ストーリーの種を沢山撒いたファームから、
いくつかモノになりそうなのが出てきたら、
プロットの形に起こしてみる。
そのピックアップの基準は、
冒頭と落ちが決まっていることである。
落ちの決まっていないものを、いくらプロットで練っても、
いいものは出来ない。
偶然出来ることもあるけど、確率的に低い。
冒頭の面白そうな事件と、
主な登場人物と、
落ち。
これが確定していることが、プロットへ移行する為の条件と思ってよい。
これは結局何を確定させているかというと、
「この話が存在している意味」なのである。
こういう事件がこういう顛末を迎えた、
ということは、どういう意味を示すのか。
それは、あなたがストーリーから何を読めるかという読解力に比例する。
たとえば、
人に親切にしたら周りも親切になり、世界が良くなったのなら、
「人に親切にすることは良いことだし、意味がある」になるし、
人に親切にしたらつけこまれて、最後に殺されたら、
「親切なんてするもんじゃない。世界は残酷だ」になるだろう。
残酷な世界で親切などないときに、
親切をして、最初はバカ扱いされるが、
最後には親切が帰ってくる話なら、
「世界は残酷だが、理解する人はどこかにいる」という意味になるだろう。
題材の料理の仕方、落ちで、ストーリーの意味は決まるのである。
例は単純化したけど、
今僕が書いてるショートストーリーの例を示そう。
1. パラレルワールドの自分と出会い、
自分より成功している彼と入れ替わろうとするが、
途中で自分の世界に戻り、責任を取ることで成功しようと決意する。
これは、「自分で責任を取ることが、結局自分の成功なのだ」
ということを意味している話だ。
2. お互いに好きな女の特徴を言い合うのだが、
全く違うところを言う。
話を詰めていくと、なんと同じ女に惚れていたことがわかる。
お前どこみてんだよ!とお互いを罵っておしまい。
これは、「人は人によって見てるところが違うし、
違うところを誉める奴を見る目がないと罵るものだ」という、
皮肉な意味を示している。
こういうのは、落ちが決まっていなければ、
意味も確定しない。
プロット段階に進むときは、
「こういう意味の確定している話を、ふくらまそう」
と思ってまな板に乗せるのである。
上の例だと、
パラレルワールドの自分との出会い方を面白くしたり、
相手のパラレルワールドに行ったら、
第三のパラレルワールドの自分に出会うなんて展開を用意した。
二個目は、
一人がおっぱいフェチ、一人が脚フェチだということにして、
なるべく女の別々のところを見ているように対比させ、
ディテールを詰めていった。
これらを、白紙一枚に手書きでメモ状態で書いていく。
上の方に冒頭のメモ、下の方に落ちのメモ。
あとは展開のアイデアや、脱線ぶりや、
追加アイデアや削除などを、フリーレイアウトでぐりぐりやる。
上の展開例は、そういう風にして作ったのである。
これは、落ちが決まっているから出来ることだ。
1の展開は、最終的に自分の世界に戻り、
自分の世界に責任を持つことが分かっているからこそ、
第三の可能性の自分に出会うという展開が思いつける。
2のフェチも、落ちが決まっているからこそ、
なるべく分かりやすい対立項にするべきだと判断できる。
いわば、落ちへの逆算で一番面白くしていくのである。
このプロットがすべてだ。
自分用だから、文章に整理しなくてもいい。
あとは、最初に決めた意味になるように、
執筆をすればおしまいである。
このやり方は、ショートストーリーだけでなく、
長編にも応用できるだろうか?
出来ると思う。
事件の規模がもっと大きく、深く、
関わる人が多く、
落ちが決まり、どういう意味か確定していれば、
それを面白く組んでいく、
という規模が大きくなるだけだと、
僕は考えている。
その例を示したいが、未発表なのでまた今度。
2016年05月15日
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