2016年06月03日

会話劇のコツ

という検索ワードで来た人がいたので、議論してみよう。
色々あると思うけど、
一個だけ外してはいけない大事な事をあげると、
「それぞれに目的を設定しておくこと」
ではないだろうか。


目的のない会話は、ただのおしゃべりであり、
それは物語ではない。

どこへでも向かい、目的地がないからである。

物語とは、結論へ向かう、方向性のある時間軸のことである。


男女の会話劇だとしても、
男の目的が「口説くこと」、
女の目的が「口説かれてるふりをして金を引き出すこと」
だとすれば、
それはおしゃべりではなく会話劇になる。
どちらかの目的が果たされればハッピーエンド、
どの目的も果たされなければバッドエンドだ。

小さな目的でもいい。
男の目的が「会話の中で一回手を繋ぐこと」、
女の目的が「スイーツを食べること」、
だとすれば、双方の目的が同時に果たされるハッピーエンドにすることも可能だし、
双方の目的が果たされそうになったら邪魔が入る、
というシステムで話を転がすことも出来る。

目的は最初からあったほうが、
話をシンプルにしやすい。

途中で目的が変わってもいい。
たとえば、最初の目的が「彼女を口説く」で、
状況に応じて「キスする」「手を繋ぐ」「頭をポンポンする」
「家を突き止める」「せめて匂いを嗅ぐ」などに変わっていってもいい。
目的の消失で終わってもいい。
(「もういいよブス!」って負け惜しみで終わるとか)

ただ、最初に目的がないと、話のはじめようがない。
「暇だなあ。することがないや」
から始めたとしても、「面白いことを見つけたい」という目的の、
会話劇を作ることが出来るだろう。


それがどんな会話であれ、
会話劇とは劇だ。
ということは、
登場人物に目的があり、それが実現するか否かが焦点になり、
その実現または非実現の決定という結末がなければならない。
で、劇であるからには、
登場人物の目的と矛盾する目的の人が出てきて、
衝突や齟齬を起こし、
どちらかの目的を果たすように、
二人(以上)がなんとか工夫しなければならない(コンフリクト)。

前記事の、ディベートのエクササイズは、
まさにそれの練習法のひとつである。



さて、
会話劇のもうひとつのコツは、
会話上手になることだ。
これは実際、才能がいる。

軽妙酒脱な言い回しやジョークを挟んだり、
オシャレに言ったり、
下品さが面白かったり、
パッと意外な事を言ったり、
上手いこと言ったり、
言葉のチョイスが斬新だったり、
蘊蓄が面白かったり、
意外な所の話が繋がってきたり、
ノリが悪くなったらノリを引き戻す技があったり、
何か感心することを言ったり、
などが、
臨機応変で出来なければならない。

それが出来ないなら、会話劇はやめておくことだ。
会話劇は才能勝負だ。
おしゃべり名人でないなら、
会話劇は避けるほうがいいよ。
(リアルでおしゃべりでなくとも、
会話劇のうまい人はいる。それは観察力や再現力に秀でている)

あるいは、朴訥な会話だけで構成する会話劇も、
あるはあるので、それに挑むのも良いかも知れない。


さて、物語には中身とガワがある。

会話劇の場合、
中身は、
双方(または三人以上)の目的が、
どうコンフリクトを起こし、
どう決着がつくかまでの大まかなプロットと、
それが示すテーマのことであり、
ガワは、
洗練された台詞や冗談や伏線などである。

それを区別しながらコントロール出来たら、
会話劇が得意になるだろう。

僕はわりと得意なほうだとは思う。
キャバクラなど、
会話しかしない場所に限定するのも、
会話劇の練習にいいかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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