2016年06月16日

揉め事を真ん中に、反対の立場の人を両極に

お話というのは、問題の解決である。
お話というのは、コンフリクトである。

その二つを同時に絵にかくと、
真ん中に揉め事があって
(昔のケンカすると煙の中でポカポカやるマンガ表現みたいな)、
その両端に、正反対の立場の人がいる、
そういうイメージを持つといいかも知れない。


その揉め事は、緊急であればあるほどいい。

たとえば、
「屋上で自殺しようとする人と、
それを止めようとする人」
というのは、典型的な例だと思う。

(そう言えばてんぐ探偵の旧第一話は、
それを天丼していたね)


緊急でない揉め事は、あまり迫力がない。
「東京オリンピックのために気持ちを準備する」なんてどうでもいいよね。
「明日から痩せる」とかも。

「フランス検事がオリンピック裏金問題に切り込み、
来週にも国際裁判を起こす」とか、
「桝添辞任によって、森が都知事に立候補してオリンピック推進」
とかなら、緊急事態だろうし、
「恋をしたから痩せたい」なら緊急になる。

緊急は人を緊張させる。
その緊張こそテンションである。
(テンションとは、糸を張る力のことだ)


で、揉め事は、揉める方がフィクションとしては面白い。
微妙な妥協案とかじゃ面白くない。
揉める人たちは、両極端な方が揉める。
ということで、自動的に、正反対な立場や主張や目的の人たちが、
両サイドにいるという構造になる。

「正義と悪」とか「三角関係」は散々人類が書いてきたので、
流石に変化球ばかりだが、
あまり書いてない揉め事を選べば、
なるべく単純な対立のほうが話が分かりやすくなるだろう。


さて、さらにここにコツを足しておく。

対立する両者には、似た所を作っておくとよい。


近親憎悪にも使えるし
(たとえば自立する娘を止める母親、という揉め事では、
「同じ家族」という枷が話を面白くする)、
和解点にも使える。
(「結局、わたしはあなたの娘なのよね」と納得、妥協することは、
最もよくある心的解決だ)

宇宙人と人間の戦争だって、
たとえば「宇宙人にも家族がいる」ということが分かった瞬間、
和平に傾くことがあるだろう。

つまり、似た所を利用して、ストーリーを動かすとよい。
逆に、我々にとっては、あとあと利用するために、
共通点を仕込んでおくというわけだ。
(勿論、最初からネタバレする場合もあるし、
ぎりぎりまで伏せている場合もある)

また、対立する二人だと、
先が読めてしまうことが多いので、
三人目、四人目を入れて、
構造を複雑にしておくものだ。

AとBが対立構造にあるときに、
AとCでの似た所によって事態が動き、
ABの対立構造に影響を与える、
という連鎖を組んだりする。(サブプロットの、メインプロットへの交差)

対立構造の決着は、
どちらかが死ぬ(物理的から、社会的に、まで)、
和解する(円満から妥協まで)、
第三の選択肢にたどり着く、
の三つしかない。

ということで、それらをターニングポイントにして、
ストーリーを次のフェーズへ進め、
最終決着までの連鎖を組んでいくことを考えると、
サブプロットとメインプロットの骨格を組みやすいかもしれない。

それに、対立点と共通点を仕込みつつ、
それをネタバレするタイミングも調整しながら、
連鎖を組んでいくのである。


いわゆる人物関係図は書く者にとって意味がない、
と僕は良く言うのだが、
そんなの書いてる暇があったら、
揉め事を真ん中にして両端に人物を書き、
対立点と共通点も書き、
そんなのをいくつも重ねがきしたものを作った方が、
ストーリーを考えやすいというものだ。



たとえば今日アップした、
てんぐ探偵新作読み切り「胡蝶の夢」を例にとれば、
人工知能と妖怪という異質な組み合わせは、
「心がある」という共通点がかすがいになってるわけだ。
つまり「人工知能は心を持つか?」という古典的なモチーフを扱っているのである。
(さらに言えば、「精巧な人形は心を持つか?」とか、
「偶像は心を持つか?」「死体には魂は残るか?」
などの古典的、根元的な問いと歴史的に直結してるわけだ。
勿論それらすべてに答えを出すほど壮大な話でもない)

あとは読めばわかるけど、
チーフエンジニア羽澄とプロデューサー小松は、
対立する立場でありながら同じ会社の人という共通点があるし、
人工知能をマシンと捉える二人と、
人工知能を心として扱うカウンセラー四谷にも、
対立点と共通点(人工知能の鬱を治す目的)がある。
で、彼らが、我らがシンイチとこれまた対立するという構造なわけだ。
対立といっても、殺しあう話じゃないけどね。



真ん中に揉め事を。
両端に人物を。
対立点と共通点を。
それらで連鎖を。

そうすると、ストーリーが視覚化されて、
コントロールしやすいかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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