2016年05月18日

で、結局何を書けばいいんだ?3

執筆レベルの目線、
つまりシーンや登場人物の事情や気持ちを追いかけ続けていると、
ストーリーの行方が不透明になってくる。

だからもう少し上の俯瞰目線に上がらなくてはならない。


たとえば数シーン前に伏線を張ること。

次のシーンや今のシーンで、
以前のシーンで使ったものを再利用して、
話の推進力に使うものを、
伏線という。

徹底的に使った材料じゃなくて、
あまり手をつけてないやつを使うと、
ここで利用しやすい。

これをもって、
「伏線はチラリとそれとなく見せておく」
という誤解が生まれているが、
それは伏線ではない。
以前見せておいて、
あとでもっと手を入れるつもりだったものの、
最初の本格利用、
にすぎないのである。

登場と本格利用に時間差があっただけだ。

本当の伏線とは、
Aとして使ったものが、
実はBだったと分かるものである。
その意味では、伏線はどんでん返しでもある。

効果的な伏線とはつまり、
ちらりと見せたものの後利用ではなく、
過去の別のものが全く違う意味をもち、
しかも矛盾がないように巧妙に計画されていたものを言う。

どんでん返しは、このような定義でいいと思う。
普通どんでん返しは、ストーリーの根幹に関わるもの、
という認識かも知れないが、
小さなどんでん返しだってある。
数シーンかかるものが小さなどんでん返しで、
ストーリーの前半の伏線を、
一気にラスト付近で一気にひっくり返すのを、
世間一般で言うどんでん返しというに過ぎない。
(区別をつけるなら、小どんでん返しと、大どんでん返しか。
小どんでん返しが効果的な伏線である、
と言ってよい)


少し俯瞰目線に出ると、
数シーン前後を見渡すことが出来る。

通常は、
時間軸的には数シーン前後、
空間的には複数のストーリーライン(話題)、
複数の登場人物の事情、
を俯瞰しながら、
執筆を進めることになる。
オーケストラの指揮者みたいな立場かね。
現場監督かな。


進め方の基準は、誰(の何)が一番緊急か、
で決めていくとよい。
その辺は複数の仕事と同じで、
納期の速い順から片付けていくのが原則だろう。

ただし、最も緊急なことを片付けるために、
別のことで伏線を引いておくこともある。
数シーン前後を見渡す視点に立てば、
近視眼的にやんなきゃいけないことと、
後々の為にやっておくべきことの、
区別がつき、
計画的にシーンを並べて行くことが可能だろう。
(ぷよぷよの、連鎖を組むみたいなイメージだ)

逆にそうしないと、
近視眼的にストーリーを語ってしまい、
ひとつが片付いたら次、
というぶつぎれでぎくしゃくした話にしかならない。

私たちは「ひとつに纏まった話」が見たいのであって、
バラバラの話を見に来るのではない。
ひとつに纏めるのは、作者の力量である。



この数シーン前後の俯瞰視点で重要なのは、
「持つか、持たないか」だと思う。
次回に続く。
posted by おおおかとしひこ at 11:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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