2016年05月26日

「弱虫ペダル」ドラマ化だそうな。

山さん、僕に連絡がないのですが…。

ということはおいといて、
昔「シャカリキ!」を実写化したい、
と企画を出した者として、
考えうる問題点をさらっておこう。

このハードルをクリアしないと、
おそらく成功しない、
最大の問題点は何か?


勝手に各回30分とすると、
「レースシーンを各回5分とか3分以内にしなければならない。
つまり残り25分から27分は、ドラマパート」
という制限があることである。


レースシーンはすなわちアクションシーンのことである。
ちょっと考えれば分かるが、
走る自転車を撮るためには、
カメラカーによる並走撮影をしなければならない。
(今なら自撮り棒をくくりつけるやり方もあるだろうか。
だとすると客観並走視点は、自転車に乗せた自撮り棒カメラか。
しかしこの絵の切り返しは15分も持たないだろう)
また手間的に面倒なのは、
走りながらの台詞劇にする場合、
台詞を録音するのは難しい(カメラカーのエンジン音が入る)
から、全てアフレコになることで、
臨場感が失われることである。

これらをクリアして、
「ほとんどの時間レースをしている漫画」を、
その通りに実写化するには、
技術的困難(正確に言うと、予算的困難。
機材費ではなく、手間がかかる故の拘束人件費)
が立ちはだかる。

それにそのまま挑むことは、恐らくないだろう。
舞台版では、ハンドルだけ持って足踏みすることで、
「レース場面の尺を伸ばす」画期的工夫をした。
アニメ版では、アップを使えば自転車作画は不要なので、
コスト的にはレースシーンのほうが楽かもだ。

そのような技は、実写にはない。

ということで、
「殆どの尺をドラマパートにする」
ことが即ち実写化ということなのである。

これは「風魔の小次郎」というバトル漫画を、
ドラマ化したときと同じ制約構造である。



ということで、
ドラマパートの脚本の出来に、
実写版の出来は左右されるのである。



常々言っているが、
仮に派手なバトルがじゃんけんになった
(つまり何らかの決定が下されるというストーリー上の機能、
ということにおいては、
脚本的にはバトルとじゃんけんは等価だ)
としても、面白い話を作らなければならない。

ドラマ風魔は、そのつもりで作った。
(結果的に、アクション班とCG班の頑張りも功を奏した。
危険なのは、アクションはいいのにストーリーが詰まらない、
ドラマ版キューティーハニーのようになることだ)


さあ見物だ。
面白いドラマパートのストーリーを、
上手く作れるのだろうか?


腐女子ビジネスだと割り切れば、
イケメン男子のわらわらが描かれて、
ドラマでも何でもないものに仕上がるだろう。
(逆に萌豚ビジネスと割り切った、
AKBの女子がわらわらしてるだけの、
どうでもいいドラマ未満のものは、
大量生産されては消えていったよね?)


ちゃんとしたドラマを作らねば、
と志の高いスタッフ達がいることを願う。

(僕の予測に反して、
殆どのことが自転車の上で起こるドラマになるのなら、
僕はひっくり返って拍手する)
posted by おおおかとしひこ at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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