小道具を物語の鍵に使ったり、
ポイントポイントで使えるようにしよう。
そうすると、説明の手間が省けるというものだ。
下手な人は、小道具が使えない。
人間を出して、喋らせるので精一杯なのだろう。
喋らせるのと身体的表現で、
いっぱいいっぱいなのだろう。
何もかも言葉と身ぶりで説明しようとして、
説明過多になり、
めんどくさい説明になっているに違いない。
小道具を使うと、
説明を省略できることが多い。
百聞は一見にしかずだからだ。
どれだけ説明したって、
ひとつグラフを出せば一発で分かる、
みたいなことだ。
殺意なんて、懐から出した刃物で示せる。
その人の人柄を、書いた字や絵から示せる。
(誠実そう、バカそう、キチガイそうなど)
その人の着てたものを着ることで、愛情を示す。
小道具の使い方のコツは、
その小道具が本来使われる目的以外で、
使うことだ。
たとえば自転車は、
「ある近くの場所へ行く」為に使うのなら、
それは小道具による表現ではなく、
ただの説明だ。
(もっとも、目的地が近いという説明ぐらいにはなる)
これが、「恋人未満の二人が、二人乗りをする」
という小道具になった瞬間、
それは単なる移動手段ではなく、
親密の空間を作ることになる。
あるいは逆に、「自転車といえば二人乗りの恋」みたいなのを
前ふりしておいて、
自転車が出てきたらかわいい子と二人乗りと思いきや、
ただの移動手段でガッカリしたり、
オバサンと二人乗りの羽目になったり、
男と二人乗りの羽目になったり、
その自転車で発電しなければならない、などすれば、
逆目で小道具を使っていることになるわけだ。
つまり、小道具は、
本来使われる文脈と、
我々がそれに込める特別の意味と、
ふたつの文脈を重ね合わせることが可能だ。
多くの説明台詞は、
小道具を使うことで効果的に省くことが出来る。
その場面の絵的な印象も強まるし、
実のところ小道具はほとんどがマクガフィンでよかったりする。
(つまり何でもいい)
小道具の使い方は、演劇のほうが得意かもしれない。
舞台装置と小道具の使い方の関係を、
演劇から学ぶのもいいかもだ。
現代では何でもかんでもスマホになってしまったが、
固定電話、カメラ、メモ、新聞、地図、路線図、
ウォークマン、アルバム、ボイスメモなど、
既にスマホに一体化されている小道具を、
いちいちばらして使ってみるのは面白いかもしれない。
2016年05月22日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック