2016年06月02日

思考速度

観客の、
自分の思考速度よりちょっぴり速く展開すると、
「すげえ!予測がつかなくてハラハラする!」ってなる。

自分の思考速度と同じくらいだと、
「な?こうなると思ってたんだ!」ってなる。

自分の思考速度より遅いと、
「読めてるし、たるい」ってなる。


あなたの物語は、どのような速度か。


自分の思考速度は、人より速いか遅いかは、
自覚しておいたほうがよい。
人の思考速度を、何となく分かっておいたほうがよい。

どんでん返しや衝撃的展開や、度肝を抜く展開は、
実は、観客の思考速度より速く展開させれば作れる。
与える情報を制限して展開のスピードをあげればよい。

ところが、これだけやってると飽きてくる。
「置いてかれた」とか「なんか何やってるか分かんない」とかで。

観客の思考速度と同じぐらい、遅いのも含めて、
観客の思考速度と、適度なデッドヒートをするとよい。


ストーリーテリングは、
観客の思考速度とのレースである。
レースというより、セッションだ。
ダンスといってもよい。

演劇なら、リアルな観客を目の前にするから、
アドリブで展開のテンポを変えられるが、
映画ではそうはいかない。
(小説や漫画では、読み手側でスピード調節が可能)

脚本とは、その思考速度のダンスをも、
しなければならない。


上手な台本は、そのように書かれている。
殆どの人が「テンポがいい」と思うように書かれている。
テンポとは、一定のリズムを刻むことではない。
それらの緩急で、観客の思考速度とダンスをすることだ。

初心者のストーリーテラーは、
自分の話をするので精一杯だろう。
中級者のストーリーテラーは、
相手の顔を見ながらなら調節出来るだろう。
上級者は、観客を想定しながら、
自動調節出来るというものだ。

脚本が特に難しいジャンルなのは、
このことがあるからかも知れない。


観客の思考速度を計ること?
沢山の名作に触れることでしか、体感出来ないと思う。
(その意味で、思考速度の遅い人は、
脚本家に向かないのではないかと思う。
本人と書くものが別物になっていれば問題ないが)
posted by おおおかとしひこ at 13:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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