2016年05月01日

3シーンのエクササイズ

1シーンなら書ける。
そういう初心者はたくさんいる。
意味ありそうなシーンで、意味ありげな会話をすればよいからだ。

それを三つ書けばストーリーになる。
わけではない。

だが、次の要件を満たせばストーリーになるだろう。


主人公サイドは二人おいておくこと。
一人だと独り言になったり孤立するので、
話が進みにくい。
会話の聞き役や助け船を出す役を横においておくとよい。
(てんぐ探偵の妖怪「二番」では、主人公の菜々の片思いの話だが、
一人で思っているだけでは話が進まないので、
親友のヨリ子がいることで話が進むようにしている)


最初のシーンで、事件が起こるようにする。

主人公が起こした問題でもいいし、
降ってわいた災難でもいい。
3シーンで終わるショートを今書こうとしているので、
体感で言うと5分から一時間以内に解決しそうな、
簡単な問題に限定しよう。

起こった事件にたいして、逃げては話にならないので、
それを解決しようと思うまで、会話や行動を重ねてみよう。


二番目のシーンは、解決の過程である。
前のシーンで起こったことに対しての、
リアクション(会話や表情、そして行動)を書くとよい。
会話だけしてても事態は解決しないから、
結局行動しないとだめなようにしておくのが、コツだ。
行動しないとペナルティが課せられるように、
締め切りやリスクをつけておくと、嫌でも行動せざるを得なくなる。


三番目のシーンは、解決して元の日常に戻る。
行動が成功しようが失敗しようがどちらでもよい。
それについて、どう思うかをまた会話してもよい。
元に戻るから、最初のシーンと同じところに戻って終わる話も、よくある。
(例:喫茶店で話していて、最後も同じ席で話すシーンで終わるなど)



これらは、問題、解決過程、解決という、
三幕構造を、無理矢理3シーンにほうりこんでみたものだ。

1シーン書ける力があるなら、
こうやって3シーンに伸ばすだけで、
それはひとつのストーリーになる。

コツは、事件の大きさを選ぶことで、
映画や漫画みたいなド派手なものを選ばないことだ。

子猫を拾ったとか、
A子が悪口を言ってるとか、
テスト勉強するのが嫌だとか、
金欠だとか、
告白したいとか、
そういう些細な日常の問題を選んでみよう。
(勿論、これが書けるようになれば、
徐々に問題を大きくしていくのである)

現実世界で、5分から一時間程度で解決できる問題にするのがコツだ。


同じキャラで別の事件と解決を書くとよい。
これをシリーズという。
同じ事件を別キャラでやるとよい。
こっちのほうが難しい。
キャラクター設定を全然別にする実力が必要だ。
キャラが違うから、解決の仕方も結末も変わるかも知れないね。

たった3シーンと侮るなかれ。
3つのシーンはまるで様相が変わってないと面白くない。
しかも唐突でなく自然でなければならない。

3シーンを書くエクササイズ、やってみるとよい。

慣れたら、それを1シーンで出来ないかとか、
(そこに行かなきゃいけない話を、
当人をその場に呼び出すことで場所を変えない、など)
4シーンや5シーンに増やせないかとか、
色々変形していく。
どんなに変形させても、
問題、解決過程、解決さえあれば、
うまく書くことが出来ることに気づく。
逆にそれがないと途中でグダグダになったり、
詰まって書けなくなるだろう。

そのうち、
問題、解決過程、解決を別紙にメモしておき、
それを見ながら書き始めるかも知れない。
その別紙を、プロットというのだ。


プロット、執筆(台詞やト書き)、シーンの構造、
主人公や聞き役や助け船、事件と解決など、
様々なことの関係が、学べるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 11:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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