2016年05月13日

冒頭のインパクトを、禁止してみよう

冒頭からガツンと言って、
そのままノリノリで引っ張って。

それは理想に過ぎない。
ファイアパンチのように失速すると、目も当てられない失敗になる。
(もっと失敗は、くそ実写ガッチャマンの記録的失速だ)

その変化球を覚える前に、
普通の直球を覚えよう。


何からはじめる?

世界観?
キャラ設定?
イメージ?

ノー。
そんなことやってるから、
タルい冒頭になり、
冒頭からガツンとやらねば、
などという強迫観念を、間違って自分のなかに育てるのである。

設定をしてはいけない。

何からはじめるべきか?

最初の焦点からである。


あなたは他人の作った物語を、
どうやって見るか?
世界観の設定からまず見る?
キャラ設定からまず見る?
違うよね?

まず何に注目して、どのスタンスで見ればいいか探すところからだよね?


これはある惨めな男の話であり、
貧乏なことに困っていて、職を見つけられるかどうかが、
最初の焦点になる、とか、
とある高校がライバル高校に水面下で酷いことをされていて、
救世主の出現を待ち望んでいて、
正門前で嫌がらせをする狼藉まで働かれたところに、
助っ人忍者参上!とか。

そこに物凄く興味を持つとか、
ガツンとやられるとか、
感情移入してしまうとか、
そんなことは求めなくていい。

まず、どういう状況で、
私たちは何に注目して今後見ていけばいいかを、
立ち上げることを最優先にすればよい。


ということは、それに必要な情報は、
最小限にするべきなのは、言うまでもない。
世界観の設定とか、キャラ設定なんてことをやっていては、
無駄ばかりである。

最初の焦点をまずつくれ。

その過程で、その先に必要な世界観やキャラを、
小出しに出しておくのはやぶさかではない。


最初の焦点が生まれるまでダラダラ長く、
世界観の設定からキャラ設定から、単独でやられるから、
詰まらなくなり、取りこぼすのだ。

最初の焦点を、はやめに立ち上げよう。

その焦点を追ううちに、
状況が進んで行き、
そのなかで次々と世界観やキャラのことが同時にわかるようにしよう。

それが下手だから、
設定を読み上げたような冒頭しか書けないのだ。


たとえばファイアパンチの2-4話では、
まだ最初の焦点が立ち上がっていない。
「アグニ(とサン)は、○○の為に(あるいは○○に向かって)
××をしようとするが、それは成功するだろうか」
というようにしなければならない
(○○や××は、抽象的なものではなく、
具体的なものが入らなければならない。
復讐とか妹の仇をとる、などのような抽象的なものではなく、
ドムドーラの砦の鍵を奪い、
そこに逗留する帝国軍からクシャナ殿下の居場所を聞き出す、
などのように具体的でなければならない)のだが、
そのように焦点が立ち上がっていないため、
何に注目して見ていいか、まだわからないのである。

一ヶ月その状態が続くのは、
週刊連載にとって危険だと、俺は思うよ。


二時間映画なら、
開始8分から15分あたりにそれがないと、
この先辛くなる。



最初にガツンとやるのは、
その基本がきちんと出来るようになってからでいい。

ジョエルシルバーか、ジェリーブラッカイマーあたりが、
最初に爆発させて惹き付けろ、
なんて言い出した気がする。

基本が出来てる奴にそうコントロールするのは正しいが、
基本も出来てない奴にやらせても、
出落ちで失速するに決まってる。

ファイアパンチ、くそ実写ガッチャマンなどは、
その罠にまともに嵌まったと僕は考えている。



さて。
冒頭のインパクトなど考えるな。

まずはきちんと話を滑り出させることに、
注意してやればよい。
滑り出したら、あとは動きながらでしか話を進められない。
静止しているのは、滑り出す前だけである。

(ファイアパンチはまだ話が滑り出していないから、
静止していて退屈なのである)
posted by おおおかとしひこ at 02:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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