大昔CMプロダクションに入った頃、
面白いCMには三種類しかない、
という物凄く基本的な話を聞いたことがある。
商品がなくて困った、という話か、
商品があって良かった、という話か、
その他だ。
(先に「その他」の話をしておくと、
連呼ものや、歌ダンスもの、ビジュアルものなどの、
非ストーリーもののこと)
つまり、ざっくり言うとストーリーCMには二つしかない。
バッドエンドで、「商品があったらなあ」と言う落ちか、
ハッピーエンドで、「商品があって良かった」と言う落ちしかないということ。
前者の方が無茶苦茶できる。
たとえばクルマのCMを作るのに、
「海へ行こう」とデートに誘ったが、
何故か徒歩。三時間ぐらい徒歩。
「クルマがあれば…」
という寸法だ。
あとは前半をぶっ飛んだ状況にすればするほど面白くなる。
ないが故にヘンテコになればなるほど、
ギャグのレベルがあがる。
後者は、いい話になる可能性が高い。
それがある幸せとか良さとか、
それが人生に与えたターニングポイントなどを描くと良いだろう。
勿論ギャグも可能で、持てる者と持たざる者を比較しても良いだろう。
物語とは、問題の解決である。
僕は問題と解決のペアに困ったら、
いつも単純なCMのやり方に戻ることにしている。
問題が解決しなくて、
どんどんヘンテコな方向へ行く悲劇(喜劇)と、
問題が解決していく為に必要なアイテム(CMでいう商品に相当)
を並べ、順番にそれがあって良かったという話を作っていくと、
大体なにがしかの物語になってしまうものである。
そこまで大まかな構造さえ出来れば、
あとはディテールを変更したりして、詰めていく。
さらに二分割してみよう。
前半がバッドエンドで後半がハッピーエンド型か、
前半ハッピーエンドで後半がバッドエンド型、
にだ。
さらにバッドエンドとハッピーエンドのビートを細かく刻んでいけば、
予測のつかない展開になっていくだろう。
リズムを変えていけば、見たことのないリズムになるだろう。
問題と解決のペアが思いつかないとき、
このように原点に戻ると、何か思いつくかも知れない。
2016年06月14日
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