の家賃を払えない」
「裏切りは死」
などだ。(特に、こういうものは絵にしにくい)

ここで気を付けるべきことは、
「どうしていいか分からない」
「言葉にできない不安がある」
などと、具体でない不安にしないことだ。

具体的な不安にしよう。

何故なら、このあと危険をつり上げることが可能になるからである。

「口利いてくれないどころか、会社が首だ」
「家賃程度ならまだ良かった。一生働いて返せるのかこの額?」
「自分の命だけで良かったのが、一族皆殺しと罪が重くなった」
などにだ。

こうすることで、危険が増したことを簡単に表現できるのである。
これが展開の典型のひとつだ。
逆に獲物を大きくしていくことでも、展開は可能。

つまり、最初のローリスクローリターンから、
行動した結果、
更にハイリスクハイリターンへと、
どんどんと状況が変わっていくとよい。

一難去ってまた一難だ。

実際には大目的が同じで、
目の前の状況がどんとん変わっていく。



不安を口にしよう。

そのことで、危険度を表現し、
その具体的危険度をアップしていける。

現実には、人は不安を口にせずに頑張るのかも知れないが、
劇においては、不安を口にしやすい状況を作ってやるとよい。

三人芝居以上で話をすすめ、
ふと二人になったときに不安を口にする、
などは基本パターンだね。

聞き役が必要なのは、そういうことだ。



現実世界では、ため息をついたり、窓の外を眺めるだけだろう。
それではその人の不安を、第三者が知ることは出来ない。
聞き役に話すことで、観客と共有できる形になるのである。

(てんぐ探偵が特殊なのは、そのような形のない不安を、
妖怪という形で外に出していることだ。つまり擬人化なんだね)
posted by おおおかとしひこ at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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