2016年05月30日

神バランス4(ズートピア批評4)

見ているときに思ったのは、
様々なバランスに目端が効いていること。


恋愛と友情のバランス。
(下手な日本映画なら、キスや告白まで行ってたとこだね)

キャラのバランス。
(下手な日本映画なら、男女や年齢や様々なタイプのバランスが、
悪いだろう。たとえば監督の好みの女ばかり出てくるとか)

笑いとシリアスのバランス。
(下手な日本映画なら、笑いはお笑い芸人担当にしてしまうだろう。
真剣なときこそジョークな物言いが決まることもある。
その軽妙酒脱さ)

音楽のバランス。
(下手な日本映画なら、あんなにワクワクしながらも、
かつ主題を歌えないだろう)

ストーリーとアクションのバランス。
(下手な日本映画なら、こんなに緩急をつけられない。
アクションはアクション班、ストーリーはストーリー班が撮ったりする)

どん底と幸福の起伏のバランス。
(ミッドポイントを最高に、その他を上下する計算。
たとえばキツネとの出会い、人種差別を助けた→詐欺だった、
の気持ちの起伏から、ミッドポイントに至るまでの上手さ。
日本映画は、ここまで気持ちの起伏を上手く作れるか?)

絵で見せるバランス。
(最近の映画には珍しく、イコンになるシーンが多かった。
たとえばメリダとか全然覚えてないもんね。
日本映画はイコンになる名場面を作れない病になっている)

ストーリーデベロッパと脚本のバランス。
(ストーリーを作る人は沢山いたけれど、
最終稿だけ監督が書いている。
screenplay byのクレジットがその意味。
だから会話は軽妙で、小道具や伏線や構成やバランスなどの設計がしっかりしている。
日本の脚本家は、一人でここまで出来る人はほぼいないし、
共同脚本なんてやったら脚本料半分の脚本家しか集めない)



全てに目端が効いた、
ベテランの構成力技とイキのいい演出。
理想の脚本である。

僕はこの映画を絶賛すると同時に、
日本映画が100年の差をつけられたと感じて、
絶望的な気分になった。


日本のエンターテイメントは、もうどうしようもない。

人に勇気を与え、社会を風刺し、
しかもベターワールドにして、
笑わせて、泣かせて、ドキドキさせて、
いいものを見た充実感になること。

僕はそういうものが作りたいのだが、
日本映画で作れそうにない。
(漫画やゲームなら出来るの?
それも怪しくなってきたね。ジブリ以外のアニメで出来るのかな?)
それが悔しくて、諸手を挙げられない。

エンターテイメントはアメリカに叶わない。
歌や踊りや芝居の凄さ(原始的)だけではない。
実は根本の、ストーリーの力強さが叶わないのである。

僕はいつか、これに匹敵するものを作りたい。
協力者、求む。
posted by おおおかとしひこ at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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