2016年05月22日

小道具を使いこなそう

小道具を物語の鍵に使ったり、
ポイントポイントで使えるようにしよう。

そうすると、説明の手間が省けるというものだ。


下手な人は、小道具が使えない。
人間を出して、喋らせるので精一杯なのだろう。
喋らせるのと身体的表現で、
いっぱいいっぱいなのだろう。

何もかも言葉と身ぶりで説明しようとして、
説明過多になり、
めんどくさい説明になっているに違いない。

小道具を使うと、
説明を省略できることが多い。
百聞は一見にしかずだからだ。

どれだけ説明したって、
ひとつグラフを出せば一発で分かる、
みたいなことだ。


殺意なんて、懐から出した刃物で示せる。
その人の人柄を、書いた字や絵から示せる。
(誠実そう、バカそう、キチガイそうなど)
その人の着てたものを着ることで、愛情を示す。

小道具の使い方のコツは、
その小道具が本来使われる目的以外で、
使うことだ。

たとえば自転車は、
「ある近くの場所へ行く」為に使うのなら、
それは小道具による表現ではなく、
ただの説明だ。
(もっとも、目的地が近いという説明ぐらいにはなる)

これが、「恋人未満の二人が、二人乗りをする」
という小道具になった瞬間、
それは単なる移動手段ではなく、
親密の空間を作ることになる。

あるいは逆に、「自転車といえば二人乗りの恋」みたいなのを
前ふりしておいて、
自転車が出てきたらかわいい子と二人乗りと思いきや、
ただの移動手段でガッカリしたり、
オバサンと二人乗りの羽目になったり、
男と二人乗りの羽目になったり、
その自転車で発電しなければならない、などすれば、
逆目で小道具を使っていることになるわけだ。


つまり、小道具は、
本来使われる文脈と、
我々がそれに込める特別の意味と、
ふたつの文脈を重ね合わせることが可能だ。

多くの説明台詞は、
小道具を使うことで効果的に省くことが出来る。
その場面の絵的な印象も強まるし、
実のところ小道具はほとんどがマクガフィンでよかったりする。
(つまり何でもいい)

小道具の使い方は、演劇のほうが得意かもしれない。
舞台装置と小道具の使い方の関係を、
演劇から学ぶのもいいかもだ。


現代では何でもかんでもスマホになってしまったが、
固定電話、カメラ、メモ、新聞、地図、路線図、
ウォークマン、アルバム、ボイスメモなど、
既にスマホに一体化されている小道具を、
いちいちばらして使ってみるのは面白いかもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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