なかなか面白い例なので、
さらに発展してみる。
つまり、あなたの話が面白くない理由は、
こういうことかも知れない。
・中心となることを、「象は大きい」と書いている誤り。
唯一の、オリジナリティのある、面白い、
平凡でない、中心となる何かを間違って採用している。
平凡で、他に埋もれて目立たず、
記憶にも残らないし、興味も持てないことが、
中心になっていないか?
それをまず見直す必要があるかも知れない。
随分長いこと製作していればいるほど、
自分の非を認め、覆すことは困難だ。
しかし真の失敗は、結局「象は大きい」という平凡なものを、
完成させて世に出すことである。
・「象は大きく、鼻が長く、長生きする」と、
中心が見えない誤り。
どれがメインでとれがサブか分からないと、
人は覚えられない(記憶に定着しない)。
先日トレインチャンネルで見たダメなCM。
「○○商店街は、あいうえお商店街。
あ:(あで始まるそこの特徴)
い:(同)
う:(同)
え:(同)
お:(同)」
俺、5個も覚えられねえよ。
「あ」に当たる何かを、一つに選ぶことが、
勝利の秘訣だったのに、選びきれなかったのだろう。
AKB48の成功は、前田敦子を不動のセンターにしていたことであり、
AKB48の凋落は、センター争いをしはじめてからである。
一つを主に、他を従にする構造にしないと、
全てがフラットな要素で、
余計に何も覚えられない。
重点はどこか。それを判断すること。
・「象は鼻が長いのだが、ニューヨークは素晴らしい」
などの、メインと関係のないものを混ぜている誤り。
上の奴よりたちが悪い。
象の話に統一しよう。
ニューヨークでなく、アフリカなら許されるかもだ。
何故なら象はアフリカと関係あるからだ。
ニューヨークでたとえたことは、サブプロットの誤りに多い。
メインと関係ないサブプロットやサブテーマ、サブモチーフをいれてしまい、
どっちがメインか分からなくなり、
水と油の二つ(以上)が混ざらないものになるパターン。
水か油かどちらかを残すか、
どちらかをどちらかに関係したものにするべき。
(部分集合や補集合でもよい)
・「象の鼻は実は上唇の発達したものであるが、
鼻に見えるので、やはり鼻が長いと言える」
という、メインの骨格がよれる誤り
メインの骨格が複雑になって、
結局よく分からなくなってしまうことがある。
上唇に当たる部分が、話をややこしくしている。
思いきってバッサリ行くと、
シンプルな骨格に煮詰めることが出来るかも知れない。
例で出したのは上唇だけだが、
下唇の話とか、脇に牙がありとか、
大抵はさらに話が入りくんでしまっていることが殆どだ。
何も知らない人に説明しやすい、
シンプルな骨格にするにはどうすればいいかを、
考えるといいだろう。
・「象は鼻が長い」と確かに頭でもケツでも言っているが、
他のところが面白すぎて、「象は鼻が長い」が残らない
脱線のしすぎである。
本線を面白くすることを、まず考えるべきだ。
前記事ではリンゴの描写により、
より鼻をどうやって使うかを、
うまく想像できるようにしてある。
そういう工夫をすべきなのに、
ところで昨日見た映画なのだが、と、
別の面白い話で尺を埋めるのは誤りだ。
それは、話がいくつも詰まったパッケージには見えるが、
「一つの話」としては弱いだろう。
(たとえばスタンドバイミーには、
白い鹿に出会う、神秘的なシーンがある。
これだけだと単なる脱線なのだが、
「このことは誰にも言わず、
自分だけの秘密としてしまっておくことにした」
という行動が、
テーマであるところの大人への成長(自分だけの秘密)を、
端的に描くことに成功している。
だからこのエピソードは効果的なのである)
オムニバスや群像劇が弱いのは、
脱線ばかりしていたり、
話がバラバラに存在するかのように見えてしまうからだ。
一つの背骨に、内臓はぶら下がらなければならない。
あなたの書く物語は、
ちゃんと書けていないかも知れない。
上のような誤りをしていたら、
速攻で直すべし。
(当然のことだが、
昨今のぐだぐだの実写化脚本は、
こういう誤りを多々犯していると思う)
2016年05月16日
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