2016年06月08日

思いつかない?

時々、
「プロット 思いつかない」
「ストーリー 思いつかない」
「展開 思いつかない」
なんて、「思いつかない」人が、
苦し紛れに検索をして、
このブログにたどり着いているようだ。

今日は、「思いつく」方法論について。


思いつかないとき、
そもそも自分がどうやって思いついていたかを、
思い出すことである。

かつてはバンバンナイスアイデアを思いついたのだが、
急に思いつかなくなったのだとしたら、
あなたのストックが尽きただけである。

もし一度も、
「バンバンナイスアイデアが思いついてしょうがないモード」
に入ったことがないのだとしたら、
あなたはそもそも「思いつく」ということの童貞である。
いきなりやれと言われて、思いつかないのは、
思いついたことがないからである。


プロは、なんとかして思いつく。
それは、これまで、「自分が思いつく」ことについて、
経験豊富だからである。


僕なりのコツを。

1. インプットを欠かさないこと。

赤ちゃんは思いつかない。
自分の脳の中に何かが入っていないと、思いつかない。
脳の中の引き出しが空っぽ、
という表現があることから分かるように、
そもそもあなたの中に何かがないと、
思いつくことは出来ない。

一定時間考える行為をすると、
脳の中の情報は急速に消費される。
一時間、二時間も考えると、
まあ頭の中はすぐに空っぽだ。

そういうときは、またインプット行為に戻らなくてはならない。

さて、インプットは何をすればいいか。
映画を作るのに、映画をインプットしてはダメだ。
新聞記事とかワイドショーとか、
へんてこな経験とか、
「違うこと」をインプットするのがよい。

先輩の監督は、いつも風俗に行っていた。
そこの子との会話が、のちのち役に立つのだそうだ。
大体訳ありだからね。しかもリアルな。
しかも馬好きで、地方競馬を回るのが趣味だった。
その旅は自分で何もかも手配し、
あるいは行き当たりばったりで宿に入るなど、
ネットがなく、雑誌情報の乏しい頃からやっていた。
自分で時刻表を読むことからやっていた。
勿論、地方競馬で勝てば風俗だ。

ネットで得た「仮の知識」、
同じジャンルの知識に比べ、
自分で体験したヘンテコなことは、
自分の身に蓄積される。
全然違うことのアイデアは、他の人とは一線を画するアイデアになりやすい。


アイデアを思いつくコツは、
「全然違うことと結びつける」ことである。
人間のキャラに困っているとしたら、
上の先輩なら、馬のキャラから持ってくるかも知れない。
あるいは凄い映画マニアだったから、
ギリシャ映画のなんとかから持ってくるかも知れない。
「人が見たことがないもの」。
それこそがアイデアである。

だから、人生経験が豊富な人ほど、アイデアに富む。
別のジャンルから組み合わせることが出来るからだ。

あなたの専門は何?
シナリオと関係ないことでだ。
漫画とかアニメはダメ。近すぎる。
それは過去作を沢山見てる、研究家としての一面で、
あなたの専門はその別になければならない。
かの先輩なら馬と風俗、
僕は格闘技と絵かな。理系のこともか。都市伝説も好きだな。

アイデアは、別のことから思いつく。

たとえば板チョコに切れ目が入ってて、
小分けに出来る仕組みは、
カッターの刃から思いついたのだそうだ。

チョコのことだけ見て考えていたら、
一生思いつかないだろうね。

シナリオやストーリーと関係ないことを、沢山経験しよう。
雑学を沢山知ろう。ニュースや話題を沢山仕入れよう。
女の子と延々喋れるようになろう。
女の子と延々喋れるのは、話題が豊富だからではない。
次の日までに、また何かを仕入れているのである。

僕は記憶力が薄いほうで、いつもディテールを忘れてしまう。
それが意外と、別のことから思いつくことに、
寄与している可能性はある。


まずインプットを欠かさないこと。
引き出しに沢山入ってないと、
思いつくことは出来ない。

プロは常に何かをチェックしている。
僕はニュースやまとめサイト、コンビニで週刊漫画誌の立ち読みは欠かさない。
映画は年間30-50はまだ見ている。



2. 全部吐き出すこと。

その事に関して、死ぬほど考えること。
これ以上思いつかない所まで。
引き出しを全部開けて、メモを真っ黒にすること。
さて、そうすると何が起こるか。
脳が情報をインプットしたがるのである。
そこで、いつもの情報のシャワーを浴びること。
そうすると、欲しい情報が光って見えることがある。
これだ!なんてね。
死ぬほど考えて疲れた→爆睡→次の日ボーッとしてる
→ふと何かに出会う→これだ!
というループがよくあるよ。

たとえば僕のアイデアノートを再掲する。
短編15本を書くための思いつきの数々だ。
メモ01.jpg

メモ02.jpg

メモ03.jpg


自分の中にある、ヘンテコなシチュエーションの思いつきとか、
コアになるアイデアの思いつきなどを、アットランダムに書いていく。
ここまでやって、「思いつかない…」となるのが、
正しい「思いつかない」である。
ここまでメモが出来れば、これを見ているうちに、
何らかの短編ストーリーぐらい思いつくよ。
ちなみにこれをコピーして使っても、「あなたが」思いつく保証はない。
僕の経験と込みの、アイデアメモだからである。

これぐらい脳の中を吐き出しておくと、
ある日別のものを見たとき、ピンと来ることがある。
脳が無意識に、空いた引き出しのものを欲しがってるんだと思う。
たとえば昨日はこのメモになかった、
「ジェットコースターに男二人で乗る」というワンシチュエーションものを思いついた。


あることについて、自分の知っていることを全部話す、
というのも有効な方法だ。
たとえば野球について、とか、自分と遠い、
関係ないものがいい。
同じ原理だね。



3. 締め切りをつくること。

僕らのプロの仕事は、納品日が決まっている。
終わらない仕事はない、とよく言われるが、
終わりがあるからこそ、
人は頑張れたり、普段以上の力を出せたりするのだ。

ここのブログを読んでる人は、
小説を書く人もいるだろうから、
バンバン賞に出すといい。
勿論引っ掛かれば最高だけど、
それより大事なのは、「締め切りに追われる」ことの経験だ。
締め切り直前に覚醒、という経験を積むとよい。
夏休みの宿題、8/31の集中力だ。

そのアドレナリンを、いつでも出せるようになること。
常にスーパーサイヤ人状態になることが出来る。
正確に言うと、常にスーパーサイヤ人だと死ぬので、
普段は普通で、0.5秒でスーパーサイヤ人になれるようになる。
で、終わったら0.5秒で元に戻れるようになる。
剣の達人が、普段は普通のじいさんで、
戦う瞬間だけいきなり達人になって、
一瞬で元に戻るのと同じだ。
一気にアドレナリン全開になり、
一気に普段に戻れるのは、訓練である。




とりあえず思いつくところは、こんなところか。
実はこのブログは、
ストーリー創作に関する僕の考えを、
全部吐き出す場になっている。
だから僕は次のことをインプット出来るのだ。
僕も得するし、こういうのを知らない人は得する、
Win-Winな感じだ。
posted by おおおかとしひこ at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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