1シーンなら書ける。
そういう初心者はたくさんいる。
意味ありそうなシーンで、意味ありげな会話をすればよいからだ。
それを三つ書けばストーリーになる。
わけではない。
だが、次の要件を満たせばストーリーになるだろう。
主人公サイドは二人おいておくこと。
一人だと独り言になったり孤立するので、
話が進みにくい。
会話の聞き役や助け船を出す役を横においておくとよい。
(てんぐ探偵の妖怪「二番」では、主人公の菜々の片思いの話だが、
一人で思っているだけでは話が進まないので、
親友のヨリ子がいることで話が進むようにしている)
最初のシーンで、事件が起こるようにする。
主人公が起こした問題でもいいし、
降ってわいた災難でもいい。
3シーンで終わるショートを今書こうとしているので、
体感で言うと5分から一時間以内に解決しそうな、
簡単な問題に限定しよう。
起こった事件にたいして、逃げては話にならないので、
それを解決しようと思うまで、会話や行動を重ねてみよう。
二番目のシーンは、解決の過程である。
前のシーンで起こったことに対しての、
リアクション(会話や表情、そして行動)を書くとよい。
会話だけしてても事態は解決しないから、
結局行動しないとだめなようにしておくのが、コツだ。
行動しないとペナルティが課せられるように、
締め切りやリスクをつけておくと、嫌でも行動せざるを得なくなる。
三番目のシーンは、解決して元の日常に戻る。
行動が成功しようが失敗しようがどちらでもよい。
それについて、どう思うかをまた会話してもよい。
元に戻るから、最初のシーンと同じところに戻って終わる話も、よくある。
(例:喫茶店で話していて、最後も同じ席で話すシーンで終わるなど)
これらは、問題、解決過程、解決という、
三幕構造を、無理矢理3シーンにほうりこんでみたものだ。
1シーン書ける力があるなら、
こうやって3シーンに伸ばすだけで、
それはひとつのストーリーになる。
コツは、事件の大きさを選ぶことで、
映画や漫画みたいなド派手なものを選ばないことだ。
子猫を拾ったとか、
A子が悪口を言ってるとか、
テスト勉強するのが嫌だとか、
金欠だとか、
告白したいとか、
そういう些細な日常の問題を選んでみよう。
(勿論、これが書けるようになれば、
徐々に問題を大きくしていくのである)
現実世界で、5分から一時間程度で解決できる問題にするのがコツだ。
同じキャラで別の事件と解決を書くとよい。
これをシリーズという。
同じ事件を別キャラでやるとよい。
こっちのほうが難しい。
キャラクター設定を全然別にする実力が必要だ。
キャラが違うから、解決の仕方も結末も変わるかも知れないね。
たった3シーンと侮るなかれ。
3つのシーンはまるで様相が変わってないと面白くない。
しかも唐突でなく自然でなければならない。
3シーンを書くエクササイズ、やってみるとよい。
慣れたら、それを1シーンで出来ないかとか、
(そこに行かなきゃいけない話を、
当人をその場に呼び出すことで場所を変えない、など)
4シーンや5シーンに増やせないかとか、
色々変形していく。
どんなに変形させても、
問題、解決過程、解決さえあれば、
うまく書くことが出来ることに気づく。
逆にそれがないと途中でグダグダになったり、
詰まって書けなくなるだろう。
そのうち、
問題、解決過程、解決を別紙にメモしておき、
それを見ながら書き始めるかも知れない。
その別紙を、プロットというのだ。
プロット、執筆(台詞やト書き)、シーンの構造、
主人公や聞き役や助け船、事件と解決など、
様々なことの関係が、学べるだろう。
2016年05月01日
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